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- Tシャツやサンダルも当たり前!? 日本とアメリカで異なる“ゴルフ場に対する価値観”とは
日本とアメリカは、共に「ゴルフ大国」という点で共通していますが、国の地理的特徴だけでなく国民性も全く異なります。その影響は、ゴルフ場に対する価値観にも違いが見られるようです。
アメリカには本当の“メンバーシップコース”がある
日本もアメリカも世界で有数の「ゴルフ大国」ですが、ゴルフ場に対する考え方は異なるようです。では、日本とアメリカとでゴルフ場に対する価値観、中でもメンバーシップコースとパブリックコースに対する捉え方は、どのように異なるのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、以下のように話します。

「日本のメンバーシップコースは、バブル経済時に建設ラッシュを迎えましたが、国土が狭いうえに平地が少ないため、丘陵や山林を切り拓いたゴルフ場が多かったです。その際には大量の重機を投入して人工的に造成する手法が取り入れられ、クラブハウスもやけに豪華でした。巨額の建設費用がかかったものの、高額な会員権も飛ぶように売れました」
「しかし、バブル崩壊以降は大規模投資が仇となって経営難に陥ったコースが続出し『メンバー至上主義』でいられなくなった結果、現在では“メンバーシップ制”としながらも実際は会員権を有していないビジターにも予約枠が開放され、パブリックとの差があまりなくなっているのが現状です」
「一方で、アメリカのメンバーシップコースは、内陸部の砂漠のような人口密度が低い広大な土地を生かした大規模なリゾートコース開発が多数行われました。本来の“プライベートコース”としての機能をしっかり残している点が、日本とは大きく異なります。これらのゴルフ場は原則としてメンバーのみが利用可能で、例外的にメンバーの紹介者や同伴者も認めるという、本来あるべき姿を保持しています」
メンバーシップとパブリックの中間の立場をとるゴルフ場は、“セミパブリックコース”と呼ばれることもありますが、公式で名乗っているゴルフ場はかなり少数派です。最近は、ゴルフ場に特別感や非日常感を求めるニーズが再び増えているものの、現在日本で営業しているメンバーシップコースのほとんどは、セミパブリック化しているといえるようです。
パブリックコースにおける日本と海外での価値観の違いについて、飯島氏は「日本だと『ビギナーが練習目的で行ったり、コスパを重視したい時に行ったりするゴルフ場』と捉えられがちですが、アメリカではパブリックコースは誰もが好きなタイミングでプレーしに行ける『レジャー』として定着しています。
また、日本ではパブリックコースでもしっかりと専用のウエアを着ていく人も少なくないですが、反対にアメリカではTシャツやサンダルといった非常にラフな格好で来場したり、小さい子供を連れて家族で一緒に回ったりするスタイルも当たり前です。予約なしの飛び入りでのラウンドもOKで、まるで公園に設置されているバスケットコートのようにフラっと立ち寄ることができて、自由に楽しめる場と考えられているのが一般的なのです」と話します。
さらに、アメリカの場合は“打ちっ放し”のような練習場はなく、いきなりパブリックコースに出て練習と実践を同時に行うのが一般的であるため、日本よりもはるかに需要が高い点も大きな違いになります。
日本のゴルフ場がアメリカのように付加価値を高めるには?
では、日本のゴルフ場はどのような観点から考えれば新たな可能性を見出すことができるのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。
「日本は地震や台風といった自然災害に見舞われやすいので、『近隣住民の命を守る』『地域の被害を最小限に留める』という付加価値があると考えると良いと思います。
例えば地震が発生した際、ゴルフ場の広いスペースを使ってテントを立てたりヘリポートを設けたりすることもできますし、水道やガスがストップしていなければクラブハウスのお風呂を開放することも可能です。
また、河川敷のコースは増水すると水没してしまいますが、臨時の“遊水地”として捉えられれば、堤防の外に水が溢れだして住宅地が水浸しになる事態を防止できます。
その他、宮崎県のフェニックスカントリークラブに代表されるような海沿いに立地するゴルフ場は、防風林や防砂林としての役割も果たせるはずです」
実際に、昨年発生した能登半島地震でも震源地近くのゴルフ場が地域の避難場所として開放されたほか、都道府県や市町村と協力して有事の際には避難場所とすることを決めたゴルフ場は、全国的にも増えつつあります。日本のゴルフ場は、「災害への対応のしやすさ」という新たな価値を提供できる可能性があるようです。
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