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- 軟鉄やマレージングにクロモリ… 色々あるアイアンのヘッド素材はそれぞれどんな特色があるの?
アイアンのカタログを見ると、ヘッド素材にもいろいろな種類があります。素材によってどんな違いがあるのでしょうか。東京・代官山の「プレミアムゴルフスタジオ」を主宰し、ツアープロのクラブ調整なども行っている吉田智さんに聞いてみました。
軟鉄はネックを曲げてロフト・ライの調整ができる
アイアンのヘッド構造を見ると、マッスルバックやセミキャビティなどのように1種類だけの素材で作られているものと、パーツによって異なる複数の素材を組み合わせたものがあります。
後者はおもにボディーとフェースのパーツに分かれていて、さらに内部に樹脂などの素材が封入されたり、ウエートとして比重の重い金属が内蔵されているケースが多く、中空構造の場合はバックフェース部分の「フタ」のパーツがある場合もあります。
ただし最近では単一素材のアイアンでも、ソール部分などにウエートが内蔵されている場合もあるようです。
東京・代官山の「プレミアムゴルフスタジオ」を主宰し、ツアープロのクラブ調整なども行っている吉田智さんは、まずボディー素材に注目してほしいといいます。
ネック部分を含むボディー部分の素材は、おもに「軟鉄」と「ステンレス」に分けられますが、これがアイアンの特性を大きく左右するそうです。
「軟鉄は炭素を多く含んだ鉄で素材としてやわらかく、鍛造によってアイアンヘッドに加工されます。打感のやわらかさが特徴としてフォーカスされがちですが、我々フィッターとしては『ネックが曲げられる』ことが最大のメリットなんです」
「中・上級者の多くは、購入時に自分に合わせてライ角を調節したり、ロフトにバラつきがないように整えてから使うので、ネックが曲げられることはとても重要なんです」(吉田さん)
軟鉄には「S20C」や「S25C」などの種類がありますが、これは炭素含有量を示す数値で、炭素含有量の少ない「S20C」のほうが若干やわらかい素材です。
一方、ステンレスはクロムという成分を多く含んだ鉄で、サビにくく硬い素材です。鋳造によってアイアンヘッドに加工されるので、大量生産に向いていて、細かな設計がしやすかったり、製品の精度が高いといった特徴があります。
「金型に入れて鋳造するので個体ごとのバラつきは軟鉄よりも小さく、素材が硬いので使っているうちに曲がったり摩耗しにくいのが特徴です」
「鋳造は鍛造よりも安価に製造できるので、構造が複雑でコストがかかりやすい高機能ヘッドにも向いています。ただしネックが曲げられないのでロフトやライ角を調整することができないのが大きな難点です」(吉田さん)
ただしピンのアイアンは、ステンレス鋳造であっても購入時にライ角を選ぶことができるので、あとで曲げて調節しなくても、自分に合ったライ角で使うことができます。
このほかにも少数ですが「ニッケルクロムモリブデン鋼」という素材を使ったアイアンもあります。略して「クロモリ」ともいわれますが、軟鉄よりは硬く、ステンレスよりはやわらかい素材で、少しならネックも曲げられるそうです。
薄くて弾くフェースは深重心でやさしくできる
単一素材のアイアンは、ボディーもフェースも同じ素材で一体構造ですが、複数素材を組み合わせたアイアンは、フェースの素材もいろいろです。
多くの場合、フェースはボディーよりも硬くて軽い素材で作られることが多いようです。
同じステンレスでもボディーとは少し異なる特性を持ったものだったり、マレージング鋼やチタンなども多く使われています。
「硬い素材は薄く、軽くしても強度を出せるので、フェースにそういった素材を使うことでヘッドの前側を軽くすることができ、重心が深い『やさしい』アイアンを作りやすいのがメリットです」
「また硬くて薄い素材は弾きもいいので、ボール初速を上げて飛距離性能を高めるのにも有効です。その反面、インパクト時の球離れが速く、ボールコントロールをしにくく感じたりバックスピンが減りやすいので、コントロール性が得にくいという側面もあります。マレージングはとくに弾きがよく、チタンは軽いことが大きな特徴です」(吉田さん)
このほか、樹脂系の素材は、インパクト時の振動を抑えて打感をやわらかくするために、内蔵されたりフェースの裏側に搭載されることが多い素材です。
タングステンなどの比重の重い金属は、ウエートとして使われます。ヘッド内部の任意の位置に埋め込むことで重心位置を調節する役割を担っており、どこに装着されているかによってヘッドの味付けも見えてきます。
ソールの底であれば低重心化し球が上がりやすくするため、ヒール側であれば重心距離を短くしつかまりをアップさせるため、ヘッド後方などの外縁部であれば周辺重量を増やして慣性モーメントを大きくしミスヒットに強くするため、などです。
「アイアンの打感はインパクトする打点部分の金属が厚いほど軟らかくなるといわれており、薄く弾きのいいフェースよりも、軟鉄の単一素材ヘッドのほうが打感はやわらかくなります」
「そういった打感やネックの加工性の面からも、軟鉄鍛造ヘッドは中・上級者向けが多く、複雑な構造でやさしく飛ぶアイアンが作りやすいステンレス鋳造ヘッドは、初級者向けが多いという傾向はあります。素材を見るとアイアンの特徴が見えてきますので、自分に合った1本を見つける情報として活用してください」(吉田さん)
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