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- 「月曜日はゴルファーが皮膚科に駆け込む」 重症化しやすい「ブヨ」に刺される人のNG行動とは? 敵は酔っ払いが大好き!?
蚊やブヨは通常3月から9月頃、活発化します。しかし、気温が35度を超えると活動できず、近年続く猛暑では、暑さが落ち着いてから活動が本格化し、10月から11月にかけてピークを迎える傾向にあります。もちろん異常な暑さだった今年も、その現象が起きています。重症化しやすいブヨから身を守るために覚えておくべきこととは?
痒いだけでなく高熱とヒザ下の腫れで歩けなくなった筆者
ここ2、3年、秋になると「毎週月曜日はゴルファーが皮膚科に駆け込む」といわれます。週末のゴルフでブヨに刺されて帰ってきた人が、1日2日たって患部が赤く大きく腫れたり、熱をもったりしたため慌てて受診するケースが珍しくないからです。
蚊やブヨは通常3月から9月頃、活発化します。しかし、気温が35度を超えると活動できず、近年続く猛暑では、暑さが落ち着いてから活動が本格化し、10月から11月にかけてピークを迎える傾向にあります。
もちろん異常な暑さだった今年も、その現象が起きています。夏を過ぎたこの時期はしつこく人に付きまとううえ毒性も増すため、「たかが虫刺され」と軽く考えたり油断したりすると重症化してしまい、あとで大変なことになるケースもあるので注意が必要です。

特に、重症化しやすいのがブヨです。ブヨに刺されないようにするには、ゴルファーはどのようなことに注意したらいいのでしょうか。また、もし刺されてしまった場合、どのように対処したら重症化しないで済むのでしょうか。ヤマザキ動物看護大学の長島孝行教授に教えていただきました。
「最初にブヨの特性についてお話ししましょう。ブヨはヤブ蚊に似ていて、春から秋に活動し、吸血するのはメスだけです。日本には60種あまりのブヨが生息していますが、都心ではあまり目にしません。というのも、ブヨはきれいな水を好み、山間部や渓流に多いからなんです。ゴルフ場にはもともと蚊がいますが、農薬の使用を減らす傾向にあり水もきれいになってきたことで、ブヨの生息条件とも符号しているのではないでしょうか」
ブヨに刺される可能性は、都市部のインドア練習場に通う人よりコースに出る頻度が多い人の方がはるかに高いといえそうです。
「蚊とブヨの決定的な違いは、吸血のしかたです。蚊は人の皮膚を針で刺しますが、そのとき唾液を出すことで血液をサラサラにして、細い管からストローのようにして血を吸いやすくしています。いっぽうブヨは、口がいわばチェーンソーのようになっていて、刺すというより皮膚を切る凶暴さです。切ることによって傷口を広げ、出てきた血液を舐めるのです。蚊にしてもブヨにしても、刺されたとき皮膚に残った唾液に毒があるため痒みなどの症状が出るのですが、ブヨは蚊のように血液を吸うことはなく舐めるので、毒性の強い唾液が皮膚に多く残ります。その結果、患部が腫れて熱を持ち、重症化したり長引いたりしやすいのです」
重症化とは大袈裟な……と思うかもしれませんが、筆者も昔ブヨに刺されたトラウマがあります。1回目は傷跡の痒みと膿が長引いて、のちに通院と塗り薬、2回目は高熱とヒザ下の腫れで歩けなくなって注射と服薬で治療。ブヨの怖さを思い知ると同時に、「あんな経験は二度とご免」と思っている一人です。
「ブヨに刺されないようにするには、蚊に刺されないための基本対策を実行することが大事です。汗をこまめに拭く、長めの靴下を履く、虫除けスプレーを使うなどです」
「一方で、ゴルファーの皆さんに気をつけていただきたいNG行動もあります。それを順に挙げるなら、まず第一は飲酒です。アルコールを摂取すると代謝が上がってブヨや蚊が近寄りやすくなるからです。ハーフ後のランチビールはさぞおいしいでしょうが、ブヨに刺されたら大変な思いをするであろうことを考えると、今の時期はゴルフ場では飲酒をしないのが賢明です」
ウエアの色ワースト3は黒、紫、白×黒の縞柄
次にウエアの色です。蚊やブヨは暗い色が大好きで、ワースト3は黒、紫、そして白×黒の縞柄。これらのウエアを着ると近づいてくるため避けましょう。白黒の縞柄について補足すると、蚊は白には近寄らず、黒には近づく習性をもっているのですが、縞柄だと白と黒の差がはっきりして黒が強調されるせいか、蚊はかなり近寄ってきます。ボーダーの幅が太いほどその傾向が強くなりますので、白と黒のラガーシャツのような太いボーダー柄のウエアは、11月上旬まで封印するのが無難です」
「最後は休憩する場所です。暑いからといって木陰のベンチに腰掛けたり、藪の近くでカートをとめて涼をとったりするのは避けてください。蚊やブヨはおもに藪の中や木陰にいて、葉の裏側で休んでいます。そこに人の気配や汗の匂いがすると、それにつられて上からスーッと降りてくるので要注意です」
「また、今年は比較的雨が多いように思います。蚊は小雨だと飛べませんが、ブヨは小雨などへっちゃら。少々の雨や湿度に強く、むしろ大好きですから小雨の日はこうしたNG行動にいっそう気をつけてください」。
飲酒、ウエア、休憩場所。そのうえ雨の日……と、なかなか気を抜けません。
とはいえ、どんなに気をつけてもブヨに刺されてしまうことはあります。その場合、重症化させないための対処法はあるのでしょうか。
「ゴルフ場には、ポイズンリムーバーという、蚊やブヨや蜂など虫に刺されたときや蛇に噛まれたときの応急処置として毒を吸い出す吸引器が置いてあることが多いと思います。なるべく早い段階でそれを使って毒を吸えば、予後の影響はより軽くなります。ポイズンリムーバーはそう高いものではなく、ネットで1000円前後で買えますし、100円ショップでも簡易的なものが売られていますので、ラウンド頻度の多い方や蚊やブヨに刺されやすい人は、一つ持っているといざというとき役に立つのではないでしょうか」
その他、刺された直後にゴルフ場、あるいは帰宅後に家でできる範囲で有効なのは、患部を冷やすこと、市販の痒み止め薬を塗ることです。一晩経っても腫れが引かなかったり、ひどくなったり熱を持ったりするようであれば、病院で診てもらうことをお勧めします」。こう長島教授はアドバイスします。
長い猛暑を経て訪れた待望のゴルフシーズン。来週のラウンドに向けて早速ポイズンリムーバーを“ポチッ”としようと考えているのは、筆者だけではないでしょう。
【解説】長島孝行(ヤマザキ動物看護大学 動物人間関係学科 教授)
農学博士。さまざまな昆虫の生態や能力を研究・応用して、社会や人々の生活や医療器具等の開発にも取り組んでいる。著書に「蚊が脳梗塞を治す!昆虫能力の驚異」(講談社α新書)、「昆虫テクノロジー研究とその産業利用」(シーエムシー出版共著)など。メディア出演も多数。
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