「トリプルボギー」の次言える? 超激レア「コンドル」の意味は? ちょっと自慢できるスコアの呼び方

ゴルフをしたことがない人でも「バーディー」や「ボギー」といったスコアの呼び方を聞いたことはあるかもしれません。実際にプレーする人なら「ダブルボギー」「トリプルボギー」は当たり前に知っていますが、その次となると「???」という人が多いでしょう。決まった呼び方はあるのでしょうか? また、これらはどのような流れで付けられていったのでしょうか。

昔の「ボギー」は今の「パー」!? スコアの名付けには紆余曲折あった

 各ホールには規定の打数が設けられており、ゴルファーは可能な限り少ない打数でラウンドできるようプレーします。

これが「コンドル」。成鳥が翼を広げた長さは最大3メートル以上にもなるという。怖っ 写真:AC
これが「コンドル」。成鳥が翼を広げた長さは最大3メートル以上にもなるという。怖っ 写真:AC

 規定打数ピッタリで上がることを「パー」と言いますが、1打少ないと「バーディー(小鳥)」、2打少ないと「イーグル(鷲)」、3打少なくホールアウトできた場合は「アルバトロス(アホウドリ)」と、パーより少ないスコアには鳥の名前が付けられているのが特徴です。一方でパーより1打多いと「ボギー」、2打多いと「ダブルボギー」、3打多いと「トリプルボギー」と呼ばれています。

 このようにスコアの呼び方はいろいろありますが、由来まで知っている人はあまり多くないはずです。では、それぞれどのような経緯で生まれたのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。

「現在は規定打数ちょうどで上がることを『パー』と言いますが、かつてこの言葉は存在せず、『ボギー』がパーに相当する呼び方でした。19世紀後半のスコットランドで行われていたゴルフは、現在、主に行われているストロークプレーではなくマッチプレーが主流であり、ホール毎に打数が相手より多いか少ないかで勝敗を決めていました」

「しかし、度重なるルールの改正により標準スコアが設定されると、各プレーヤーはそれを目指して打つ、つまり『目には見えない架空の相手と戦う』という解釈が生まれました。当時の現地では、幽霊のような存在である『ボギーマン』の歌が流行っており、彼らは標準スコアで上がれたことを『なかなか捕まえられないボギーマンを捕まえられた』ことになぞらえ、こう呼んでいました」

「一方でパーが生まれたのは1870年の全英オープンの時で、記者が『平均的なスコア』を表すのに、元々株価の基準値を示す『パー』という言葉を使用したのが始まりです。そして1900年ごろ、アメリカを中心にスコアの呼称における統一化が行われた際に、基準打数はパー、それより1打多いものをボギーと明確に定義したのです」

 ちなみに、ボギーが規定打数より1打多いことを指す言葉へと変わった時、イギリスの記者だったロバート・K・ブラウンは「ゴルフの伝統と尊厳を冒涜した」と激しく非難し、近代ゴルフの祖であるイギリスのプライドを傷つけた取り決めだと不満をあらわにしたといいます。

「バーディー=小鳥」をスタートに良いスコアほど大きな鳥の名前に

 では、ほかのスコアの呼び方はどのように決まっていったのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。

「バーディーは、アメリカの俗語で『すごい』などの意味を持つバードや、1903年にA・H・スミスというプレーヤーが『鳥のごとく飛んだショット』と叫んだことが由来とされています」

「また、バーディーは小鳥のことを指す言葉でもあるため、バーディーよりすごいのは小鳥よりも大きなイーグル、そしてよりすごいのはさらに大きいアルバトロス、基準打数より4打少なくてもっとすごいのはコンドルと付けられるようになり、鳥の大きさで少ないスコアを達成したことの偉大さを表現したのです」

「また、アメリカではアルバトロスのことを『ダブルイーグル』と呼んだり、コンドルのことを『ダブルアルバトロス』または『トリプルイーグル』と呼んだりするのが一般的です。パー5を1打ないし2打で入れる確率は非常に低いので、わざわざ固有の名前を使う必要はないだろうと判断されているのかもしれません」

「ほかにも、多くの人の間で有名なのが『ホールインワン』ですが、アメリカでは『エース』と呼ぶのが主流で、同じティーショットがそのままカップインする意味でも、コンドルまたはトリプルイーグルとは分けられています。やはり、難易度や起こる確率で判断すると、後者の方が偉大であるので区別されているのではないでしょうか」

 対して、基準打数より多くホールアウトした際は順にボギー、ダブルボギー、トリプルボギーと付けられていきますが、4打多く上がると「クアドラプルボギー」、5打多いと「クインテュプルボギー」になります。

 ところが、プロのトーナメントでも「+4」や「+5」などとスコアの数字そのものを使用するケースが多く、「+4」や「+5」が決して珍しくない一般ゴルファーにも浸透していません。イーグルやアルバトロス、コンドルなどとは対照的に不名誉なスコアであるため、特別な名称を使っても特に意味がないと思われているのかもしれません。

 流行りの歌や記者の発言からスコアの名称が生まれたことは、ゴルフが数えきれない人に親しまれ、現在まで歴史を紡いできたことを実感させられるエピソードです。

【写真】意外と分かってない? 同伴者が打つとき「立っていい場所」「ダメな場所」/正しいバンカーのならし方、レーキを置く場所

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怒られてしまう可能性がある立ち位置はココ!飛球線後方に立つのはマナー違反です
ショットをしようとしているゴルファーの邪魔にならない理想的な立ち位置はここ
ラインを踏む可能性があると思う時は「ここを踏んでも大丈夫ですか?」と同伴競技者に確認しよう
最初はレーキの刃のあるほうで砂を押すようにして
引き戻す
裏返して滑らかにならす
裏で滑らかにならしながら入った位置まで戻る
裏で滑らかにならしながら入った位置まで戻る
砂に残るレーキの線や跡がピンに向かって真っすぐになるよう、ピンの方向を意識しながらならす
アゴに近い傾斜の部分は押す力を強くして砂を戻してあげるように
もしアゴのそばにボールがあっても、アゴの側からバンカーに入ってはいけません
レーキを使い終わったらバンカーの手前の低いところに置く
これが「コンドル」。成鳥が翼を広げた長さは最大3メートル以上にもなるという。怖っ 写真:AC

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