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- 年収1000万円超も!? 池に潜ってゴルフボールを回収・販売する「ボールダイバー」がゴルフ場と“ウィンウィン”な理由
ゴルフ場の池に落ちたボールは、その後どうなるのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏に聞きました。
池ポチャしたボールを拾う専門の業者
ゴルフ場の池に落ちたボールは、その後どうなるのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)に聞きました。

「なかには、定期的に池の水を全て抜いてからボールを回収するところもありますが、毎回繰り返していると非常に面倒なので、『ボールダイバー』という専門の人に取ってもらうのが基本です。
潜水士の国家資格を有しているボールダイバーは、ウエットスーツや酸素ボンベを装備して池底に沈んだボールをピックアップしていきますが、作業できる時間が限られているので、いかに効率よく回収できるかが重要とされる仕事です。
池から引き上げられたボールは回収業者に卸し、まだ使用できるものに関しては付着した泥などの汚れをしっかりと落とします。そして、『ブランドごと』や『性能ごと』といった基準で選別された後、ロストボールとして再び用品店で販売されることになります。
また、回収されたボールの大半は販売用に回されますが、一部はダイバーの厚意で練習用としてゴルフ場へ寄贈されることもあります。一般的なゴルフ練習場ではあえて飛びづらくしているレンジボールが使われますが、飛距離や打感がコースボールと全く異なります。
ラウンド当日の朝に練習することが多いゴルフ場のドライビングレンジでは、コースボールが打てた方が良いでしょう。ですので、ゴルフ場にとっては池の環境整備をしてもらえるだけでなく、練習場のサービスアップにも寄与してくれる存在だとも言えると思います」
ボールダイバーは、ゴルフ場側から依頼して来てもらうのではなく、業者側から「拾っても良いですか?」と連絡が入るのが普通なので、ゴルフ場が業者に料金を支払うケースはあまりないようです。
要するに、ダイバーはゴルフ場の池をキレイにするかわりに、ゴルフ場から譲り受けたボールを、「ロストボール」として販売した売上金で収入を得ていることになります。それなりの危険を伴う仕事でもあるため、なかには1日2時間程度の作業でありながら年収が1000万円を超える人もいるそうです。
ちなみに、ボールダイバーは職業としては確立しているものの、出動回数が少なくなりがちなことから正社員雇用ではなく、多くが個人事業主として働いているのも大きな特徴です。
池に落ちたボールは自分で拾わないほうがいい
また、飯島氏は「池に落ちたボールを自分で拾い上げようとする前に、様々な面で十分に気を付けなければならない」と話します。
「ゴルフ場によっては、乗用カートに『ボールピッカー』と呼ばれる器具を積んでいるところも少なくありません。ボールピッカーは、先端の部分が半月型になっており、ボールに被せて軽く押しながらひねると、半月型の窪みにはまって取り出せるようになっています。
ただ、万が一ボールピッカーがあってボールを拾えたとしても、ロストボールの所有権は基本的にゴルフ場に移行しています。自分が落としたものではない場合、持ち帰ると『窃盗罪』に該当してしまう可能性がある点は覚えておくべきでしょう。
さらに、池のふちは非常に滑りやすい上に、排水のために中心に向かって水深が深くなっている池も多く、誤って転落し溺れてしまったり、助けようとした人が道連れになったり、といった事故も発生しています。ゴルフは、自己判断とともに自己責任も伴うスポーツですので、危険だと判断したら池には近づかず、ボール探しを諦めるのも賢明な判断でしょう」
実際に、茨城県の「アジア下館カントリー倶楽部」の担当者は「当コースの池には、ぬかるんでいて非常に危険な場所もあります。また、現在はキャディー付プレーを廃止して全てセルフプレーとなっているので、万が一池ポチャしてしまっても絶対に様子を見に近づかないようにしてほしいと、看板を多数立てて注意喚起を行っています。
なお、池ポチャしたボールの回収については弊社のコース管理のスタッフが実施しており、不定期ではありますが、大体大きめのポリバケツ2~3個分のボールを回収するケースが多いです」
コース内の池は、景観・戦略・水害対策といった観点から必要不可欠ですが、同時に命にも関わる危険もはらんでいます。池ポチャしたボールを、無理して拾おうとするのはやめるべきでしょう。
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