遠くに飛ばせなくてもトータルで考えることができる
最近では、小学生からファッショナブルなウエアを着た女性まで、若い世代でもゴルフをする人が増えました。それでも多くの練習場やゴルフ場では、いまだに中高年の男性の割合が一番多いようです。そのため、ゴルフは昔から「おじさんのスポーツ」と呼ばれることもあります。

しかし、現在のように老若男女が同じ場所で一緒にプレーしている様子を言い換えると、ゴルフは「生涯にわたって楽しめるスポーツ」と表現することもできます。
プロの世界も同様で、選手が引退する平均年齢は野球で29歳、サッカーになると26歳とされていますが、ゴルフではシニアトーナメントが行われ60代や70代になっても現役を続ける選手は多く存在します。
では、なぜゴルフは「生涯スポーツ」と呼ばれるのでしょうか。レッスンプロの関浩太郎氏は以下のように話します。
「ゴルフは、ボールの飛距離が球技の中で最も長く、体力が普通の人でもホームランボールの2倍以上の距離を打つことができます。そして、クラブやゴルフボールのような用具は非常に強力に作られています」
「そのため、力をあまり必要とせず、体力が衰えてきても若い人に引けを取らない飛距離を出せます。また遠くに飛ばせなくても1球1球の飛距離ではなく最終的なスコアで勝ち負けを決めるので、年齢差がかなりある人同士でも戦えます。さらに、性別や体格の差も一切関係なくなるので、全員がイコールコンディションで楽しめるのが最大の特徴といえます」
「老若男女に親しまれるスポーツはほかにもありますが、体格や体力、性別によってパフォーマンスに差が出てしまうものは多いです。一方で、ゴルフの場合は、それなりに年齢差があっても比較的対等に戦えるので、面白さも平等に感じるのではないでしょうか」
サッカーやバスケットボールのようなほかの球技は、高い瞬発力や脚力が要求されるため、スポーツとしては非常に過酷なものです。ところがゴルフの場合は、クラブが足りない力を補ってくれるので、簡単にボールを前に押し出すことができます。また、急に走ることも無いので適度な運動にもなります。
ゴルフは頭と身体を使うスポーツ
ゴルフボールは風や傾斜の影響に左右されやすいほか、プレーヤーは打つ前にライの状態や障害物などを計算しなければなりません。このように、ゴルフはボールを単純に前に飛ばすのではなく、トラップを効率よく乗り越えていかに少ない打数で上がるかを考える必要がある「頭脳戦」としての要素も強いです。

ほかにも、練習やストレッチを行うことにより健康的でいられることや、4人1組でラウンドするためどんな年齢になっても意欲的でいられる点も、生涯楽しめる理由でもあります。近年、環境の変化に伴って精神的に疲れたり、病気によって体力が消耗しやすくなったりすることによる、高齢者の「意欲低下」が大きな問題と叫ばれています。
「グループの中で常に一番うまくありたい」、「今度こそベストスコアを更新して80切りを達成したい」と、体や頭を動かすだけでなく向上心も保てるので、いつまでもアクティブでいられるのも素晴らしいポイントだといえるでしょう。
そのため、「国立長寿医療研究センター」や「東京大学」などの研究結果では、6カ月間ゴルフをすると単語記憶がおよそ6.8%、論理的記憶がおよそ11.2%向上し、有酸素運動と課題解決のセットが認知症予防に大きな効果を発揮することが明らかになりました。
他のスポーツと比べて、ゴルフはビギナーと上級者が一緒になっても楽しむことができるほか、身体のいろいろな部分をフル回転させるため、結果的に健康でいられます。
もしも、今ゴルフを始めてみたいと考えている人は、早いうちからチャレンジすると良いかもしれません。