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- 打ち出し角を上げるためだけじゃない! ドライバーでボールを左に置いてアッパー軌道にするもうひとつの理由
ドライバーを構えた時のボールの正しい位置に関して、「左足のかかと線上」と言われることが多いですが、なぜなのでしょうか。今回はドライバーのボールの位置について、人気フィッターの石井建嗣(いしい・たけし)さんに解説してもらいました。
左に置く理由はアッパー軌道でボールをとらえるため
ドライバーを構えた時のボールの正しい位置に関して、「左足のかかと線上」と言われることが多いですが、スタンスの広さでかかとの位置は変わってきます。また、そもそもドライバーショットの時、なぜ真ん中より左にボールを置かないといけないのかを理解していない人も多いと思います。今回はドライバーのボールの位置について考えてみようと思います。

まず、なぜボールを真ん中より左にセットするのかというと、アッパー軌道でボールをとらえるためです。スイングの軸が固定されていれば、クラブの入射角は真ん中付近で最下点をむかえます。つまり左にあることで自然と最下点から上がっていくところでボールをとらえることが出来ます。
アッパー軌道でインパクトするべき理由は2つ。ひとつは打ち出し角を確保するためです。たとえばヘッドスピードが40m/sのゴルファーは、15度程度の打ち出し角が理想と言われています。ドライバーのロフトに加えてアッパー軌道でとらえることで、適正なインパクトロフトになり、理想的な打ち出し角が確保出来るわけです。
もうひとつはスピン量を減らすためです。基本的にアッパー軌道で打つとスピン量が減ります。アイアンを打ち込む理由がスピン量を増やしてグリーンでボールを止めるためと考えれば分かりやすいかもしれません。つまり飛距離を稼ぎたいドライバーショットにおいては、出来る限りスピン量を減らして前に進むようにするためにアッパー軌道で打つ必要があるのです。
スイング軌道とフェースの向きに着目
どのくらい左に置けばよいかというと、これはスイング軌道とフェースの向きに着目します。スライスを連発するゴルファーに「もっと左に置けばフェースが閉じるのでつかまりやすくなるよ」とアドバイスする人がいますが、これは半分正解ですが半分は間違いです。確かにフェースの向きだけに着目すればダウンスイングではフェースは開いており、フォローにかけて閉じていきます。つまりボールを右に置けばフェースはオープンになりやすく、逆に左に置けばクローズになりやすいので捕まりやすくなるという理論は間違いではありません。
ただスイング軌道という点に着目すれば間違っています。スイング軌道はダウンスイングではインサイドアウト軌道で降りてきて、フォローにかけてアウトサイドイン軌道になります。要するに右にあればあるほどインサイドアウト軌道になり、左に行くにつれてアウトサイドイン軌道になります。アウトサイドイン軌道になればなるほどスライス回転がかかるので球のつかまりは悪くなります。
以上、ボールの位置の正解は、「真ん中より左」ということ以外は明言することが出来ません。スイング軌道とフェースの向きのように相反する部分もありますし、何よりプレーヤーそれぞれのスイングの癖もあります。測定器でインパクトの数値を見て一番数値が良くなる部分を見つけていくしかないでしょう。ただ、こういった原理を知ったうえでボールの位置を変えて打ってみると、意外といつもより真っすぐ遠くへ飛ばせる可能性も出てきます。現状のボールの位置が正解と思わずに色々試してみることをお勧めします。
【解説】石井 建嗣(いしい・たけし)
香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者である浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる職人肌。出演するYouTubeチャンネル「ズバババGOLF」では軽快なトークで人気を集める。
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