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- キャロウェイの新旧ミニドラをコースで試打比較! 旧作が安く買えても「ELYTE MINI」を選択すべき理由とは?
ゴルフクラブの新しいカテゴリーとして定着しつつある「ミニドライバー」。今回はその代表モデルの一つであるキャロウェイ「エリート ミニ」をコースで試打してきました。筆者(ゴルフライター・田辺直喜)が所持する前作「パラダイム Ai スモーク Ti340 ミニ」と弾道比較をすると、その飛びに明らかな進化が見られました。
筆者がミニドライバーを好む理由
キャロウェイが4月18日に発売した新モデルが「エリート ミニ」です。ヘッド体積が340cc、クラブ長さが43.5インチ、11.5度と13.5度のロフト角が用意されるなど、ドライバーと3番ウッドの中間のスペックに調整されたいわゆる「ミニドライバー」です。

「ミニドライバー」はこれまで一部のメーカーだけが限定で発売していたクラブでしたが、昨年、キャロウェイが参入。今年に入ってからさらに複数のメーカーが「ミニドライバー」の新製品を出すなど、今大きな注目を集めているクラブカテゴリーの一つになっています。
性能面における「ミニドライバー」の特徴は、振り抜きの良さと方向性の高さです。
大型ヘッドのドライバーは設計自由度が高い分、フェースの反発力アップやミスに対する寛容性を高めることが可能になります。しかし、ヘッドが大きいことで、空気抵抗が大きくなったり、シャフト軸から重心が離れたりする分、スイング中のしなり挙動が大きくなってタイミングが取りにくくなる恐れもあります。大型ヘッドのドライバーに振りにくさ、苦手意識を持つゴルファーは少なくありません。
かくいう筆者もその一人です。ゴルフを始めた時のドライバーはヘッド体積300cc以下で、今の「ミニドライバー」よりさらに小ぶりでした。当時はドライバーが得意で狭いホールでも積極的に使っていましたが、市場に出回るドライバーが大型化していくにつれ、次第に振りにくさを感じるようになりました。一番ひどい時はコースでまともに打つことができず、ティーショットに3番ウッドを多用するなど、イップスに近い状態になったこともあります。
スイングやギアの工夫で最近は大型ヘッドのドライバーも打てるようになってきましたが、それでも漠然とした違和感のようなものが残っていました。そのため、「ミニドライバー」というカテゴリーのクラブが登場してからは、定期的に購入して使用していました。フェアウェイウッドやアイアンに近い感覚でスイングできて、しっかり飛距離も出るクラブとして、ドライバーの代わりに入れていたわけです。
その意味で、昨年発売されたキャロウェイの「パラダイム Ai スモーク Ti340 ミニ」(※以下「Ti340 ミニ」)は理想的なクラブでした。340ccというミニドライバーとしてはやや大きめのヘッドサイズで、かつてドライバーが得意だった頃に使っていたスペックに近い作りだったからです。「ミニドライバー」はドライバーと3番ウッドの間を埋める「2番ウッド」として投入する人もいますが、筆者にとっては完全にドライバーに代わるクラブですので、「Ti340 ミニ」くらいのサイズ感はまさに絶妙。昨年その存在を知った時は歓喜して、真っ先に入手したのを覚えています。
今でも「Ti340 ミニ」をエースとして使用しているわけですが、それから1年もたたないうちに同じキャロウェイから新作の「エリート ミニ」が発売となったわけです。正直「もう出るの?」という気持ちもありますが、生粋の「ミニドライバー愛好者」としては試さずにはいられません。そこで今回はコースに「エリート ミニ」と筆者が所持する前作のヘッドを持ち込み、試打比較を行いました。前作から一体どれほどの進化を遂げているのでしょうか。
反発性能に明確な違いが!
