1発の飛距離は出やすいが方向性や安定性は落ちる
一般的なドライバーの重量は、約300グラム前後がスタンダード。しかし近年は軽量モデルも増えてきており、中には280グラムを切るようなものも続々登場しています。
しかも、かつては軽量ドライバーと言えばダンロップ「ゼクシオ」のような国内ブランドのアベレージ向けモデルやシニア向けのモデルが中心でしたが、近年ではそれにとどまらず、キャロウェイの「ローグST MAX FAST」、タイトリストの「TSi1」など、海外ブランドでもスタンダードモデルのなかに軽量モデルをラインナップするケースが目立っています。
こういった軽量ドライバーにはどんなメリットがあるのか、ゴルフフィールズユニオンゴルフ店の小倉勇人店長に聞いてみました。

小倉店長は、軽いドライバーには、速く振れるというメリットは確かにあると言います。軽いものは単純に速く振りやすいので、ヘッドスピードを上げる効果があります。また、総重量を軽くすることでクラブを長く設計しやすいので、長さによるヘッドスピードアップを狙うにも有利です。しかし、「軽い=飛ぶ」とは言い切れないと小倉店長は言います。
「軽いクラブは速く振れて1発の飛びが期待できるのは確かですが、それはあくまで正しくスイングできて、芯に当たればという条件付きの話です」
「軽いものは速く動かせる代わりに安定性が低下します。体の悪い動きがクラブにそのまま伝わりやすく、ミスの幅が大きくなる弊害があることを見逃してはいけません。軽いクラブは、ミスしたときの曲がりや距離のブレの幅が大きくなるというデメリットもあるのです」
実際ドライバーは、ただ軽いだけでなく、遠心力と重さのバランスが整ったクラブのほうが振りやすく、コースでは安定した飛距離が出せます。
クラブを軽くするということは、そのバランスを崩してスピードアップに偏ったスペックになるので、1発の最長不倒距離を叩き出す可能性を高めるかわりに、方向性や距離の安定性を犠牲にしていると言えます。
つまり「1発特化型」とも言える軽量モデルは、その機能を求める人にとっては有用ですが、必ずしもすべてのゴルファーにとって最適のクラブとは限らないということは理解しておくべきでしょう。
一方で、量販店などで試打する際、軽いドライバーはヘッドスピードのデータが速く出ますし、他のモデルと打ち比べたときにも「ベストの1発」が出やすいので、ユーザーにとっても「飛ぶクラブ」という印象が残り、選ばれやすいのが実情。
ドライバーに一定の安定性を求める人にとっては、その点は留意する必要があるでしょう。