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- 深刻な人手不足でドローンや無人芝刈り機の導入も!? 近年課題が山積みの「ゴルフコース管理」
ゴルフ場ではコースを管理する専門の職員が、日々広大なゴルフ場のメンテナンスに当たっています。コース管理者は一体どのような仕事をしているのでしょうか。
コース管理の何が課題?
ゴルフ場ではコースを管理する専門の職員が、日々広大なゴルフ場のメンテナンスに当たっています。コース管理者は一体どのような仕事をしているのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。

「主な仕事内容としては、芝が伸びすぎないように刈り込みを行ったり、芝が病気にかからないように肥料や農薬の散布をしたりしています。特に、コースの中でもグリーンはボールの転がりを左右するだけでなく、見た目次第ではゴルフ場そのものの評価にもつながりかねないので、営業開始前には季節を問わず毎日入念な手入れがなされています。また、コース内には芝だけでなくバンカーの砂やホール間を隔てる木々もありますが、バンカーならしや木の剪定作業も全てコース管理者の仕事内容に含まれるため、芝の整備が終わったかと思ったら今度は別の場所に向かわなければなりません」
「一方で『植物の成長スピードが鈍化する冬には何をしているの?』と考える人もいるかもしれませんが、その代表例として『グリーン面のカバー掛け』が挙げられます。グリーンは、フェアウェイやラフよりも繊細と言われていますが、もしも冬場に表面に残った水分が凍結するとボールが跳ね返ってしまいます。ですので、営業終了後に全体を覆い隠せるほど大きなカバーをかけ、芝が凍り付くのを防いでいます」
さらに、グリーンの保全を目的に毎日行う「カップ切り」や雨が降った際の排水をスムーズにする「暗渠排水管」の管理、なかには冬季限定で枯れたフェアウェイの見栄えをよくするとともにラフとの境界線をはっきりさせるために、芝を人工的に着色するところもあります。
コース管理では10数人程度のチームを組んで仕事をしていて、リーダーである「グリーンキーパー」はオープン前に「メンテナンスが必要な場所がないか」といった点に着目しながらパトロールをし、その後の天候や気温を考慮したうえで作業計画を立てていきます。
そのため、仕事は季節ごとに多少異なるものの通常なら朝の5時前後、場合によっては未明の3時からスタートすることも珍しくありません。
グリーンキーパー以外のチーム編成は一般的に、グリーンキーパーの補助をするサブキーパーが2〜4人、芝刈り機などの機械の整備を行うメカニック担当が1人、そしてコース管理者が何人かいてチーム全体が構成されています。
過酷さを増すコース管理の仕事
しかし、飯島氏は「コース管理者の仕事はさまざまな意味で年々過酷さを増している」と話します。
「コース管理は早朝や深夜から仕事が始まることが多いだけでなく、体力や気力も相当なものが求められるので非常に大変な職業です。また、ゴルフ業界全体にもいえますが人手不足も叫ばれており、かつては1ホールあたり2人体制で作業に当たっていたのが現在では1人以下となっているゴルフ場も増えてきています」
「さらに、夏にはタンク車を走らせたりスプリンクラーを設置したりして散水を行いますが、それでも近年の酷暑には太刀打ちできず全国のゴルフ場でフェアウェイが真っ赤に焼けてしまうという事案も度々発生しています」
加えて、熾烈な価格競争の結果プレー料金を極限まで下げた場合、収益も下がってしまうことでコース管理に充てられる資金が不足し、なかには予算が潤沢なところの半分以下しか用意できないゴルフ場もあるといわれているようです。
では、実際のゴルフ場ではどのようなことが喫緊の課題とされているのでしょうか。全国でゴルフ場を運営する、株式会社東急リゾーツ&ステイの広報担当者は以下のように話します。
「弊社でも、人手不足に加えて現役のコース管理者についても高齢化が顕著になってきているので、お客様にレベルが高くて美しいゴルフ場を恒久的に提供するためには打開しなければならない課題とされています」
「そこで、社内では現在カメラを搭載したドローンを使用して上空から芝の状況を簡単に確認できるシステムや、お掃除ロボットのようにあらかじめプログラミングされたルートに従って自動で走行する芝刈り機の導入などが検討されています。もしも、本格的に実用化までこぎつけたらコース管理における課題はある程度緩和されると見ています」
コース管理者は、クラブハウス以外の全ての範囲を任されている重要な存在です。私たちゴルファーが接する機会は少ないですが、さまざまな壁に直面しようとしているスタッフの方たちに対して、感謝やねぎらいの気持ちだけは忘れないようにしたいものです。
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