トップ選手の奥歯はボロボロに…!? 知られざるドラコン競技の過酷さとは | e!Golf(イーゴルフ)|総合ゴルフ情報サイト

トップ選手の奥歯はボロボロに…!? 知られざるドラコン競技の過酷さとは

300ヤードを楽に超える世界で戦うドラコン選手だが、飛距離を伸ばすための努力も怠っていないという。どのようなトレーニングを行い、どのような苦労を抱えているのだろうか。

今や筋力トレーニングをすることが当たり前

 最近はプロ制度や大会フォーマットなど業界自体がいろいろと整備されてきたことにより、注目度が高くなりつつあるドラコンの世界。

 通常のゴルフと違い、アプローチやパッティングなどのショートゲームの精度を要求されることもないため、興味を持つ層も着実に増えています。ドライバーショットの飛距離(最近は正確性も問われますが)だけなら勝負できると考える人も多いようで、異業種からの参入も珍しくないようです。

 野球選手のように運動神経に優れている人はもちろん、柔道などの格闘技を経験している力自慢もドラコンの世界に入ってきています。

ドラコン選手だけじゃなく、ツアープロもウェイトトレーニングを取り入れている選手は増えた(写真はイメージ) 写真:unsplash
ドラコン選手だけじゃなく、ツアープロもウェイトトレーニングを取り入れている選手は増えた(写真はイメージ) 写真:unsplash

 当然、そうなるとよりパワーの強い人間が有利になるため、近年のドラコン界では、どの選手も当たり前のように筋力トレーニングを行っています。

「ドラコンはそれこそ手や足の指先まで全身を使うため、体の一部だけ鍛えるのではなく、全身をバランスよく鍛えます。どんなに腹筋や下半身を鍛えても、腕の筋力が弱ければ飛距離を稼ぐことはできませんからね」と、ドラコンプロの岡部健一郎氏は語ります。

 そのため、個人で行うよりも、トレーナーを付けて科学的に筋力アップに励む選手も少なくないようです。

 ただ、パワーアップのために100キロ級のバーベルを上げるようなトレーニングを行っているかと思いきや、軽いものを素早く上げ下げするような瞬発系の筋肉を鍛えるトレーニングの方が多いとのこと。どちらにしても、ドラコンのトッププロは例外なく、ムキムキの体をしているそうです。

 もっとも、海外のドラコン大会では日本選手よりも明らかに体の大きな選手がゴロゴロいるらしく、パワーだけではなかなか彼らを上回ることは難しいようです。

大会を終えてもすぐには帰れない理由とは?

 昔よりもトップレベルの飛距離が伸びたドラコンですが、現在は“接触のない格闘技”と呼ばれるぐらい、体への負担が大きいことが現実問題としてあります。

「3分ないし2分30秒以内にボールを6球打たなければならず、しかもより遠くまで運ぼうとするわけですからね。体には相当な負荷がかかります」(岡部プロ)

 1日何試合か行うと、ボールを打つ数も50球ぐらいになりますが、その都度、一瞬でMAXのパワーを出し切らなければいけないので、体に負担がかかるのもやむを得ないのでしょう。特に負担がかかるのが奥歯で、あまりにも力を込めて噛むためボロボロになることが珍しくなく、治療用のマウスピースをはめて戦う選手もいるそうです。

アマチュアの想像よりも体への負担が大きいドラコン競技 写真提供:大村信行氏
アマチュアの想像よりも体への負担が大きいドラコン競技 写真提供:大村信行氏

 腕にも疲労がくるせいか、終盤の試合だと手が震えてうまくティーアップできない選手もいるとのこと。そのため、試合後すぐに車の運転などできるはずもなく、しばらく休憩してから帰るか、複数で来場するようにしています。

 そんなハードな世界ですが、一般アマも参加できる大会があるのもドラコンのいいところでしょう。

 何しろ、ちまたには飛距離自慢のゴルファーがたくさん存在します。以前は写真入りで飛距離が入った証明書を発行してくれる大会もあったそうで、参加者にはいい記念になったようです。

 ただ、大会には最低限越えなければいけない飛距離のラインがあり、そこに届かないと計測してくれないため、証明書が発行されることはありません。それでもエントリーフィーを払ってまで毎年参加するアマチュアもいるとか。

 ある意味、テレビ番組の“SASUKE”に毎回挑戦する人の気持ちに近いといえるでしょう。そういうアマチュアがどんどん増えてくると、ドラコン人気も今以上に熱くなるのではないでしょうか。

【動画】体への負担がすごそう… 世界チャンピオン「カイル・バークシャー」の449ヤードドライブ
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