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- ハッキリいって“難しい”の? 松山英樹の11勝目を演出した「センターシャフトのブレード型」パターの取扱説明書
米男子ツアー開幕戦「ザ・セントリー」で松山英樹選手が優勝。ツアー記録となる「35アンダー」という記録を支えた新しいパターが注目を集めています。「ブレード型センターシャフト」という使用者の少ない形状のパターにはどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
フェース面を繊細にコントロールできる
先日、松山英樹選手が開幕戦の「ザ・セントリー」を制してUSPGAツアー11勝目を挙げましたが、その際に使っていたニューパターが話題になっています。
松山選手が新たにバッグに入れたのは、スコッティキャメロンの「009Mツアー」というプロトタイプパター。これはブレード型のセンターシャフトで、市販もされておらず、同じタイプのパターもあまり市場にないめずらしい形状です。

実は、ゴルフフィールズユニオンの小倉勇人店長は、以前からセンターシャフトのブレード型パターの愛用者。そこで小倉店長に、このタイプのパターの特徴やメリットについて、話を聞きました。
「私は以前から『センターシャフトのブレード型』を愛用しており、プロギア、ロマロ、ベティナルディなど、このタイプのパターを多く所有しています。しかしあまり人気はないようで新しいモデルがなかなか出てきませんが、『発売されたら必ず買う』くらいこだわっています」
「このタイプの最大の特徴は、シャフトの軸線に近い部分でボールをヒットするため『直感的に当てやすい』点、そして非常に操作性が高い点です。手先の動きとフェースの向きが誤差なく連動するので、自分の意図したとおりにヘッドが動いてくれるんです」(小倉店長)
センターシャフトのパターは、その名のとおりシャフトがヘッドのトゥ・ヒールの真ん中に直接突き刺さっているような形状です。そのため、シャフト軸線からヘッドの重心までの距離を示す「重心距離」が0ミリ。ということは、テニスのラケットやハンマーなどのようにシャフトの延長線上で直接ボールを打つようなイメージが出やすく、インパクトのタイミングやフィーリングを直感的にイメージしやすいのです。
また、重心距離がないということはフェースの開閉の抵抗が極めて小さいため、操作性も高いのが特徴です。
なお、ネックがないぶん、一般的なブレード型と比べるとヘッドの重心が低くなり、ヘッドを低く動かすイメージが出やすい点、重心距離がないためフェースの開閉のエネルギーが生じず、同じように振っても「飛ばない」傾向があるのも特徴のひとつだと小倉店長はいいます。
「実は松山選手のパターは、厳密な意味でのセンターシャフトではなく、シャフトが若干ヒール寄りにズレています。スコッティキャメロン氏が設計するパターは、彼の設計思想上重心距離0のモデルはなく、松山選手のパターもその例に漏れません」
「そのため完全なセンターシャフトモデルと比べると若干普通のピン型に近いフィーリングが残っていると思いますが、それでもいままで愛用していたクランクネックのブレード型と比べると敏感でシャープな操作性を持っていると考えられます」(小倉店長)
シャフトの軸線上でヒットする感覚が好きな人にオススメ
センターシャフトのブレード型パターは、普通のブレード型だと芯でボールをとらえる確率の低い人が使うと、シャフト軸線上で直感的にヒットしやすく、ミート率が上がる可能性があると小倉店長はいいます。
また、重心距離のせいで普通のパターに振りにくさを感じている人にとっては、振り心地がシャープで気持ちよくストロークしやすいと感じられるかもしれません。
しかし一方で、芯を外した場合にはシャフトを中心にヘッドが回転しやすいので方向がブレやすいデメリットもあります。そのため、決して「やさしいパター」とはいえず、パターマットなどでは気持ちよく打てても、プレッシャーのかかるコースでは思ったように打てないケースも多いので、注意は必要だといいます。
なお、マレット型のセンターシャフトなら、各社からある程度の数のモデルがラインアップされています。ヘッド自体の慣性モーメントが大きいぶん、フェース開閉のシャープさは劣りますが、シャフト軸線上でヒットするフィーリングは残ります。センターシャフトのヒット感は好きだけれど多少のミスヒットへの寛容性がほしい人は、そういったパターを選ぶのもアリかもしれません。
「センターシャフトのパターにはもうひとつ大きな特徴があります。それはフェース面がシャフト軸線よりも前にある点です。クランクネックもベンドネックも最近流行りのショートスラントネックも、ネックのぶんのオフセットがついていて、フェース面はシャフト軸線よりも後ろにあります」
「センターシャフトは、この差のぶんネックのあるパターよりもインパクトのタイミングが早いので、その点には注意が必要です。また、クラブの位置、シャフトの角度が同じになるように構えると、ネックのあるパターよりもボール位置が左に寄りになるので、そのぶんのアジャストも必要だということは知っておいてください」(小倉店長)
つまり、センターシャフトのパターを使う場合、ボール位置を普段よりも左にしないと、意図せずハンドファーストになってしまい、パターのロフトが立ちすぎて転がりが悪くなる危険性があるのです。
また、パターに合わせてボール位置を左にすると、構えた際のボールの見え方や、インパクトのタイミングなどにもズレが生じます。それに気づかずに同じように打とうとすると、方向やタッチがズレるミスも出やすいので、こういった点のアジャストは必ず行うようにしましょう。
これらを考慮すると、左目が利き目の人のほうが違和感なく使えるかもしれない、と小倉店長はいいます。
「決してやさしいパターではありませんが、自分でパターを操作する感覚を養いやすく、直感的に扱えるぶん好調時には本当によく入ります。商品の選択肢は多くありませんが、機会があればぜひ試してみてほしいですね。松山選手のおかげで人気が出れば、各社からこのタイプのモデルが発売されるかもしれませんので、個人的にも期待しています」(小倉店長)
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