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- 「ダボ激減が復調のカギ」渋野日向子の好成績をデータで読み解く!
渋野日向子が樋口久子 三菱電機レディスで今季2勝目を挙げた。10月だけで2勝し、ここ7試合でトップ10が6回と一時の不振は完全に脱した感がある。では、どこがよくなったのか。データで徹底分析した。
パットが良くなりダブルボギーを打つ確率が3分の1に減少
渋野の2021年初トップ10は9月の住友生命Vitalityレディス東海クラシックだった。海外でプレーすることも多かったが、それだけ長く上位に顔を出していなかったのだ。

ところが、東海クラシックで4位に入ると、以降は8位、5位、優勝、3位、予選落ち、優勝と結果を残し始めた。賞金ランキングは東海クラシック前に55位だったが、現在は20位。急上昇中だ。
東海クラシック前と後で何が変わったのか。いくつかの部門別データの比較を以下に記してみよう。
■東海クラシック以前
・FWキープ率 70.8647%
・パーオン率 71.2121%
・平均パット数 1.8014
・パーセーブ率 87.1212%
・平均バーディー数 3.1818
・ダブルボギー率 1.5152%
■東海クラシック以降
・FWキープ率 69.9248%
・パーオン率 73.3918%
・平均パット数 1.7291
・パーセーブ率 87.7193%
・平均バーディー数 4.6316
・ダブルボギー率 0.5848%
まずフェアウェイキープ率。若干下がっているが、これは後述するが飛距離が戻って来たから反比例的に下がったといえるもので気にすることではない。
渋野自身が意識しているというパーオン率は2ポイント余りアップしている。グリーンを狙うショットの精度は間違いなく上がっているわけだ。
最も注目したいのが平均パット数(パーオンしたホールにおける1ホール当たりのパット数)である。渋野が大ブレークした2019年の平均パット数は1.7582で部門2位だった。今季は東海クラシックまでは1.8を超えていたのだから、かなりの不振だったといえるだろう。
それが東海クラシック以降は劇的に改善。例年、この部門1位の選手は1.75前後だから1.7291は、ものすごくレベルの高い数字である。
もちろん、これはパッティングの調子が良くなったということだけが理由ではない。ショットの精度が上がったことでピンに絡むことが増えたり、入れやすいラインにつけられる確率が高くなったということも大きいはずだ。
これに伴ってバーディー数が大幅に増えた。東海クラシック前と後では1ラウンドあたり1.5個近くも多くなったのである。
パーセーブ率は約0.6ポイント増と微増にとどまっているが、バーディー数が急増したことでスコアが一気に伸びた。2019年に女子ツアー歴代2位となる4.0000の非常に高い平均バーディー数を記録した渋野らしい攻撃的なゴルフが戻って来たのである。
もうひとつスポットを当てたいのが1ホールでの大叩きが減ったことだ。東海クラシックまでは出場14試合でダブルボギーが12個あったが、東海クラシック以降は7試合で2個だけ。ダブルボギー率は約3分の1に下がっている。これは大きなミスが減ってきた証拠だ。
渋野のパー5平均スコアは稲見より上。復調のカギはパー5のバーディー奪取にあった
次に、飛距離を取り上げたい。今シーズンはコロナ禍で途中までドライビングディスタンスの計測を実施していなかったためデータが少ないので別枠で紹介する。以下は計測が実施された試合別の飛距離と予選通過者内の順位である。予選落ちした試合は順位なしとする。
・アクサレディス 236.833(23位)
・GMOインターネットレディース 249.000(-)
・楽天スーパーレディース 251.000(18位)
・日本女子プロ 249.750(15位)
・ミヤギテレビ杯 235.667(7位)
・スタンレーレディス 259.667(2位)
・マスターズGCレディース 225.250(-)
・樋口久子三菱電機レディス 245.167(4位)
飛距離は条件によって左右されるので、順位を重要視したい。順位は徐々に上がり、「東海クラシック以降」であるミヤギテレビ杯からはひとケタ順位だ。2019年の年間順位は12位だったから、より飛ぶようになった印象がある。

この飛距離の伸びと連動していると考えられるのがパー5のスコアだ。東海クラシックまでのパー5平均スコアが4.7616だったのに対して、東海クラシック以降は4.5833と0.1783良化している。18ホール中パー5が4ホールあるとするとパー5だけで1日約0.7ストローク違うという計算だ。3日間大会なら約2.1ストロークの差になる。これは、ものすごく大きい。
樋口久子 三菱電機レディスでもパー5で3日間合計6個のバーディーを奪い、ボギーはなし。平均スコアは4.5000だった。対してプレーオフを戦ったペソンウはパー5で3バーディー、1ボギー。渋野がイーグルを奪ったプレーオフも含め、パー5の出来が勝敗を分けたといえるだろう。
取れるホールをしっかり取る、つまりパー5でしっかりとスコアを伸ばすというのが強い選手の条件である。タイガー・ウッズもパー5で抜群のうまさを誇っていた。渋野の今季通算のパー5平均スコア4.7090は規定ラウンド数に達していないためランキングには入っていないが実は部門1位・稲見萌寧の4.7137よりいい数字。隠れ1位なのである。
渋野の復調は、このようにデータに裏打ちされたものだといえる。スランプを乗り越えた選手はより強くなる。この先、さらに大きく成長してくれるはずだ。
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