ボールはフェースが向いた方向に転がりやすい
パッティングの際、みなさんはフェースの向きとヘッドの動き、どちらを重視してストロークしていますか?
「真っすぐ引いて、真っすぐ出す」と、ヘッド軌道に集中しながらパッティングをしている人は多いのではないでしょうか。

しかし、ボールが転がる方向により大きな影響を与えるのは、実はヘッド軌道ではなく、フェースの向きなんです。
その事実が分かる実験があります。フェース面をスクエアにしたまま、アウトサイド・イン軌道やインサイド・アウト軌道でボールを転がしてみてください。
「少しやりすぎかな?」と思うくらいヘッド軌道をズラしても、比較的真っすぐに近い方向に打ち出されるのが分かるはずです。
1メートルならヘッド軌道が±9度ズレていても入る
以前、私が1メートルのパッティングで検証した結果、フェースがスクエアな状態なら、9度のアウトサイド・イン軌道でインパクトしても、9度のインサイド・アウト軌道でインパクトしても、ギリギリカップインすることが分かりました。

「ヘッド軌道が±9度ズレていても入る」と言われても、ピンとこないかもしれませんね。これまで、多くの一般ゴルファーのストロークを解析してきましたが、ゴルフレベルに関わらず、ストロークで軌道が9度もズレる人はほとんどいません。
つまり、ヘッドの動きに対してそれほど神経質にならなくても、皆さんはショートパットでカップインするストロークができているということになります。
ヘッド軌道よりもフェースの向きが大事という話を聞くと、今度は「よし、スクエアフェースをキープしてインパクトするぞ!」と思うかもしれません。しかし、「絶対にフェースの向きをスクエアにしなければカップインできない」というわけではないんです。
1メートルのパットならフェース向きが3度ズレてもOK
例えば、フェースが3度開いた状態、3度閉じた状態でインパクトすると、左右に2.1度から2.4度程度ブレると考えてください。この程度のフェースのズレであれば、1メートル以内のショートパットはカップインさせることができるのです。

ヘッド軌道は±9度までズレてもOK、フェース向きは±3度までズレてもOK。そう考えると、パッティングに自信が湧いてきませんか?
実際は、スクエアフェースに近い状態でインパクトするにはヘッド軌道が大切という要素はあるのですが、ヘッド軌道にもフェース向きにも“ズレ”が許されることを理解しておけば、プレッシャーを感じづらくなるはず。ヘッドがスムーズに動き、ショートパットの成功率がアップするでしょう。
取材協力・GPC恵比寿
【指導】大本研太郎(おおもと・けんたろう)
1974年生まれ。レッシュプロジェクト・マスター級トレーナーの資格を所持。データと理論に基づくティーチングの他、マネジメントやメンタルの分野にも精通したレッスンに定評がある。2018年PGAティーチングアワード最優秀賞を受賞。プロコーチとして、東浩子、藤田さいき、臼井麗香らの指導も行っている。「GPC恵比寿」主宰。