タップインの球が“クルッ”で自分に当たったらどうなる? 2023年ゴルフルールの改訂ポイント | e!Golf(イーゴルフ)|総合ゴルフ情報サイト

タップインの球が“クルッ”で自分に当たったらどうなる? 2023年ゴルフルールの改訂ポイント

今年の1月1日から施行された新たなゴルフ規則。プロ競技で注目を集める、あるいは物議を醸した“珍事”がルール改訂を促すケースは少なくないようです。

プロの競技での“珍事”がルール改訂を促すケースは多い

 2019年10月の米シニアツアー競技「SAS選手権」最終日の3番パー3でのこと。

 イエスパー・パーネビックはボギーパットをタップインで沈めようとしました。ところが、ボールはカップの縁をくるりと1回転。そして、自分の足に当たってしまいました。

タップインの距離を外して、なおかつ自分に当たるとはかなりのレアケースですが… 写真:AC
タップインの距離を外して、なおかつ自分に当たるとはかなりのレアケースですが… 写真:AC

 原則的に、ストロークしたボールが人や外的影響に偶然当たった場合は、19年改訂の規則では、規則11.1b「球はあるがままにプレーしなければならない」の規定により、無罰でボールはあるがままでプレーしなればなりません。

 そこで、パーネビックもそのまま次のダブルボギーパットを沈め、ホールアウトしたのです。

 しかし、規則11.1bには、次のような「例外」がありました。

「パッティンググリーンからプレーされた球が偶然にパッティンググリーン上の人、動物、動かせる障害物に当たった場合は、そのストロークはカウントせず、球は元の箇所にリプレースしなければならない」

 この「人」にはプレーヤー自身も含まれます。ですから、パーネビックは正しくはボールを元の箇所にリプレースし、ボギーパットを打ち直さなければならなかったのです。

 にもかかわらず、そのままプレーしたため、いわゆる「誤所からのプレー」となって2罰打の付加。結果、トリプルボギーになってしまいました(最初のボギーパットはノーカウントですが、次に誤所から放ったボギーパットに、2ペナの付加)。

追加のローカルルールで、本人に当たった場合はあるがままに

 当時、この事例は大変レアで、規則上興味深いケースとしてメディアに取り上げられました。

 そして、全米ゴルフ協会(USGA)とR&Aはその後すぐに、パーネビックのような誤りを防ぐよう、新たなローカルルールを設けたのです。そのひな型(モデルとなる規則文)は、

「規則11.1b例外は、次のものに当たった場合は適用しない。
・そのプレーヤー
・そのストロークを行うためにそのプレーヤーによって使用されたクラブ
・またはルースインペディメントとして定められる動物
 そのストロークはカウントし、球はあるがままにプレーしなければならない」

 つまり、グリーン上からパットしたボールが、プレーヤー以外の人に当たった場合はジェネラルルールどおりノーカウントで打ち直しですが、プレーヤー自身に当たった場合はカウントで、ボールはあるがままとするローカルルールが提案され、実際、ほとんどの競技がこのローカルルールを採用していました。

2023年改訂でジェネラルルール化

【写真】2023年ルール改訂、アマチュアにも頻出のポイントをチェック

画像ギャラリー

1.後方線上の救済は「線の上」にドロップしなければならなくなった
2.救済後、風でボールが再び池に入ったら「無罰でリプレース」
3.間違ってインプレーでない球をリプレースしてパットした「2罰打→1罰打」
ボールがカート道路上にある場合は疑いの余地がないが、意図的に球を曲げるためにスタンスを変えると足がかかる場合も 写真:AC
ティーイングエリアから見えにくい場所に池がある場合などは判断に迷う 写真:AC
急な傾斜の場所なら一度止まったボールが自然に再度転がり落ちることもあるでしょう(写真はイメージです) 写真:Getty Images
その不満爆発がルール改訂につながった!? 昨年ウェイストマネジメント・フェニックスオープンでのチャーリー・ホフマン 写真:Getty Images
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