プロの競技での“珍事”がルール改訂を促すケースは多い
2019年10月の米シニアツアー競技「SAS選手権」最終日の3番パー3でのこと。
イエスパー・パーネビックはボギーパットをタップインで沈めようとしました。ところが、ボールはカップの縁をくるりと1回転。そして、自分の足に当たってしまいました。

原則的に、ストロークしたボールが人や外的影響に偶然当たった場合は、19年改訂の規則では、規則11.1b「球はあるがままにプレーしなければならない」の規定により、無罰でボールはあるがままでプレーしなればなりません。
そこで、パーネビックもそのまま次のダブルボギーパットを沈め、ホールアウトしたのです。
しかし、規則11.1bには、次のような「例外」がありました。
「パッティンググリーンからプレーされた球が偶然にパッティンググリーン上の人、動物、動かせる障害物に当たった場合は、そのストロークはカウントせず、球は元の箇所にリプレースしなければならない」
この「人」にはプレーヤー自身も含まれます。ですから、パーネビックは正しくはボールを元の箇所にリプレースし、ボギーパットを打ち直さなければならなかったのです。
にもかかわらず、そのままプレーしたため、いわゆる「誤所からのプレー」となって2罰打の付加。結果、トリプルボギーになってしまいました(最初のボギーパットはノーカウントですが、次に誤所から放ったボギーパットに、2ペナの付加)。
追加のローカルルールで、本人に当たった場合はあるがままに
当時、この事例は大変レアで、規則上興味深いケースとしてメディアに取り上げられました。
そして、全米ゴルフ協会(USGA)とR&Aはその後すぐに、パーネビックのような誤りを防ぐよう、新たなローカルルールを設けたのです。そのひな型(モデルとなる規則文)は、
「規則11.1b例外は、次のものに当たった場合は適用しない。
・そのプレーヤー
・そのストロークを行うためにそのプレーヤーによって使用されたクラブ
・またはルースインペディメントとして定められる動物
そのストロークはカウントし、球はあるがままにプレーしなければならない」
つまり、グリーン上からパットしたボールが、プレーヤー以外の人に当たった場合はジェネラルルールどおりノーカウントで打ち直しですが、プレーヤー自身に当たった場合はカウントで、ボールはあるがままとするローカルルールが提案され、実際、ほとんどの競技がこのローカルルールを採用していました。