全英女子オープン・渋野日向子の目線に注目【石井 忍のここスゴ!】

多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、AIG(全英)女子オープンゴルフでの渋野日向子のパッティングだ。

微妙なラインを読み切る眼球の動き

■渋野日向子(しぶの・ひなこ)/1998年生まれ、岡山県出身
 2019年のAIG全英女子オープンで日本勢として42年ぶりにメジャー制覇を達成。同年は平均パット(パーオンホール)2位などの安定したゴルフで国内ツアー4勝。賞金ランキング2位と活躍した。サントリー所属。

今年の全英女子オープンで渋野日向子は34位タイでフィニッシュした 写真:Getty Images

 8月19日から22日まで、スコットランドのカーヌスティゴルフリンクスで第45回AIG(全英)女子オープンゴルフが開催されました。昨年に続き、AbemaTVで決勝ラウンドの解説をさせてもらい、渋野日向子選手の密着中継をしていたので、今回は渋野選手のプレーで気になったシーンをお伝えします。

 前々回大会で42年ぶりに日本人メジャー制覇を達成した渋野選手。今大会は通算1アンダーの34位タイで終えましたが、3日目に一時単独首位に立つなど、歴代チャンピオンの存在感を示してくれました。

 彼女のプレーを2日間に渡って追いかけて感じたのは、本来の切れ味が戻ってきているということ。今年からスイング改造に取り組み、調子を落とした時期もありましたが、4日間でバーディー16個、イーグル1個と攻撃的なゴルフで、見ている私たちを魅了してくれました。また、今大会はショートゲームのコンディションが良く、特にパッティングの巧さうまさが光った印象があります。

 さて、あるホールの渋野選手のパッティングを見ていて気付いたのが、ルーティン中の眼球の動きです。ボールの後ろで姿勢を低くし、ボールとカップを結んだ線をジーッと見つめた後、渋野選手は視線をスッスッと、左右に大きく移したのです。この眼球の動きは、ラインを読み切るために行ったのではないでしょうか。

 グリーンの傾斜を頭に入れてボールの近くに立ったつもりでも、どちらに切れるのか迷いが生じることってありますよね。そんなときは、イメージしたラインだけを凝視して判断せず、一度広い視野に戻して全体の傾斜をチェックすると、ライン読みのミスを防ぐことができます。

 また、渋野選手は眼球を左右に動かし、2本のラインをイメージしていたとも考えられます。カップの右に打った場合と左に打った場合のボールの転がりをイメージすると、左右どちらかのラインはカップからどんどん離れていくことになるのです。すると、どこに打ち出すべきかが明確になってくるというわけです。1本の入るラインだけをイメージするのではなく、入らないラインもイメージすることで、ラインを読みやすくなります。

慎重にグリーンのラインを読む渋野日向子。目線の動きに注目したい 写真:Getty Images

 渋野選手といえば、強気なパッティングをするイメージがありますよね。しっかりインパクトできるのは、ラインを読み切っているという自信の裏付けがあるから。右に切れるのか、左に切れるのか分からなくなったら、渋野選手のように眼球を左右に動かしてみてください。今まで見えなかったものが見えてくるかもしれません。

■石井 忍(いしい・しのぶ)/1974年生まれ、千葉県出身
 日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。

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今年の全英女子オープンで渋野日向子は34位タイでフィニッシュした 写真:Getty Images
KPGM全米女子プロゴルフ選手権は通算1オーバーの40位タイ 写真:Getty Images
KPGM全米女子プロゴルフ選手権は通算1オーバーの40位タイ 写真:Getty Images
ピュアシルク選手権は31位タイでフィニッシュした渋野日向子 写真:Getty Images
ピュアシルク選手権は31位タイでフィニッシュした渋野日向子 写真:Getty Images
今年の全英女子オープンで渋野日向子は34位タイでフィニッシュした 写真:Getty Images
慎重にグリーンのラインを読む渋野日向子。目線の動きに注目したい 写真:Getty Images

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