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- 一般人には雲の上の存在!? 名門に多い謎だらけの「社団法人制ゴルフ場」 普通のコースと何が違うの?
ゴルフ場は株式会社として運営されるところが大半ですが、わずかながら社団法人として運営されているところもあります。社団法人制のどのような特徴があるのでしょうか。
社団法人制ゴルフ場は「会員=社員」!?
ゴルフ場には大きく分けて株式会社で運営されるものと社団法人で運営されるものの2つがあり、前者は日本のゴルフ場の大半を占めており、ネット等でビジター予約ができるところも多いため、多くのゴルファーになじみがあります。

一方で、後者に該当するゴルフ場は限られており、簡単に訪問することもできないため正体を知らない人も多いでしょう。
では、社団法人のゴルフ場とはどのようなものなのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。
「株式会社が運営するゴルフ場は『預託金制』と『株主会員制』に分かれますが、ほとんどが『預託金制』です。会員は決められた額を『預託金』としてゴルフ場の運営会社に預け、会社はそれを原資としてゴルフ場を開発し、運営を行います。対して社団法人のゴルフ場の場合は会員が直接的に運営に関わっており、メンバーに与えられている権利も非常に強いものとなっています。会社でいうところの、理事長や理事などのボードメンバーに当たる人も全て会員から選任されているので、別の表現をすれば『会員の、会員による、会員のためのゴルフ場』であるというのが大きな特徴です」
「組織内での連携が強いことから会員同士の関係性も深く、プライベート空間が保障される反面、外部の人からは閉鎖的な環境に捉えられがちです。会員の紹介や同伴があればビジターもプレーできるものの、一般的なゴルフ場と比較して料金がかなり高額なことが多く、インターネット等で余った予約枠をビジターに開放するといった営業はほとんど行われていません」
一般的なゴルフ場は運営会社のもとに存在しているのに対し、社団法人のゴルフ場は会員が運営主体です。会員になるとプレー権とともに社員総会に参加して一票を投じる権利が与えられ、ゴルファーの意見がより反映されやすい組織といえます。
ちなみに、社団法人の構成員は「社員」と呼ばれるため、社団法人制のゴルフ場でも会員のことを「社員」と呼びならわすことがあります。ここでいう「社員」は一般に使われる「従業員」という意味ではなく、総会での議決権があるため株式会社でいうところの「株主」に近い存在といえます。しかし、社団法人は非営利での運営が求められるため、配当金のような収益の分配を受けることはできません。社団法人制ゴルフ場の一つである鳴尾ゴルフ倶楽部(兵庫県)では、入会からしばらくの間は他の社員に名前を覚えてもらえるよう、名札を付けてプレーする光景も見られるそうです。
そもそも名門ゴルフ場はなぜ社団法人制?
かつて社団法人は1種類だったものの、現在は一般社団法人と公益社団法人の2種類となっています。では、ゴルフ場は分化にあたってどのような対応を取ったのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。
「社団法人という制度は1896年に制定されましたが、設立の許可や公益性の判断などの基準が曖昧でした。そこで、社団法人に関するルールを統一するために2006年に公益法人改革3法が成立し、社団法人のゴルフ場は今まで通りの方式を踏襲した一般社団法人として残る、新たに設けられた公益社団法人に移行する、もしくは株式会社化の3択を迫られました」
公益社団法人は税制面で優遇を受けられますが、その名の通り高度な公益性が求められるため、プライベート倶楽部の運営には不都合が生じる可能性が大きく。認定のハードルも高くなります。そのため、会員同士のプライベート環境を重視する名門倶楽部として、そのほとんどが一般社団法人に移行しました。
ところで、由緒正しい名門ゴルフ場はなぜ社団法人制であることが多いのでしょうか。飯島氏は以下のように説明します。
「いわゆる名門倶楽部には、東京五輪の会場となった霞ヶ関カンツリー倶楽部や日本人が設立した最初のゴルフ場である東京ゴルフ倶楽部など、『関東七倶楽部』に含まれるうちの6カ所や、ほかには関西にも鳴尾ゴルフ倶楽部などがあります。今からおよそ100年前、日本に上陸したばかりのゴルフはあくまでも特権階級の人しかできない娯楽であったため、地元の名士や財界、政界などに身を置くような経済力のある人たちがお金を出し合い、自分たちの共有の遊び場として開発されました。昭和に入ってから開発されたゴルフ場のように営利目的でつくられたものではなかったため、社団法人制をとるようになりました」
会員権が市場流通していないなど、会員になるにはかなりハードルが高い社団法人のゴルフ場。ビジターとしてプレーしようにも会員にコネがなければ叶いません。しかし、所在地の在住者や在勤者向けに一般開放を行う機会もわずかながらあります。自分に応募する権利がなくても、知り合いに該当する人がいれば同伴プレーは可能なので、そうしたチャンスを狙ってみてはいかがでしょうか。
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