フェースの溝にスピンを増やす効果はない!? じゃあ何のために付いてるの?

アイアンやウェッジで話題になることが多いフェース面の溝。よく、スピン量を増やすと誤解されていますが、実はあの溝そのものにスピン量を上げる効果があるわけではありません。では、フェースにある溝の本当の役割とは?

一定の条件下では溝がなくてもスピン量は同じ

 アイアンやウェッジのフェース面には溝が刻まれています。その目的はスピンをかけるためであると思っている方が多いと思いますが、実際のところはどうなのでしょうか?

すっかりスピン量を増やすためだと思っていたフェースの溝だが

 結論から言えば、それは正解とも不正解とも言えます。

 実はフェース面に溝があってもなくても潜在的なスピン量は変わりません。見た目の印象としては、フェースに溝があるほうが、いかにもスピンがかかりそうですが、実は溝がなくてもスピン量は同じなのです。ボールにスピンをかけているのは溝の部分ではなくて、フェース面の平らな部分とボールの摩擦です。ですから、溝がないことでボールとフェース面の接触面積が広くなって、むしろ溝なしのほうがスピン量が増える可能性すら否定できません。

 では、フェースの溝にはどんな役割があるのか?

 それは水滴や芝による影響を少なくすることです。溝があってもなくてもスピン量が変わらないのは、水滴の影響がないドライコンディションで、芝がフェースにからまないマット等の上から打ったときです。

 実は筆者も試打企画の検証で溝のあるウェッジと溝のないウェッジのスピン量を比較したことがあるのですが、少しフェース面を濡らして比べると、溝がないウェッジは溝があるウェッジに比べてスピン量が約7割も減ってしまいました。また、ラフから打つときも溝がないウェッジはスピン量が約3割も減少しました。さらに、それらを組み合わせた濡れたラフから打つと、溝がないウェッジはスピン量が約8割も減ってしまい、ほとんどスピンが入らない結果となりました。

 つまりフェースの溝はスピン量を“増やす”ことではなくて、水滴や芝の影響を受けたときでもスピン量が“落ちる”ことを抑える効果があるのです。クラブデザイナーの方たちに話を聞くと、フェースの溝は排水溝やタイヤの溝に例える人が多いです。

スピン量を決めるのは重心とミーリング

錆びだらけで役に立たなさそうなウェッジにも意味があった

 溝がスピン量に影響していないとすると、ウェッジのスピン量に影響するのは何なのか?

 まずはロフト角です。単純にロフト角が大きくなるほど摩擦力が上がるのでスピン量は増えていきます。

 その上で、同じロフトで比較したときにスピン量に差が出るのが重心です。よくドライバーでは重心を下げることで低スピンにするというテクノロジーが使われます。これはバックスピン量が多すぎることで飛距離を損しているゴルファーが多いからなのですが、それとは真逆に、ウェッジでは重心を上げることでスピン量を増やしている場合も多く見受けられます。重心より下でボールを打つとスピン量が増える効果があるのですが、重心を上げることによって、重心より下でボールにコンタクトしやすくしているわけです。

 また、最近はフェース面上のミーリング(細かな切削)にも新しい技術が登場しています。スピンはフェースの平らな部分とボールの摩擦によって発生しますが、平らな部分に様々な形状のミーリング加工をすることでボールとの接触面を増やしスピン性能を高めるウェッジも増えています。

 このミーリングと同じ効果があると言われるのが錆(さび)です。よくツアープロでも、錆が付いたウェッジを長年使っている人がいますが、実は錆があるほうがフェースにボールが乗りやすく、スピン量が増えると言われています。ちなみにツアープロはウェッジでボールがいつもより飛ぶようになってきたら、「スピンが減ってきた」と判断してウェッジを交換すると言われています。

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 皆さんも、中古ショップでウェッジを購入する際や買い換える際は錆やミーリングにも注目してください。

【写真】スピンがキュルキュル! イ・ボミのウェッジショットの写真を見る

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