知らないボールには触れないのが無難
ラウンド中に突如聞こえてくる「フォアー!」の掛け声。これは周囲のプレーヤーに危険を知らせている意味合いがありますが、隣のホールからボールが飛んできて「危うく当たるところだった…」と怖い思いをした経験があるゴルファーも少なくないはずです。
隣のホールから飛んできたボールはどのように対応するのが適切なのでしょうか。レッスンプロの山本昌夫氏は以下のように話します。
「ゴルフはティーショットからカップに入れるまでが『インプレー』となるので、打った本人はもちろん、他人であっても故意に動かしてはいけません。親切心から拾ってしまわないように注意しましょう」
「また、『ロストボール』と見なされていたとしても拾うのはNGです。ロストボールになった時点で、そのボールはプレーヤーからゴルフ場に所有権が移るので、無断で持ち帰ってしまうと『窃盗罪』に該当してしまう可能性もあるのです」
拾ってもいい場面があるとしたら、それは自分たちが最終組だったケースです。プレーをしている人がほかに誰もいないような状況なのであれば、ピックアップしたボールをキャディーに渡したり、クラブハウスに戻った時に係員に届けることが、グッドゴルファーの振る舞いと言えるでしょう。
「フォアー!」の声が聞こえたら身の安全を最優先に
では、隣のホールから「フォアー!」と叫び声がして、その後に打ち込んだプレーヤーが自分たちのホールに進入してきた場合は、どのような対応をとるべきなのでしょうか。山本氏は以下のように話します。
「まず、自分のところにボールが落下しても被害を最小限に抑えられるように、頭部を腕全体で覆うようにして保護することが大切です。『フォアー!』の掛け声からボールの着弾までは時間差があるので、10秒ほどはその体勢を維持しましょう。また、本能的に声がする方向を向きがちですが、ボールが顔面に直撃してしまうことも考えられるので顔は伏せておくべきです」
「打ち込んだプレーヤーがコースに入ってきた時には『ここにありますよ』とボール地点を教えてあげましょう。相手にとっては救済を受ける地点が決めやすくなるだけでなく、新たなトラブルに発展することもないはずです」
しかし、最近はセルフプレーが主流になったこともあり、キャディーが代わりに「フォアー!」と叫んでくれる機会が少なくなったため、自分で声を出そうとしない人や、叫んだとしても声が小さく隣のホールまで聞こえないケース、そもそも「フォアー!」の意味を知らないままプレーする人も増えているようです。
打球事故は決して人ごとではありません。自分の身を守ることはもちろん大切ですが、他のプレーヤーに注意喚起を促す意味でも、ミスショットの際には必ず大きな声で「フォアー!」と叫ぶ心がけが、ゴルファーとして最低限のマナーであると言えそうです。