- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- コラム
- カーボンフェースが話題だけど、いま主流のチタンフェースってそもそも何が利点なの?
先日、テーラーメイドが発表した新作「ステルス」。これはフェースにカーボン素材を使ったことで話題になっていますが、そもそも今までのドライバーはなぜチタンフェースだったのでしょうか? またカーボンの利点とは?
木製、ステンレス、そしてチタンへ
テーラーメイドが新作ドライバー「ステルス」で採用したカーボンフェースがゴルフ界の話題を席巻しています。とはいえ、まだまだドライバーのフェース材の主流はチタンです。20年以上にわたって約30年にもわたって使われ続けているチタンのメリットとは何なのでしょうか?
ドライバーの歴史を振り返ると、1890年に登場した柿の木を素材にしたパーシモンドライバーの時代が約100年間続いていました。
そして、1979年にテーラーメイドが世界初のメタルドライバーを発表。これはステンレス素材を用いた画期的なドライバーで、飛距離性能はパーシモンをはるかに凌駕していました。しかし、一般ゴルファーに浸透していったのは1990年代に入ってからです。
さらに1990年にミズノがチタンヘッドを発表したのが世界初と言われています。そして1995年にはキャロウェイのチタンヘッド「グレートビッグバーサ」が世界的大ヒットを記録しました。その後は大手メーカーのドライバーはほぼ100%チタンフェースという時代が2022年まで続いています。つまりチタンフェースの時代は20年以上も続いていたことになります。
そもそもなぜ、ドライバーのフェースにチタンが向いていたのでしょうか? 元大手メーカーのドライバー開発担当者に話を聞きました。
「まずチタンはステンレスに比べて圧倒的に軽いです。数字的で言うとステンレスの比重が7.9なのに対して、チタン合金は4.4です。さらにチタン合金の強度はステンレスよりも高い。フェースを軽くて強度があるものにできれば、それだけ自由に使える重量が増えるので、ドライバーを開発する上での設計の自由度が増して、重心を調整することができます」
チタンと聞くと柔らかそうなイメージもありますが、どうなのでしょうか?
「実は純粋なチタンはステンレスよりも柔らかいのですが、チタンは合金として機械加工しやすい素材で、チタン合金にすることでステンレスを凌駕する強度を持つ素材になります。今でもよくドライバーなどに使われている6-4チタンはチタンに6%のアルミニウムと4%のバナジウムを加えた代表的なチタン合金です」
ではなぜ、フェアウェイウッドにはチタン合金ではなくてステンレスが使われているのでしょうか?
「それは価格の問題です。メーカーも性能的にはチタン素材の方が間違いなく良くなることは分かっています。しかし、チタンはステンレスに比べて原価が高い。だから、ドライバーのように1本当たり8万円前後に設定できるものにはチタンを使えても、フェアウェイウッドのように4~5万円で売らないといけないクラブにチタン素材は使えなかったのです」
カーボンフェースはチタンフェースの半分の重さ
そんな時代にテーラーメイドが発表したカーボンフェースの「ステルス」。カーボンフェースにはチタンフェースを超えるメリットがあるでしょうか? テーラーメイドゴルフでハードグッズ部門のアジア・ジャパンディレクターを務める高橋伸忠氏に話を聞きました。
「チタンがステンレスに比べて軽くて硬かったように、カーボンはチタンと比べても軽くて、硬い。実際に今回の『ステルス』がもしチタンフェースだったら43グラムになっていましたが、カーボン素材を使ったことで24グラムにまで軽量化できました。軽量化できた約20グラム分の余剰重量を使うことでドライバーを進化させることができたのです」
フェースがステンレス時代のドライバーはヘッド体積が200cc前後でしたが、その理由はヘッドを大きくしようとすると、ステンレスだと重くなりすぎてしまうからでした。しかし、ステンレスからチタンに素材が変わったことで、ドライバーはどんどん大型化できるようになって、各社から460ccのモデルが登場。
その結果、各社のドライバーのヘッド重量は約200グラムで、そのうち約45グラムをフェースに使うことが一般的になっていきます。その中で登場した「ステルス」のカーボンフェースはわずか24グラム。過去のドライバーの歴史を振り返っても、この軽さが、ドライバーを進化させるターニングポイントになっていきそうです。ドライバーのフェース素材は軽くて強い素材を探す道のりとも言えるでしょう。
最新の記事
pick up
ranking