妹は7年かかった初優勝 その光景は本当に感慨深かった
妹の琴音が今年の国内女子ゴルフツアー「ニッポンハムレディスクラシック」で優勝したのは、本当にうれしかったです。ちっちゃい頃からゴルフをやってきたのを近くで見てきたので。
昔はそれこそ、ゴルフというよりかは、ただ走り回っているだけだった無邪気な姿も知っていますから(笑)。

そんな妹が立派にプロになり、大きな夢を叶えたかと思うと感慨深かったです。
一つ、忘れられない思い出があります。
妹が日本女子オープン(2016年)で優勝するかもしれないと聞き、私はあの試合だけ最終日のラウンドについて回りました。今まで見に行ける試合があっても、実際にプレーを見たことがなかったんです。
この試合には私が出ていなかったこともあり、妹の優勝争いを胸の詰まる思いで、一つ一つのプレーを見ていた記憶があります。
でも最後は畑岡奈紗選手に敗れて2位。優勝を逃して泣いている妹を見ながら、本当に自分のことのように悔しくて私も隠れて泣いていました……。
妹がプロになって7年。本当にこれは言葉では言いあらわせないくらいの歳月で、いい時も見ていたけれど、どん底にいたのも見ていましたから。
妹は今年も試合に出られる状態でシーズンを迎えたわけではなかったので、そういう意味では逆風の中でもチャンスをものにして、勝ち上がっていくっていうのは、同じプロゴルファーとしても力をもらいましたし、頑張れば私もいけるんじゃないかって思えました。
日本女子オープンで涙していた自分の妹が、こうして優勝できたことが何よりも感慨深かったです。
それと本当に成長したなと思ったのは、すごくバランスがいい状態でゴルフができているなと感じたことでした。
試合数が限られる厳しい状況の中で戦っていたのですが、だからといって自分を追い込まず、自分を許しながら試合では果敢に攻めていく。
そこはちゃんと自分を信じていたからできたのだと思います。
妹の優勝に「私もできる!」という希望をもらった
それに「私にもできる!」という希望をもらいましたし、もしかすると私だけじゃなくて、他の選手たちにも思わせてくれるような、がんばれば届くんじゃないかっていう姿を見せてくれて誇らしかったです。
私からは「おめでとう!」と伝えました。あれこれ言うこともなく、しょっちゅう妹と会ってご飯食べているので。
思えば子どもの頃はよくケンカしていました。高校生くらいから仲がよくなって、プロ入りしてからは友達みたいに過ごしています。
私は覚えてないのですが、妹からしたら子どもの頃の私はひどかったらしく、何でケンカしたか分かりませんが「妹を田んぼに捨てて」と母に言っていたそうです(苦笑)。
もう一つは妹が食べるはずだった唐揚げを私がいつも食べていて、それもずっと根に持っていたそうです。まったく記憶にないひどい姉です(笑)。
そんな子ども時代を経て、今は同じプロゴルファーとして姉妹で励ましあい、支えあいながらがんばっています。
それに姉妹で優勝できたことは、家族の自慢であり誇りです。これからもまだ続くゴルフ人生ですから、妹に負けないように頑張っていきたいです。
■堀奈津佳(ほり・なつか)
1992年7月6日生まれ。徳島県出身。小学校4年生のとき、父の勧めで、妹・堀琴音と共にゴルフを始める。2009年から2年間ナショナルチームメンバーとして国際大会を経験。11年のプロテストに一発合格し、2012年ステップ・アップ・ツアーで2勝。2013年「アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI」でレギュラーツアー初優勝。同年6月の「アース・モンダミンカップ」で2位に8打差をつける通算21アンダーで2勝目。4日間72ホールにおける最少ストローク記録を更新すると同時に、4日間連続で60台をマークしての優勝というツアー史上初の記録も樹立した。2015年にシード喪失後は、レギュラーツアー復帰を目指している。サニクリーン所属