「入る!」パッティングテンポって何?お手本はP・カントレーのバックスイング【石井 忍のここスゴ!】 | e!Golf(イーゴルフ)|総合ゴルフ情報サイト

「入る!」パッティングテンポって何?お手本はP・カントレーのバックスイング【石井 忍のここスゴ!】

多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのはパトリック・カントレー。WMフェニックスオープンはプレーオフで敗れたが、強さの要因のひとつにテンポの良いパッティングがあるという。

スピード感がある大きめの振り幅のバックスイング

パトリック・カントレー/1992年生まれ、米国カリフォルニア州出身。2011年全米オープン、12年マスターズでローアマになるなど活躍。55週連続で世界アマチュアランキング1位に君臨した後、プロ転向。17年にプロ初勝利を挙げる。2020-21シーズンは、プレーオフ第2戦「BMW選手権」、最終戦「ツアー選手権」を制して年間王者に輝いた。ツアー通算6勝。

 アリゾナ州のTPCスコッツデール スタジアムCで開催されたWMフェニックスオープンは、スコッティ・シェフラー選手のツアー初勝利で幕を閉じました。

 シェフラー選手は、アマチュア時代に全米オープンでローアマを獲得するなど活躍。2018年にプロ転向し、19年の下部ツアーで2勝を挙げて最優秀選手に輝いたプレーヤーです。

 レギュラーツアーでは上位争いを演じながらも勝てない時期が続きましたが、ようやく優勝することができました。

過度にヘッドを加速させない小さめフォローが特徴的なP・カントレーのパッティング 写真:Getty Images

 今年のWMフェニックスオープンを振り返ると、シェフラー選手をはじめ、未勝利組が大会を盛り上げた印象を受けました。

 3位タイのサヒス・ティーガラ選手は、良いショットを打つと喜び、ミスをするとイライラした感情を表に出すルーキープレーヤー。

 喜怒哀楽を全面に出し、ホールアウト後は悔し涙を浮かべていました。スイングも個性的なので、今後はさらに注目されていくはずです。

 また、23位タイに終わったシャム・ライダー選手は、TPCスコッツデールスタジアムCの名物16番(パー3)で3日目にホールインワンを達成。ホールを囲むスタジアムに詰めかけた2万人を熱狂させました。

 さて、この大会で気になったのは、プレーオフで惜しくも敗れたパトリック・カントレー選手です。昨シーズンの年間王者に輝いたカントレー選手は、パッティングのテンポが非常に良いんです。

 具体的には、スピード感がある大きめの振り幅でバックスイングをする点。このバックスイングで生まれた慣性をいかし、ナチュラルにダウンスイングに移行します。

 そして、過度にヘッドを加速させずにインパクトを迎えているため、小さめのフォローをとっているのです。

目安は3メートルで30センチのバックスイング

「バックスイングはゆっくり」、「フォローは大きく」、「振り幅は左右対称」などのパッティングイメージを持っているゴルファーは多いですよね。

 このストロークをすると、インパクト付近で急激にヘッドを加速しやすくなり、ヘッドの動きやフェース、ロフトの向きが不安定になってしまうんです。

 パッティングに苦手意識がある人は、バックスイングの段階でエネルギーを出し切り、後は慣性に任せてヘッドを動かすイメージを持ってみてください。

 グリーンのスピードにもよりますが、目安は3メートルで30センチのバックスイングです。再現性が高いストロークになり、ボールの転がりが安定するはずです。

石井 忍(いしい・しのぶ)/1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。

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2020年、コロナ禍前のTPCスコッツデール スタジアムC16番パー3 写真:Getty Images
2020年、コロナ禍前のTPCスコッツデール スタジアムC16番パー3 写真:Getty Images
過度にヘッドを加速させないで小さめフォローが特徴的なP・カントレーのパッティング 写真:Getty Images

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