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- 冬ゴルフの後「お風呂に入らず帰る」は正解? 医師が教える安全な入浴ルーティン
冬の凍てつく寒さの中でのプレーを終えた後、温かいお風呂に浸かるのはゴルファーにとって最高のごほうびです。しかし、外気と浴室内の急激な寒暖差は「ヒートショック」という命に関わるリスクを招きかねません。冬のゴルフを最後まで安全に楽しむために、ゴルファーが知っておくべき入浴前の対策とはどのようなものなのでしょうか。
ヒートショックの脅威と医師の語る「入浴の作法」とは
冬のプレー後に待つ温かいお風呂はゴルファーにとって至福のひとときですが、この急激な寒暖差こそが要注意です。
体への負担が大きい急激な寒暖差は、血圧の急激な乱高下によって心筋梗塞や脳卒中を引き起こす「ヒートショック」を招きかねません。実際、日本赤十字社や政府広報オンラインの公式情報によると、ヒートショックによる心停止の発生頻度は夏の約10倍、死亡率は交通事故の3倍にもなります。この現象を受けて両機関が呼びかけている対策は多岐にわたり、これらを意識するだけでもリスクを大幅に下げることが可能なようです。
では、具体的にどういった点を意識すればよいのでしょうか。
慶應義塾大学医学部体育会ゴルフ部前監督の経歴を持ち、現在は用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニックを運営する菊池真大医師は、ヒートショックの仕組みや対策について次のように話します。
「ヒートショックとは、急激な気温の変化によって血圧が急変動し、自律神経と循環器系に過度の負荷がかかることで生じる生理学的反応です。寒い場所では、皮膚血管は交感神経の緊張によって強く収縮して末梢血管抵抗が上昇し、血圧は急上昇します。高齢者や動脈硬化を有する人では、この血圧上昇が脳血管や冠動脈に大きなストレスとなり、脳出血や心筋虚血のリスクが高まります」

「反対に、そこから急に熱い湯に浸かると、今度は末梢血管が急速に拡張して血圧が急低下します。この血圧の大きな落差が失神や意識障害を引き起こし、入浴中の溺水事故の一因になっていると考えられています」
「そして、冬場の冷え込んだ脱衣所や浴室は、循環器疾患のリスクを抱える人にとって大きな負担となります。暖房された居室から10度前後の脱衣所に移動し、さらに40度前後の湯に浸かるという温度差は、循環器疾患のリスクを抱える人にとって大きな負荷となります」
「予防の基本としては、入浴前に脱衣所や浴室を暖めておくことです。暖房器具の使用はもちろん、浴槽に湯を張った際の蒸気で室内を温めるだけでも血圧の急上昇はある程度抑えられます。また、湯船に入る際は肩まで一気に浸からず、まずは足先から徐々に温めることで血管の急激な拡張を防ぎ、血圧の変動を緩やかにすることができます」
では、「ヒートショック」という言葉が以前に比べて浸透した今、ゴルファーの意識はどのように変化しているのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングをおこなう飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は次のように話します。
「近年、メディアや医療機関が積極的に取り上げたことで、『ヒートショック』という言葉やそのリスクは、ゴルファーの間でもかなり一般常識として浸透してきました。かつては、お風呂場で意識を失うといった事故も散見されましたが、最近ではプレーヤーにも危険回避を意識する人が増えてきたように思います」
「とくに高齢のゴルファーに顕著な傾向ですが、冬場はあえて『お風呂に入らずに帰る』という方が増えています。これには、ヒートショックの知識が浸透してお風呂を避ける風潮が広まったことや、『どうせ冬は汗をかかないから』という理由も関係していますが、それだけではありません。お風呂から上がった後の『湯冷め』が怖いんです。高齢者にとって、湯冷めから引く風邪は、時に命に関わる大病に直結します。ヒートショックだけでなく帰宅時や帰宅後の体調管理までを見越して、あえて入浴をパスするのは、合理的で賢明な『自己防衛』といえるでしょう」
ゴルフ場の設備環境と「仮設施設」に潜む意外な落とし穴
また、飯島氏はゴルフ場のお風呂でのヒートショックの実態について次のように話します。
「実は、ヒートショックのリスクという点では、ゴルフ場は一般的な住宅よりもリスクが低い側面があります。家庭での事故が多いのは、寒い脱衣所と熱い浴室の『急激な温度差』が原因です。その点、近年のゴルフ場は脱衣所の暖房設備が非常に充実しており、空間全体が温められています。むしろ、冬場のゴルフ場で事故として報告されるのは、階段での転倒やカート周りのトラブルといった物理的な事故の方が圧倒的に多いのが実情です」
一方で、ゴルフ場は特定の状況下ではヒートショックのリスクが跳ね上がる可能性があると飯島氏は話します。
「ただし、例外的にリスクが高まるケースがあります。それは、施設の老朽化やリニューアルに伴う『仮設設備』での運用時です。私自身、ある有名コースのクラブハウスがリニューアル中に仮設のシャワー棟を利用したことがありますが、そこではシャワーを浴びた後に猛烈な寒さを感じた経験があります。こうした場所では家庭と同様の『急激な温度変化』が生まれやすいため、冬場に利用する際は細心の注意を払う必要があります」
前出の菊池医師はゴルフ場でのヒートショックの予防方法について次のように話します。
「ゴルフ場は暖房の効いたクラブハウスと極寒の屋外を行き来するため、寒暖差の往復が繰り返されるのが特徴です。特に高齢者や循環器疾患を抱える人では、自律神経の調整能力が低下しているため、寒暖差が中等度でも血圧変動が大きくなることがあります」
「プレー後に疲労が重なっていると、血圧低下やめまいが起こりやすくなることもあります。クラブハウス内で急に立ち上がったときの立ちくらみや、熱い湯に浸かった際の血圧低下は、ヒートショックと同じメカニズムで生じます。プレー後の急な入浴や、暖房の効いた室内での急な姿勢変化に注意を払うことで、安全性が高まります」
冬のゴルフにおける入浴は、適切な知識を持った上での「自己防衛」が何よりも重要です。急激な温度変化を避け、徐々に体を慣らす心がけが重要です。
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