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- チタンVSカーボン論争に新展開? ミズノの新フェース素材が変えるドライバー開発最前線
ミズノの「JPX ONE」をはじめ、2026年はドライバーのフェース素材競争が激化。複合素材や新構造の登場で、反発係数ルールの考え方にも変化が起きている。
「ナノアロイ」が生んだ新たな発想
国内市場では、ドライバーの約60%を海外ブランドが占めているといわれています。実際、個人的にも「どのドライバーがお勧めですか?」と聞かれれば、忖度なしで海外ブランドを推すことが多いです。そんな中、久々に国産ドライバーで大きな話題を集めたのが、3月6日にミズノから発売された「JPX ONE」ではないでしょうか。
このドライバー最大の特徴は、何といっても「ナノアロイ」技術を採用したフェースです。チタンフェースの上にナノアロイ樹脂のシートを装着することで、高反発ドライバーのような初速性能の向上を実現しています。(文/クラブフィッター・石井建嗣)

ちなみに、この技術は同社の軟式用野球バット「ビヨンドマックス」の設計思想を応用したもの。ビヨンドマックスは、打球部に柔らかい素材を採用することでボールのつぶれ過ぎを抑え、飛距離アップを実現したことで知られています。今回のドライバーも同様の考え方で、ナノアロイフェースがインパクト時にフェース全体を大きく変形させることで、ボールのつぶれ過ぎを抑制。エネルギーロスを最小限にしているのです。
ミズノを筆頭に、今年は新しいドライバーフェースが大きな注目を集めています。もう一つ興味深いフェース構造が、キャロウェイの「QUANTUM」です。表面のチタンを従来より薄くしてボールスピードを高めつつ、強度不足を補うために、内側へ中間素材のポリメッシュを挟み込み、その上からカーボンを接着するという業界初の“三層構造フェース”を採用しています。
反発係数ルールにも変化の波
もちろん、早くからカーボンフェースに注力してきたテーラーメイドも無視できません。いまだに「チタンかカーボンか」という議論に明確な結論は出ていませんが、前述したキャロウェイの最新モデルにも一部カーボン素材が使われていることを考えると、以前よりもカーボンが存在感を増しているのは間違いないでしょう。
そういう意味では、今年は「複合素材フェース元年」と呼んでも過言ではないかもしれません。正直、各社の最新ドライバーがすべて過去モデルを上回っているかと言われると、必ずしもそうとは思いません。ただ、各メーカーが新たな挑戦をしていることが明確に伝わってくるのは、個人的に非常に面白い部分です。
ゴルフクラブの進化は、素材の進化が最も分かりやすく表れる分野です。「以前より飛びます」という謳い文句だけでは一般ユーザーに響きづらくなっている今だからこそ、視覚的にも分かりやすい進化が求められているのでしょう。
もう一点、改めて注目したいのが「反発係数ルール」です。反発係数の上限値は0.830以下と定められており、当然これを超えればルール不適合となります。
今回紹介したミズノとキャロウェイは、従来とは異なるアプローチでこのルールをクリアしています。これまでの主流は、「反発係数を超えない範囲で、いかにギリギリまで攻めるか」という考え方でした。しかし両社は、一度ルール適合外レベルまで反発性能を高めたチタンフェースに別素材を加えることで、最終的にルール内へ収めるという逆転の発想を採用しています。
実は、この考え方を早い段階で実践していたのがテーラーメイドです。2019年発売の「M5」「M6」に搭載された「スピードインジェクション」は、一度規定を超える高反発状態にしたヘッドへレジンを注入し、反発係数を規定値まで下げるという技術でした。
当時、テーラーメイドの担当者は車の運転に例え、「各メーカーが規定位置で急ブレーキを踏んで止まっていたのに対し、我々は一度通り過ぎてからバックで止めるイメージ」と語っていました。
この記事を書きながら、5年以上前にこの発想へたどり着いていたテーラーメイドの先進性を改めて感じました。こうした流れを見ても、やはり時代を先行するのはテーラーメイドをはじめとした海外ブランドであり、国内ブランドはそれを追いかける構図が、当面は続いていきそうです。
【解説】石井 建嗣(いしい・たけし)
香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者である浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる職人肌。出演するYouTubeチャンネル「ズバババGOLF」では軽快なトークで人気を集める。
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