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流行の兆しがある「シャフト斜め挿しパター」はこれからの主流になる? メリットとデメリットを分かりやすく解説

2025.01.20 鈴木康介
オデッセイ ゴルフギア パター

アダム・スコットなどPGAツアー選手が使用して話題になっている「L.A.B.GOLF(ラブゴルフ)」、そして2024年12月に発売されたオデッセイ「Ai-ONE SQUARE 2 SQUARE(スクエア・トゥ・スクエア)」など、シャフトを斜めに挿したパターが流行の兆しを見せています。そこで、ゴルフフィールズユニオンの小倉勇人店長にこれらのパターのメリットデメリットを聞きました。

重心角が180度でフェースがねじれにくいのが特徴

 2024年12月6日、オデッセイから「Ai-ONE SQUARE 2 SQUARE(スクエア・トゥ・スクエア)」という新しいパターが発売されました。

 このパター、AIによるフェース設計で話題となった「Ai-ONE」のシリーズですが、従来のモデルとはかなり趣が異なっている異形のパターです。

 というのも、3モデルあるヘッドのいずれもがシャフトがヘッドのど真ん中に刺さっていて、しかもややフェース側に傾けられているのです。これにともないロフトも6.3度と一般的なパターよりも2~4度ほど多くつけられており、ハンドファーストな状態で使うことを前提に設計されているといえます。

2024年12月に発売されたオデッセイ「Ai-ONE SQUARE 2 SQUARE(スクエア・トゥ・スクエア) #7」パター
2024年12月に発売されたオデッセイ「Ai-ONE SQUARE 2 SQUARE(スクエア・トゥ・スクエア) #7」パター

 しかしよく見るとこの構造、いまプロや上級者の間で大流行している「L.A.B.GOLF(ラブゴルフ)」のパターと酷似しています。もしかして、これがこれからのパターの主流になるのでしょうか? ゴルフフィールズユニオンの小倉勇人店長に話を聞きました。

「オデッセイの『SQUARE 2 SQUARE』と、『L.A.B.GOLF』のパターは、確かによく似ています。1つはまずどちらも重心角が180度で、フェースがねじれにくい設計という点。L.A.B.GOLFは『ライ角バランス』、オデッセイは『ストロークバランス』と表現していますが、いずれもネックがなくヘッドの重心にそのままシャフトが刺さっているので、パターをフリーにしたときにトウが上を向いたままフェースの向きが変わらないのです。両者とも、これによって“真っすぐ”ストロークしやすいことをうたっています」(小倉店長)

 重心角が90度でパターをフリーにしたときにフェースが真上を向く「フェースバランス」もフェースの開閉を抑えるという点ではこれに近い発想ですが、実際に構えた際にはターゲットに対して90度右を向く形になるため、矛盾もあります。

 その点「ライ角バランス」「ストロークバランス」はそれをさらに追及し、目標に対してフェースが真っすぐ向いたまま動かしやすい設計というわけです。

「実はこれは特別新しい発想ではなく、オデッセイは『トウ・アップ』や『バックストライク』などで過去に商品化したことがありますし(いずれも現在は生産終了)、イーデルゴルフなども同じような設計思想のパターを作っていました。これらは『フェースがねじれない』のは確かですが、パターにもライ角がある以上、完全に『真っすぐ』ストロークすることが難しいなかで違和感が勝りがちで、広く普及するには至らなかったのだと思います。ネック形状が独特になりやすいため、構えにくく感じる人が多かったことも、デメリットの一つでした」(小倉店長)

フェースが前にあるのにハンドファーストに構えられる

「L.A.B.GOLF」や「SQUARE 2 SQUARE」のもう1つの大きな特徴は、シャフトがヘッドに対して目標方向に傾くように装着されている点です。

 現在市販されている多くのパターは、センターシャフト以外のほとんどのモデルが、ネックの構造によって、シャフト軸線に対してフェース面がシャフト半分から1本ぶんほどオフセット(目標に対して後ろ方向にズレる)しています。

 そのため、基本的にはボール位置よりも少し手元が前にあるハンドファースト状態で構えるのが主流になっています。

 一方「L.A.B.GOLF」や「SQUARE 2 SQUARE」は、シャフトがヘッドの真ん中についているため、当然、フェースはシャフトよりも前側にあります。これは一般的なパターに慣れた人にとっては違和感が大きく、球のつかまりも悪くなりやすい側面があります。

 そこでシャフトをターゲット方向に倒すように斜めに挿すことで、オフセットがなくてもハンドファーストに構えやすくしたというわけです。

「確かにこれならば、フェース面がシャフト装着部よりも前にある構造にもかかわらず、ボール位置が左になりすぎず、ハンドファーストな構えを作れます。ロフトが多いのも、この構えを作ったとき適正ロフトになるような配慮です」

「これがストロークバランス/ライ角バランスのヘッドを、“普通に近い”構えで使うための工夫なのでしょう。とはいえ個人的には、構えてみるとシャフトが傾くことに独特の違和感があり”普通の構え“とは感じにくかったので、これを受け入れられるかどうか、意見が分かれるところだと思います」(小倉店長)

 一方で、アームロックのように左腕とシャフトを一体化させるイメージは出やすかったと小倉店長はいいます。

 そう考えると、基本的には独特の形状に合わせた構え方・打ち方が要求されるパターであり、そこに違和感がない人、もしくは慣れた人にとっては「真っすぐ」の恩恵を受けられるといえるかもしれません。

「慣れや適正は必要だとしても、徹底的に『真っすぐ』を意識してストロークする人にとっては、このストロークバランス/ライ角バランスは魅力かもしれません。しかしパターといえども前述のようにライ角がついている道具ですので、実際は本当に『真っすぐ』動かすのは難しいですし、現状では多くのパターがある程度の重心角がつけられ、多少のフェースの開閉を伴うアーク(弧)の軌道を前提とした設計になっています」

「それに慣れている人が多い以上、『L.A.B.GOLF』や『SQUARE 2 SQUARE』のようなパターが『主流』というところまで一般化する可能性は低いのではないでしょうか」(小倉店長)

 いずれも個性派パターという立ち位置にはなりそうだが、ハマる人にとっては唯一無二になり得るパター。気になる人は試してみる価値はありそうです。

【画像】想像以上に真っすぐ打てる! 「Ai-ONE SQUARE 2 SQUAREパター」3モデルをもっと見る

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