メンテナンス？ レイアウト？ それともコスパ？ 「いいゴルフ場」の定義って何だ！

　ゴルフの原稿を書く仕事をしていると、「どこかいいコースない？」とか「いいコースを教えてよ」と聞かれることがよくあります。

　でも、いいコースの定義は難しいです。世界のゴルフコースランキングで日本最上位は廣野ゴルフ倶楽部（兵庫県）ですが、誰でもプレーできるコースではありません。メンバーの同伴がないとプレーできない国内屈指の名門コースです。

　いいコースであることは間違いないのですが、「いいコースを教えてよ」の文脈で名前を挙げるゴルフ場ではありません。

　それと同じ理由で世界のゴルフコースランキング100位以内に入っている川奈ホテルゴルフコース富士コース（静岡県）や鳴尾ゴルフ倶楽部（兵庫県）も期待に沿った答えにはならないでしょう。

　川奈ホテルゴルフコース富士コースはビジターでも予約が取れますが、1ラウンドのプレー料金が3～4万円台です。「その金額を出せるなら『いいコースを教えてよ』なんて聞かないよ」と嫌みをいわれそうです。

　つまり「いいコースを教えてよ」は「コース内容の割にプレー料金が良心的なコースを教えてよ」と同意義になります。

　そうなると、プレー料金をいくら出せるかによって、いいコースの判断基準が変わります。1万円までしか出せない人は、いいコースであれば1万5000円出しても構わないのか、それとも1万円以内で「いいコースを教えてよ」なのか、そのあたりも曖昧です。

　なので「いいコースを教えてよ」と聞かれたら、「予算はいくらで、家からの距離は片道何キロくらいまで許容範囲なのか」を確認するようにしています。

　コース内容も人それぞれ好みがあります。コース内容とは主にコースレイアウトとコースメンテナンスです。「コースレイアウトがいい」というのは一般的に、18ホールにそれぞれ違った表情があり、変化に富んでいることを指します。

　しかしながら、18ホールすべてが印象に残るコースは世界中を探してもなかなかありません。マスターズ開催コースのオーガスタナショナルゴルフクラブ（米国ジョージア州）も、全英オープン最多開催コースのセントアンドリュース・オールドコース（スコットランド）も、18ホールすべてを覚えているかというと、選手たちは覚えているかもしれませんが、視聴者は覚えていません。

　そう考えると、オーガスタナショナルであれば12番パー3や15番パー5、セントアンドリュースであれば17番パー4などのシグネチャーホール（コースの特徴が凝縮された印象深いホール）があるかどうかが、「コースレイアウトがいい」かどうかの判断基準になります。

　ところが日本の場合、国土面積における平地の割合が少ないため、フラットな敷地に造成された林間コースが「コースレイアウトがいい」と称されるケースが目立ちます。しかしながら、これらのコースでシグネチャーホールの存在感が際立っているかというと、それほどでもなかったりします。

「コースメンテナンスがいい」というのは一般的に、グリーンのコンディション（ボールの転がりがスムーズ）とフェアウェイのコンディション（ディボット跡が少ない）で評価されます。

　この部分は全組キャディーつきのゴルフ場と、全組セルフプレーのゴルフ場で圧倒的な差が出ます。自分が作ったディボット跡とピッチマークをすべて自分で修復しているゴルファーはほんのひと握りです。キャディーさんがそれをせっせと修復しています。したがって「コースメンテナンスがいい」コースは基本的にキャディーつき営業です。

　ただ、キャディーつきプレーはキャディーフィーがかかりますから、セルフプレーよりも割高になります。そうすると「コース内容の割にプレー料金が良心的なコース」に該当するかどうかが微妙になります。