2021年だけで19コースが変わった！ カーナビ泣かせのゴルフ場名変更はなぜ起こる？

　先日、アマチュアゴルファーの方をインタビュー取材していた時、ハーモニーヒルズゴルフクラブ（栃木県）という初めて名前を聞くゴルフ場が出てきたので、あとで調べたところ、2009年までイトーピア栃木ゴルフ倶楽部という名称で営業していたゴルフ場でした。

　イトーピア栃木ゴルフ倶楽部には2000年代前半に何度か行ったことがありましたが、それ以降は足を運ぶ機会がありませんでしたから、名称変更後の名前と結びついていませんでした。

　2009年にPGM（パシフィックゴルフマネージメント）グループ入りしたタイミングで名称変更していますから、もう10年以上前のことです。

　同じタイミングでPGMグループ入りしたイトーピア千葉ゴルフ倶楽部（現ムーンレイクゴルフクラブ茂原コース）は、名称変更後に訪れたことがあるので、記憶が上書きされていました。人間の脳は新しい体験をしないと情報が更新されないことを思い知らされました。

　ゴルフ場の名称変更は2000年以降、一気に増えました。2000年4月の民事再生法施行をきっかけにゴルフ場業界は経営交代ラッシュが起こり、多くのゴルフ場が名称変更を余儀なくされました。

　なぜならば、当時はゴルフ場名と企業名が結びついているケースが多く、企業名を切り離す必要があったからです。

　緑営グループ（○○スプリングスカントリークラブ）、地産グループ（○○チサンカントリークラブ）、スポーツ振興グループ、富士カントリーグループといった企業グループのゴルフ場が経営交代を機に次々と名称変更しました。

　しかも企業名を外して地名だけを残すと、既存のゴルフ場と名称が重複したり、混同したりするケースが多かったため、元の名前が何だか分からないゴルフ場が次々と誕生しました。

　さらに当時はカーナビが今ほど発達しておらず、スマートフォンも世の中に存在しませんでしたから、ゴルファーは混乱しました。

　プレーする予定のゴルフ場にキャディバッグを送るつもりが間違えて別のゴルフ場に送ってしまったり、プレーするゴルフ場を勘違いして別のゴルフ場に着いてしまったりといった失敗談を聞くことがけっこうありました。

　ここ最近はゴルフ場の名称変更もひと段落したのかと思っていましたが、そうでもないようです。

　2022年2月14日発行のゴルフ業界紙「ゴルフ特信」によると、2021年に名称変更したゴルフ場は19コース。名称変更の主な理由はやはり経営交代です。

　代表的な例がアコーディア・ネクストゴルフグループからPGMグループに経営交代した石岡ゴルフ倶楽部（茨城県）、武蔵ゴルフクラブ（埼玉県）、きみさらずゴルフリンクス（千葉県）、南市原ゴルフクラブ（千葉県）の4コースです。

　それぞれPGM石岡ゴルフクラブ、PGM武蔵ゴルフクラブ、PGMマリアゴルフリンクス、PGM南市原ゴルフクラブに名称変更しました。

　このくらいの名称変更であれば、以前の名称とそんなに大きく変わりませんから、カーナビで目的地を設定する際も戸惑うことはなさそうです。

　でも、リソルグループ入りした木更津東カントリークラブ（千葉県）は、以前の名称が亀山湖カントリークラブですから、事情を知らない人が新名称をカーナビで検索しても「見つかりませんでした」と表示される可能性があります。

　そういった事情を踏まえ、ゴルフ場予約サイトでは木更津東カントリークラブ（旧：亀山湖カントリークラブ）と並列で表記しています。

　今はカーナビの設定で戸惑っても、スマートフォンで検索すれば何とかなりますから便利な世の中になりました。

　できることなら今後はゴルファーを迷わせるような名称変更が少なくなってほしいところですが、ゴルフ場の経営交代がゼロになることはなさそうで、ゴルファーがカーナビとスマートフォンの情報を見比べる日々はしばらく続きそうです。