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- 金田久美子が考える「なぜ若い選手は優勝しても泣かないか?」 自身の若手時代との大きな違い
女子プロゴルファーの“キンクミ”こと金田久美子。派手なファッションから“ギャルファー”とも呼ばれますが、その外見からは想像もできないほどゴルフにストイックです。そんな彼女の連載「キンクミの#熟女じゃねぇし!」。幼少期やツアーの話、プライベートまでさまざまなテーマで本音を語ります!(構成:キム・ミョンウ)
若い選手にとって1勝は通過点
最近の女子ツアーは若い選手たちがたくさん上位争いしていますが、本当にここ数年で世代交代は大きく進みました。私も33歳ながらまだまだ頑張っていますが、それでも若手の勢いを感じています。
今年はともに19歳の川崎春花さん(日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯、NOBUTA GROUP マスターズGC レディース優勝)、尾関彩美悠さん(住友生命Vitalityレディス 東海クラシック優勝)と、新人選手の活躍が目立ちます。
勢いだけでなく、確かな技術もそうですが、川崎さんと尾関さんの優勝シーンで驚いたのは、彼女たちが涙を見せなかったことです。私が初優勝した時は、それまで苦労したこともたくさんあったので、やっと勝てたという思いが込み上げて、泣くのを我慢することはできなかったです。
川崎さんはメジャーで勝ったこと自体がすごいことなのに、優勝したあとも笑顔だったので、勝ったうれしさのほうが強かったのかなと思いました。
そこで感じたのは、彼女たちにとってプロの世界で勝つことも通過点だということ。それこそ勝みなみさんもアマチュア時代に勝ちましたし、今は米ツアーで戦う古江彩佳さんもアマチュアの時に優勝しました。そうした姿を見てきた世代にとって、ツアー優勝は決して手の届かないものではなく、身近な目標として「自分たちもできる!」と思っているはずです。
“いい物”に触れられる頻度の違い
もう一つ、若い選手たちを見ながら感じるのは、ものすごく目が肥えていること。今はゴルフのスイング動画や海外のトッププロのプレーや練習なども、スマホで簡単に見ることができる環境にいるのは大きいと思います。
今ではトラックマン(弾道測定器)を使っている選手も多いですし、子どもの頃から“いい物”に触れる機会が多いと、吸収するスピードも早くなると思います。
私の時代は、そういうものはほとんどなかったですし、誰かに見てもらってスイングを修正したり、鏡を見ながら練習するのが当たり前。アナログ的な練習法で、先輩プロや同世代の選手もそうやって技術を磨いてきました。
といっても、私の場合は自分のプレーをテレビで見たことはなくて、振り返ったりすると逆におかしくなる気がしたので、一切目に入らないようにしていました。
そんなふうに育ってきたのでどちらかと言えば感覚派ですが、今は練習中のスイングをスマホで撮影して何度も確認していますし、ショットやパットが悪ければ、どこを修正すればいいのかも少しずつ分かるようになってきました。昔は理論なんかも理解できていなかったですから。
私も昔はそうだったように、「自分でも勝てる!」という自信と勢いは若い選手の武器。私も今はベテランとか熟女とか言われるようになりましたけれど、気持ちは負けていない。シーズンも終盤ですが、若手から刺激をもらって最後までとことん戦い抜きます。
金田 久美子(かねだ・くみこ)
1989年生まれ、愛知県名古屋市出身。3歳からゴルフを始め、8歳の時には世界ジュニア選手権で優勝。タイガー・ウッズに並ぶ記録で“天才少女”として注目を浴びる。アマチュアとして出場した2002年のリゾートトラストレディスで、12歳9カ月での最年少予選通過記録を樹立。08年のプロテスト初挑戦は1打足りずに不合格も、同年のファイナルQTをトップ通過してツアー出場権を得る。プロ3年目のフジサンケイレディスクラシックで初優勝。愛称は“キンクミ”。その風貌から“ギャルファー”の異名を取った。スタンレー電気所属。
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