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- 「俺もそろそろ憧れのマッスルバックに…」 キャビティバックとの根本的な違いや“乗り換え”タイミングの目安は?
「マッスルバックはカッコいいけど難しい」というイメージを持っている人は多いと思います。「マッスルバック」と「キャビティバック」の具体的な違いを人気フィッターの石井建嗣(いしい・たけし)さんに聞きました。
マッスルバックはバックフェースに厚みがありヘッドが小ぶり
「マッスルバックはカッコいいけど難しい」というイメージを持っている人は多いと思います。確かにマッスルバックは主にプロや上級者が使っていますが、「いつかは憧れのマッスルバックを使いたい」と思っているゴルファーもいることでしょう。
そもそも「マッスルバック」と「キャビティバック」の具体的な違いをご存じでしょうか。今回はこの2つの違いと、それぞれの形状がどういったゴルファーに向いているかを解説しようと思います。

まず簡単に「マッスルバック」と「キャビティバック」の形状を説明します。マッスルバックは昔ながらのアイアンの形状でバックフェースに厚みがあり、ヘッド自体が小ぶりなモノが多いです。
逆にキャビティバックはバックフェースがくりぬかれた形状で、その分ソール部分に重量が配置されています。またマッスルバックに比べてヘッド自体が大きいモノがほとんどです。
「操作性が高い」マッスルバック
マッスルバックはヘッドが小ぶりなため重心距離が短いのが特徴です。またソールが薄く、バックフェースに比較的均等に厚みを持たせていることから重心深度が浅く、高重心なヘッドになっています。
つまり、ヘッドを自分でコントロールしやすく、簡単に言うとキャビティバックよりも「操作性が高い」ということになります。また重心が高いので、ダウンブローでボールを捉えられるゴルファーでないと芯で打てないのもポイントです。
例えば、身長175センチでドライバーのヘッドスピードが45m/sの男性なら、3~4度のダウンブローで打てなければマッスルバック本来の力を発揮させることが出来ません。
芯が広いのがキャビティバック最大のウリ
対するキャビティバックはヘッドが大きいことから重心距離が長く、ソール部分に重量が乗っているため重心深度が深く、低重心になっています。つまり、芯が広いモデルになるのがキャビティバックの最大のウリと言えます。同時にヘッドがブレにくく、マッスルバックに比べて打ち出しが高い球になるので、非力な方でも球を上げることが出来ます。
さらに、重心が低いのでそこまで打ち込む必要が無く、アマチュアゴルファーに多い「払い打ちスイング」でも芯付近に当たってくれます。結局の所、大多数のアマチュアゴルファーはキャビティバックを使った方が簡単にスコアメーク出来るという点で、キャビティバックは優しいというイメージがついているのです。
ちなみに近年はアイアンの「ストロングロフト化」が進んだこともあり、以前より圧倒的にキャビティバックのアイアンが増えました。本来ロフトを立てると球が上がらなくなるのでアイアンは難しくなります。ただキャビティバックは前述した通り、比較的簡単に球を上げてくれる構造なので、ロフトを立てても番手通りの高さを確保出来ます。ある意味でキャビティバックの進化が、ストロングロフトの流れを作ったといってもいいでしょう。
ダウンブローで打てるようになったらマッスルバックへの変更検討も〇
ここまでの説明だと、キャビティバックの方が全てのゴルファーにとって良いのではないか?と疑問を持つ人もいるかもしれません。ただ冒頭で話した通り、プロや上級者はあえて難しいといわれるマッスルバックを使っています。その理由はシンプルで、彼らにとってはマッスルバックのほうが、恩恵があるからです。
最大の恩恵はスピン量です。重心の高いマッスルバックは同じように打ってもキャビティバックよりスピンが入ります。まして彼らは、しっかりとしたダウンブローで打てるのでマッスルバックの芯で打つことも容易です。プロの試合のような非常に硬いグリーンにおいては、マッスルバックが生むスピン量で止める方が簡単ということなのです。つまりコースコンディションが厳しくなればなるほど、マッスルバックの本領が発揮される場面が増えるというわけです。
まとめになりますが、初級から中級のアマチュアゴルファーの大半はキャビティバックのほうが、結果が出やすいのはいうまでもありません。ただしっかりとしたダウンブローで打てるようになれば、憧れのマッスルバックを打つことも可能です。測定器で自分のダウンブローの数値を知るのが一番ですが、測定器が無い場合はコースでターフが取れだして来たらヘッドの変更を検討しても良いと思います。
【解説】石井 建嗣(いしい・たけし)
香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者である浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる職人肌。出演するYouTubeチャンネル「ズバババGOLF」では軽快なトークで人気を集める。
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