J・ニーマンに学ぶ「曲げたくないティーショット」の打ち方!重要なのは目線です【石井 忍のここスゴ!】

多くの男女ツアープロコーチを務め、ゴルフ中継で解説も務めている石井忍が、国内外ツアーで気になった選手やシーンをピックアップ。独自の視点で分析する。今回注目したのは、PGAツアー・ジェネシス招待でツアー2勝目を挙げたホアキン・ニーマンだ。

絶対に曲げたくない状況で大切なのは「軸キープ」

ホアキン・ニーマン/1998年生まれ、チリ出身。学生時代は南米アマチュア王者に輝くなど活躍し、世界アマランキング1位に君臨。2018年にプロ転向すると、19年のア・ミリタリー・トリビュートat ザ・グリーンブライヤーで、チリ勢として初めてPGAツアー制覇。同年は、プレジデンツカップで世界選抜メンバーにも選出されている。22年のジェネシス招待でツアー2勝目を達成。

 PGAツアーのジェネシス招待。チリ出身の23歳、ホアキン・ニーマン選手が通算19アンダーでツアー2勝目を挙げました。

 ニーマン選手は、アマチュア時代、世界アマランキング1位に輝いたこともあるプレーヤーです。2018年に鳴り物入りでプロデビューすると、翌年のア・ミリタリー・トリビュートatザ・グリーンブライヤーですぐに初勝利を挙げています。

 アメリカ人以外の選手が21歳の誕生日を迎える前にPGAツアーで優勝したのは、セベ・バレステロス、ロリー・マキロイに続く3人目だったそうです。

難しい最終ホールを正確なドライバーショットで乗り切り、見事な優勝を飾ったホアキン・ニーマン 写真:Getty Images

 今回の優勝は、初日から首位を守る完全優勝。ジェネシス招待では、1969年以来の快挙となりました。
 
 ニーマン選手と最後まで優勝を争ったのは、キャメロン・ヤング選手。1997年生まれのヤング選手は、今季からレギュラーツアーで戦うルーキープレーヤー。コリン・モリカワ選手と同じ通算17アンダー・2位タイでフィニッシュしました。

 思えば、前週のWMフェニックスオープンで3位に入ったサヒス・ティーガラ選手も1997年生まれです。PGAツアーは、次世代のニュースターが続々と生まれていますね。

 さて、ジェネシス招待で注目したシーンは、最終日最終ホールのニーマン選手のティーショットです。

 開催コースのリビエラカントリークラブ18番は、打ち上げのパー4(470ヤード)。

 攻略のカギを握るのは、ティーショットの精度です。左サイドのラフに打ち込めば、セカンドショットでグリーンをとらえるのは難しくなりますし、右サイドを狙いすぎると次打がスタイミーになり、パーオンが難しくなります。

 攻略するには、フェアウェイキープが絶対条件。ニーマン選手は、正確なティーショットで絶好の位置にボールを運び、2オン2パットで勝利をつかみ取りました。

状況に惑わされない軸キープは目線で作れる

 ランが出にくい打ち上げのシチュエーションは、高いボールでキャリーを稼ぎたくなるもの。

 しかし、高弾道を狙って目線を傾けすぎると、スイング軸が右に傾きすぎてしまうことがあります。軸が右に倒れたスイングは、フェースコントロールが難しく、打点が不安定になってしまうのです。

 この時のニーマン選手は、目線を上げるどころか低く保ち、キャリー約250ヤード、ラン70ヤードという弾道を打っていました。打ち上げのホールでこんなにランが出る球が打てるのは、世界トップレベルのツアーで戦うヘッドスピードやパワーがあるからでしょう。

 ですが、「打ち上げホールでスイング軸を傾けすぎない」というポイントは、一般のゴルファーにも参考になります。シチュエーションに惑わされず、適正な軸の傾きでスイングすることがナイスショットを打つ秘訣。

 体がスムーズに回らず、ショットが安定しないという人は、目線の傾きに気を付けてみてください。打ち方を意識して変えなくても、これだけでミスがなくなるかもしれませんよ。

■石井 忍(いしい・しのぶ)/1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。

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難しい最終ホールを正確なドライバーショットで乗り切り、見事な優勝を飾ったホアキン・ニーマン 写真:Getty Images

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