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- 日本の優しさに育まれ、デビューした「異色の新人」 リ・ハナ
◆国内女子プロゴルフ<ニッポンハムレディスクラシック初日◇8日◇ 北海道・桂ゴルフ倶楽部 6736ヤード・パー72>
ステップ3勝の実績“異色の新人”リ・ハナ
今週のニッポンハムレディスクラシックに出場しているリ・ハナは、ある意味、異色の存在だ。
今大会には6月に行なわれた最終プロテストの合格者22名の中から5名が出場している。リは、その新人5名の中の1人だが、韓国出身の彼女は新人ながら、すでに3勝の実績を誇る「異色の新人」だ。
とはいえ、その3勝は、JLPGAで挙げた勝利ではもちろんなく、下部ツアーのステップアップツアーで挙げた2020年の2勝と2021年の1勝だ。
それならば、下部ツアーで挙げた勝利は、いわゆる“一軍”であるJLPGAでは意味がないのかと言えば、そんなことはない。
「どんな国のどんなツアーのどんな大会であれ、勝つというのは大変なこと。胸を張っていい」とは、ゴルフ界の王者、タイガー・ウッズの言葉だ。
リが下部ツアーで挙げた3勝と、現在賞金ランク1位を走る実績は、彼女が胸を張れる財産である。ただし、ステップアッツツアーは近年ようやく2日間大会が3日間大会へ格上げされている途上であり、リ自身、これまで4日間大会を戦った経験は数えるほどしかない。
「4日間大会は、プレーしているときはあまり感じないけど、終わってみると、しんどいし、疲れる」
そんなリが今週はプロテスト合格後、初めてのレギュラーツアー出場のチャンスを迎え、同時に不慣れな4日間大会に挑んでいる。初日は2オーバー、74でやや遅れた。だが、彼女の表情がとても明るかったのは、1日1000人に制限されてはいるものの、コース上にギャラリーがいるおかげなのだそうだ。
「今週はギャラリーがいてくれるから楽しい」
ステップアップツアーでは顔見知りの選手が多かった。だが、新人プロとして初めて挑んでいる今大会会場は「知らない人ばかりで雰囲気が少しだけ重い」。
中学から日本暮らし「日本人はみんな優しい」
幼少時代から韓国や中国での暮らしを経て「中学のとき、両親と一緒に日本での生活を始めました」、日本にやって来たとき、リは最初だけ「ちょっと淋しかった」そうだが、それは孤独感ではなく、たとえば小学1年生が入学式の日になんとなく感じる小さな違和感みたいなもので、その違和感を払拭してくれたのは、周囲の日本人の優しさだったそうだ。
そして、プロテスト合格後の初戦となった今日も日本人ギャラリーの優しい応援に励まされたそうだ。
「日本人はみんな優しい。今週も先輩プロたちが私にも次々に声をかけてくれる。だから私は日本でゴルフをやりたいし、日本一になって世界に挑戦したいです」
日本人選手にとって大変なことを、外国人選手がやってのけることは、針の穴に糸を通すぐらい難しい。だが、そんな外国人選手の何よりの心の拠り所が、日本のギャラリーや先輩プロたちからもらう温かさだという話を北の大地で耳にして、ちょっぴり嬉しくなった。
高校卒業までは韓国、その後は日本で暮らしているリの日本語は、まだおぼつかないが、一生懸命、日本語で語ろうと言葉を絞り出す様子が、とても健気で初々しい。
渋野日向子が全英女子オープンで勝利を飾り、フィリピンと日本の両国籍を持つ笹生優花が、米ツアーを主戦場としている畑岡奈紗と全米女子オープンで優勝を競り合って勝利するなど、世界の女子ゴルフ界ではダイバーシティの進行が著しい。
そんな中、「異色の新人」であるリの存在は、あっという間に異色ではなくなるのではないか。「多様化が進むゴルフ界の申し子」なとど呼ばれ始めるのではないか。
そんなことを感じさせられた初日だった。
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