まずはそれぞれのクラブの顔(ヘッド形状)をチェックしました。ほとんど同じに見えましたが、グレーカラーの「Ti340 ミニ」に対し、「エリート ミニ」は黒を基調としている分、締まった印象の顔になっていました。適度にフェースの高さがあるため、ティーアップしたボールに対しても安心して構えることができます。
コースでは、同じシャフト(筆者私物の三菱ケミカル「ディアマナBB63(X)」)にヘッドを付け替えながら使用する形で試打を行いました。同じシャフトなのである意味当然ですが、振り感は非常に似通っていました。ただし、「エリート ミニ」の方がヘッドが少し軽く感じられて、より振り抜きやすく感じました。「エリート」はシリーズ全体で空気抵抗の少ないヘッドシェイプが採用されていますが、その影響かもしれません。
一方で、明らかな違いが感じられたのはボールを打った時の打感です。「エリート ミニ」はインパクトでフェースに乗りつつも、強くはじくような心地いい打感で、飛び出すボールの勢いも段違いでした。フィーリングですでに前作よりもボールが飛んでくれそうな印象です。
実をいうと、前作の「Ti340 ミニ」には少し不満がありました。発売してすぐに入手し、愛用してきましたが、初めて打った時に感じたのは「思ったより初速が出ていない」ことだったのです。
そもそも「ミニドライバー」は振り抜きを重視したスペックに調整されている分、通常の460ccのドライバーに比べて、飛距離性能が落ちる傾向にあります。その理由はクラブが短い分、ヘッドスピードが上がりにくいことと、ヘッドが小さいため、反発力がやや落ちるからです。実際、前作の「Ti340 ミニ」ではどれだけいい当たりでも、大型ヘッドのドライバーと比べて10ヤード以上の飛距離差がありました。ドライバーの代わりとして使うにはもう少し飛距離が欲しいというのが正直な感想だったのです。
しかし、今回の「エリート ミニ」の試打ではフェースの反発性能に明らかな違いが感じられました。試しに筆者が所持する「ボイスキャディ SC4」で弾道データを測ってみると、以下のような数字でした。
【パラダイム Ai スモーク Ti340 ミニ (11.5度)】
ボール初速:64.6メートル毎秒
打ち出し角:13.3度
スピン量:2609rpm
飛距離:264.5ヤード
【エリート ミニ (11.5度)】
ボール初速:65.7メートル毎秒
打ち出し角:15.5度
スピン量:2878rpm
飛距離:274.9ヤード

同じヘッド体積とは思えないほど「エリート ミニ」の方がフェースの反発力が高く、ボール初速が1メートル毎秒前後の違いが出ていました。弾道は「エリート ミニ」の方がやや高めでしたが、前作で気に入っていた振り抜きの良さ、適正スピンの弾道はそのままに、飛距離性能だけ高まった印象です。
ちなみに同じ条件で筆者が所持する大型ヘッドのドライバーの数値も取ってみましたが、ボール初速65.8メートル毎秒、飛距離も275.2ヤードで「エリート ミニ」の数値と大差ありませんでした。「ミニドライバー」の飛距離性能が大型ヘッドのドライバーと遜色ないレベルまで高まっていることは間違いないでしょう。
その後もさまざまなホールで「エリート ミニ」を試してみましたが、ミスヒットへの強さも感じることができました。特に芯を外した時でも飛距離ロスが小さく抑えられるのが印象的で、ティーショットに多用するクラブとして非常に心強い性能を持ったクラブだといえそうです。
まさか昨年の夏に購入したクラブの新作が翌年の春にリリースされて、ここまでレベルアップしているとは思いませんでした。「ミニドライバー」を愛好する筆者にとってはこの上なく魅力的なクラブですが、気になるのは前作より少々お値段も上がったことです。(「パラダイム Ai スモーク Ti340 ミニ」:6万9300円〜、「エリート ミニ」:8万8000円〜 ※いずれも税込み)とはいえ、通常のドライバーを購入することを考えればまだまだお得ですし、大型ヘッドに苦手意識を持つ人にとっては試してみる価値の大きいクラブです。
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