大きく分けて「アイアン型」と「ウッド型」がある
「7番アイアンまでは打てるのに、6番、5番になると急に打てなくなる……」そんな悩みを抱えるアマチュアゴルファーは非常に多いです。そんなゴルファーを救うべく開発され、近年進化を遂げてきたクラブが「ユーティリティー」です。歴史が浅い分、呼び方はメーカーによって異なり、「ハイブリッド」や「レスキュー」と呼ばれることもあります。ちなみに「ユーティリティー」という呼び方は日本以外ではあまり聞かれず、「ハイブリッド」のほうが一般的です。

ユーティリティーは、アイアンよりもミスに強くて高い球が打ちやすく、フェアウェイウッドよりもシャフト長が短くて振りやすいという両者の良いとこ取りをしたようなクラブとなっています。弾道的にも、高さやスピン量などが、アイアンとフェアウェイウッドの中間になる傾向があります。
ただし、一言でユーティリティーと言っても、大きく分けて「アイアン型」と「ウッド型」という2つのヘッドタイプがあります。
アイアン型は、ロングアイアン代わりに使いやすいよう性能を高めたクラブで、ソール幅やヘッドが厚めに仕上げられています。その多くはヘッド内部に空洞がある中空構造が採用され、普通のアイアンよりもミスヒットに強く、打ち出し角が得やすくなっています。
丸みのあるソールでミスに強かったり、フェース面が平らに仕上げられている分、ターゲットに真っすぐ構えやすいこともアイアン型の特徴となっています。ただし、基本的にはアイアンの流れを汲むクラブですので、ロフトが少ないほど、打ちこなすには一定以上のパワーが必要となってきます。そのため、アイアンが得意な男子プロなどが、アイアン型のユーティリティーを使用するケースが多いです。
一方、ウッド型は、ヘッドの奥行きを狭めた小さいフェアウェイウッドのような形状になっています。ウッドに近い形状のため、アイアン型よりも重心が低く深く設計できますので、よりミスに強く、高さを出しやすいクラブになっています。
現在、ユーティリティーと言えば、このウッド型が主流で、アイアン型は減少傾向にあります。パワーがなくても高いボールで飛距離を稼げるウッド型は、幅広いゴルファーがメリットを得やすいことも大きな要因の一つとなっています。
ユーティリティーはまとめ買いせず、まず軸になる1本を
現在、さまざまなメーカーからユーティリティーが発売されていて、モデルが豊富に揃っています。さらにロフトバリエーションも増えており、たとえば、PINGの「G425ハイブリッド」を見ると、最もロフトが立った17度の2番から34度の7番まで、6つのロフト違いのヘッドが用意されています。
選択肢がたくさんあるのはありがたいことですが、その分、選ぶのが難しくもなっています。
そもそも、ユーティリティーというクラブは、何番の代わりに入れるべきかという決まりはありません。パワーやスイング、プレースタイルに合わせて選ぶべきものなのです。人によっては、ロフトが立ったモデルを1本だけ入れるのもありですし、パワー不足をカバーするためにアイアンを7番までにして、上の番手をすべてユーティリティーにするという選択もあり得ます。自由度が高い分、どう選び、どうセッティングに組み込むべきか非常に悩むクラブなのです。
また、17〜34度という幅広いロフト帯をカバーするユーティリティーならではの難点も存在します。ゴルフクラブは基本的にロフトが寝るほど、重心はどんどん深くなっていきます。重心が深くなれば、おのずとつかまりが良くなりますし、スイング時にシャフトのしなりが大きくなる傾向にあります。そう考えると、同じシリーズで、同じようなヘッド形状のユーティリティーをロフト違いで揃えた場合、「4番は打ちやすいけど、6番は引っかける……」といった事態が起こる可能性があるのです。
プロのユーティリティーのセッティングを見ていくと、番手によってまったく違うメーカー、モデルを選んだり、シャフトをスチールとカーボンに分けたりと、振り心地を揃えつつ、しっかり飛距離差も出るような工夫がされています。そういった意味でも、ユーティリティーはセットにどう組み込むかが難しいクラブなのです。
そのため、ユーティリティーを購入する際は、まとめて購入せず、1本ずつ慎重に選んでいくのがおすすめです。そして、その1本が決まったら、そのクラブと振り心地が揃いやすく、しっかり飛距離差の出るものを2本目、3本目と追加していくのです。基準を1つ作れると、モデル選びやシャフトなど、スペック選びもかなり明確になってきますので、ぜひ参考にしてみてください。