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- カーボンアイアンシャフトが“市民権”を得た? 流行の背景は選択肢の増加と体への負担 …さらには物価高騰も!?
近年、多くの女子プロがアイアンにカーボンシャフトを入れています。数年前からカーボンシャフトの使用率が高くなり、同時にそういったシャフトを使用しているプロが優勝したり、上位に食い込んだりする機会が増えました。今回はカーボンアイアンシャフトの流行りの背景について人気フィッターの石井建嗣(いしい・たけし)さんに聞きました。
ここ数年でカーボンアイアンシャフトの選択肢が増えた
近年、多くの女子プロがアイアンにカーボンシャフトを入れています。5年ほど前までは「NSプロ850GH」などのスチールシャフトが女子プロのトレンドでした。しかし、数年前からカーボンシャフトの使用率が高くなり、同時にそういったシャフトを使用しているプロが優勝したり、上位に食い込んだりする機会が増えました。
また、男子ツアーでも使用しているプロが数名現れ、アマチュアゴルファーもこの流れに沿ってカーボンアイアンシャフトに変更する人が増えてきました。今回はこのカーボンアイアンシャフトの流行りの背景について説明しようと思います。
理由はいくつかありますが、まずカーボンアイアンシャフトの選択肢が増えたことが挙げられるでしょう。そもそも5年以上前はカーボンのアイアンシャフトといえば60グラム以下の軽いものがほとんどでした。同時に軟らかいシャフトが大半で、これらのシャフトはプロが使用するレベルに達していなかったというのが本音です。
もちろん、その当時からそれなりの重さの製品もなかったわけではないのですが、ジュニア時代からスチールシャフトを使い慣れているプロが、わざわざカーボンシャフトを手にする機会はほとんどありませんでした。ちなみに当時のカーボンシャフトはスチールシャフトに比べるとはるかに金額が高かったので、アマチュアゴルファーが無理してカーボンシャフトを選択するということはほとんどありませんでした。
しかし、ここ数年でカーボン素材が進化しました。シャフトメーカーの開発努力が実を結び、10グラム単位で選べるカーボンアイアンシャフトが多数登場しました。軽い製品は50グラム以下から、重い製品では120グラム以上まで、さらにはフレックスも多彩になり、選択肢が増えたことが使用率アップにつながった一番の要因といえます。
そもそも、カーボンはスチールに比べて設計の自由度が高いので、シャフトメーカーさんが本気になれば作れなかったわけではなかったのです。ただ、残念なことにアイアンシャフトはウッドシャフトに比べて利益率が悪いことから、どうしてもウッドシャフトの開発を優先せざるを得なかったのです。
しかし、近年はそのリスクを背負いながらも、多数のアイアンカーボンシャフトを世に送り出したことで、結果的にシェアを拡大しました。そういう意味ではカーボンシャフトメーカーが自らこの流れを作ったといっても過言ではないでしょう。
スチールシャフトに比べて「衝撃吸収能力」が優れている
また、実は女子プロの多くがカーボンアイアンシャフトにシフトしたもう一つの理由に体への負担が少ないことが挙げられます。これは私のフィッティングでも必ず話す内容ですが、カーボンシャフトはスチールシャフトに比べて、「衝撃吸収能力」がかなり優れています。
実は手首、ヒジ、肩、首に多少なりとも違和感を持っている女子プロは多いです。当たり前ながらプロの練習量は我々アマチュアゴルファーの比ではありません。そんな彼女たちが少しでも体への負担を減らすために採用したのがまさにカーボンアイアンシャフトなのです。
ゴルフを始める年齢が低年齢化する中で、ジュニアゴルファーの体への負担は決して少なくありません。女子プロだけでなく、学生や研修生などもカーボンアイアンシャフトの使用割合が増加傾向にあるのはこういった理由があるのです。
この流れは間違いなくアマチュアゴルファーにも浸透しています。フィッティングをしていても5年以上前までは男性ゴルファーは「男はスチールだろ」という考えが根強い印象でした。しかし、近年はカーボンアイアンを目当てにフィッティングを受けに来る人も増えました。
また、これはたまたまですが世界的に鉄の金額が高くなり、結果スチールシャフトの価格も以前より高くなりました。これもカーボンシャフトに移行するきっかけになったという人もいます。
こう説明していくとさまざまな背景がありますが、近年は間違いなくカーボンアイアンシャフトが市民権を得たというのは間違いありません。
【解説】石井 建嗣(いしい・たけし)
香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者である浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる職人肌。出演するYouTubeチャンネル「ズバババGOLF」では軽快なトークで人気を集める。
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