30歳までに10億稼いだ男！三十路を迎える石川遼はこれからが全盛期!?

　石川遼が30歳までに獲得した賞金総額は10億6139万5560円。これは歴代1位なのである。歴代2位は池田勇太の7億4006万5031円だからぶっちぎりの1位だ。

　2018、19年と2年連続で賞金王の座に就いている今平周吾は来年10月に30歳を迎えるが、現時点では5億7223万6647円であり、あと1年余りで石川の記録を抜くことはまず無理。10代から活躍し続けている石川のすごさを示すデータではないだろうか。

　もうひとつ石川の素晴らしさを表すデータを紹介したい。それは、バーディーを取る能力の高さである。

　石川はこれまで2958個のバーディーと74個のイーグル（ホールインワン2個を含む）を奪っている。1ラウンドあたりいくつのバーディー（バーディーよりいいスコアを含む）を奪うかということを表すバーディー率は4.10となる。

　年間のバーディー率が4.00超える選手は少ない。石川がツアーにデビューした2007年から昨シーズン（2019年）までの期間で4.00を超えた選手は1年あたり平均約3人でしかない。1年間だけでも超えるのがそれだけ難しい数字を石川は15年間の通算でクリアしているのだ。

　同じ期間（2007年から今年のフジサンケイクラシックまで）で通算のバーディー率が4.00を超えているのは石川のほかでは池田の4.02だけ（期間中500ラウンド以上プレーしている選手が対象）。この部門でも文句なしの1位なのだ。

“20代最後のトーナメント”となったフジサンケイクラシックまで石川は国内ツアー通算211試合に出場し、17勝を挙げた。「30歳になるまでの優勝回数」としては中嶋常幸の18勝に次ぐ歴代2位の記録である。

　歴代最多のツアー競技94勝を誇る尾崎将司はどうだったかというと30歳までに15勝。石川のほうが上だ。ただし、尾崎の数字はツアー制度が施行された1973年以降のもの。それ以前にも14勝を挙げており、合わせると29勝となる。

　一般のゴルフファンからすればツアー制度とは何か分かりにくいと思うので、少し説明しておこう。現在は賞金ランキングがあり、この賞金ランキング加算対象のトーナメントがいわゆるツアー競技として扱われている。ツアー競技は基本的には4日間72ホールで行われ、出場選手数や賞金額にも決まりがある。

　ところが1972年以前は公式の賞金ランキングが存在せず、トーナメントの開催日数や出場選手数、賞金額などがバラバラだった。数人しか出場しないトーナメントもあれば、36ホールで完了というものもあり、どのトーナメントに勝っても1勝とカウントしていた。

　1973年以降は日程を含めさまざまなことを整備してツアーとしての形を構築。そして一定の基準を満たしたトーナメントを賞金ランキング加算競技とし、公式に優勝として扱うようになったというわけだ。

　長く第一線で活躍し続けているが、まだ30歳。プロゴルファーとしての充実期はまだ先ではないだろうか。

　先人たちはどうだろう。男子ツアーで永久シード（1973年のツアー制度施行後25勝以上が条件。アマチュアでの優勝は含まない）を獲得した選手は7人いるが、うち青木功、中嶋常幸、倉本昌弘、尾崎直道、片山晋呉の5人は30代の10年間で最も多く優勝している。尾崎将司と杉原輝雄は40代で一番勝った。日本を代表する名選手たちもみな、30歳を超えてからプライムタイムを迎えているのである。

　論語には「三十にして立つ」とある。而立（じりつ）を迎えた石川が、よりファンを魅了するプレーを見せてくれるはずだ。