進行が遅れている時は準備ができた人から打とう
ゴルフプレーで最も重要だといわれる基本マナー。ところが、時と場合によっては例外的な状況が存在します。JLPGAティーチングプロの岡本恵氏が、「必ずしも遠い人から打つ必要はない」という考え方を解説します。

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ゴルフでは、遠い人から順にショットを打つという原則があります。これは安全のためでもありますし、またプレーヤーがそれぞれのショットに対する戦略を考え、また他のプレーヤーの打球を参考に次のプレーを決定することなどにも影響します。しかし、すべてのシチュエーションでこのマナーを厳密に適用すると、ゲームの進行が遅くなる可能性があります。
アマチュアの方とラウンドしていてよく見かけるのが、自分より遠い人が打つまでどんな状況でも待っているプレーヤー。これは、原則に従っている行動ではありますが、もしホールから遠いプレーヤーが何らかの理由で準備に時間がかかる場合は、進行を遅らせる要因となってしまう可能性があります。
遠い人から打つことが原則ですが、遠いプレーヤーの準備が整っていない場合や近い人が先に打つほうが進行をスムーズにする場合は、ストロークプレーの場合は順番を変えても構いません(ただし、マッチプレーの場合はルール上、遠球先打を守らなければいけません)。これにより、プレーの流れをスムーズに保つと同時に、準備ができていないプレーヤーにも準備する余裕を与える効果があります。
ゴルファーの中には、マナーやエチケット違反だと思って、ホールから遠い人よりも先に打つことを躊躇するゴルファーも少なくないと思います。しかし、適宜、打順を入れ替えることは、世界のゴルフルールを統括する「R&A」が「レディーゴルフ(Ready Golf)」という名称で推奨している考え方なのです。「R&A」は準備ができたプレーヤーから打つことで、ゲームの進行を早めて快適にプレーできる環境を整えることを提案しています。
ホールから遠い人よりも先に打つ際に心がけたいマナー
先に打ってよいといっても、心がけておきたいマナーがあります。
まずは自分よりも遠い位置にいるプレーヤーが既に打つ準備が整っている場合には、あくまでもそのプレーヤーを優先させてください。これはゴルフの基本マナーであり、公平なゲーム進行を保つための重要なポイントです。
そして自分が先に打つ場合、本来打つべきである人に向かって「準備ができたので、お先に打ちます」と、必ず声を掛けてください。この一言が相手に与える影響は大きく、準備がまだのプレーヤーには自分の準備時間を確保する余裕を与え、また、他のプレーヤーには次に誰が打つかを知らせることができます。これはプレーの安全性を確保する上で非常に重要な行動となります。
一方、まれなケースではありますが、自分が先に打つことを宣言した後で、相手から「私も準備ができていますので、先に打ちます」と返される場合もあります。このような場合は、原則に則って、ホールに遠い人から打つようにしましょう。
以上のように、基本的なマナーとエチケットを守るとともに、R&Aが推奨する「Ready Golf」の考え方を臨機応変に取り入れることで、進行をスムーズに保ちながらプレーを楽しんでいただければと思います。
【解説】岡本恵

JLPGAティーチングプロ。ステップ・アップ・ツアー、アジアンツアーに参戦後、2009年よりティーチングプロとしてゴルフ練習場にて一般ゴルファーを指導。約15年の間に指導したアマチュアゴルファーは1000人以上。マナーやエチケットを守りつつも、楽しくゴルフしていただくのがモットー。現在は名古屋市の竜泉寺ゴルフ場にて指導を行なっている。