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- ミート率が高いのに飛ばない? 打点位置が飛距離を左右する理由
「ミート率」が高ければ飛ぶ――そう考えているゴルファーは少なくありません。しかし、ミート率はあくまで一つの指標であり、数値だけを追い求めると飛距離を落としてしまうケースもあります。今回は、フィッターの視点からミート率の仕組みと、飛距離との関係について解説します。
ミート率は「飛ぶ指標」ではない
「ミート率」が高ければ飛ぶ――そう考えているゴルファーは少なくありません。しかし、ミート率はあくまで一つの指標であり、数値だけを追い求めると飛距離を落としてしまうケースもあります。今回は、フィッターの視点からミート率の仕組みと、飛距離との関係について解説します。(文/クラブフィッター・石井建嗣)

雑誌やテレビなどでよく目にする「ミート率(スマッシュファクター)」。数値が高いほど良いというイメージはあるものの、どのように算出され、何を示しているのか正確に説明できる人は多くありません。また、近年のフィッティングデータを見ると、ミート率が高いことが必ずしも最大飛距離につながるわけではないことも分かってきています。
一般的にミート率は、「クラブヘッドのエネルギーがどれだけ効率よくボールへ伝わったか」を示す指標、あるいは「芯で打てているかを表す数値」と説明されます。こうした解釈は間違いではありませんが、フィッターの立場から見ると少し大まかな表現でもあります。今回は、フィッターの視点からミート率について掘り下げてみます。
ミート率の計算式は非常にシンプルで、「ボール初速÷ヘッドスピード」です。測定器にもよりますが、私が使っているGCクワッドでは1.5辺りが上限値になります。
例えば、ヘッドスピード40m/sでボール初速60m/sならミート率は1.50になります。プロや上級者は平均して1.45以上を記録することも珍しくありませんが、多くのアマチュアゴルファーは1.40を下回るケースもあります。まずは平均して1.40以上を目指すことが、一つの目安になるでしょう。
ただし、この数値だけを追い求めるのはおすすめできません。計算式を見れば分かるように、ミート率はボール初速が上がれば高くなります。同じヘッドスピード40m/sでも、ボール初速56m/sなら1.40、60m/sなら1.50です。
しかし、もう一つ見落としがちなポイントがあります。同じボール初速であれば、ヘッドスピードが遅くなるほどミート率は高くなるということです。
例えば、ボール初速60m/sのままヘッドスピードが38m/sになれば、ミート率は約1.58になります。効率だけを見れば優れた数値ですが、だからといって飛距離が伸びるとは限りません。飛距離を左右する直接的な弾道要素は「ボール初速」「打ち出し角」「スピン量」の3つであり、ミート率だけを意識した結果、無意識にヘッドスピードを落としてしまっては本末転倒です。
最大飛距離と最大初速は一致しない
もう一つ、上級者でも勘違いしやすいポイントがあります。
理論上は、ボール初速だけを追求するならロフトを極端に立てた状態でインパクトした方が有利になります。ロフトが寝ているほどエネルギーの一部は打ち出し角やスピン量へ使われるため、ボール初速だけを見ると不利になるからです。もちろん、ロフト0度のドライバーが飛距離を最大化するわけではなく、そのようなクラブも存在しません。
ここで勘違いしやすいのが打点位置です。
「ボール初速が最も出る場所はどこですか」と聞かれれば、多くの人はスイートスポットを思い浮かべるでしょう。しかし、クラブによっては芯よりやや下でヒットした方がボール初速が高くなるケースがあります。これはインパクト時の実効ロフトが小さくなり、エネルギーが前方向へ伝わりやすくなるためです。
ただし、その打点ではスピン量が増えやすく、結果として飛距離が伸びないことがあります。
一方、多くの現行ドライバーでは、芯よりやや上、さらにわずかにトー側に当たった打球の方が、高打ち出し・低スピンになりやすく、飛距離につながるケースが少なくありません。いわゆる「激芯」と呼ばれる打点です。
つまり、ボール初速が最も高くなる打点と、飛距離が最も伸びる打点は必ずしも一致しないということです。
ミート率に大きく影響するボール初速は非常に重要な数値ですが、それだけで飛距離は決まりません。飛距離を最大化するには、「ボール初速」「打ち出し角」「スピン量」の3要素をバランス良く最適化することが重要です。
ミート率という一つの数字だけに目を向けるのではなく、弾道全体を見ながらクラブ選びやスイングづくりを進めることが、結果的に飛距離アップへの近道になるでしょう。
【解説】石井 建嗣(いしい・たけし)
香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者である浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる職人肌。出演するYouTubeチャンネル「ズバババGOLF」では軽快なトークで人気を集める。
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