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- 来場者の8割はリピートしてくれない!? ゴルフ場が外注化を進める意外な理由
同じゴルフ場なのに「フロントは丁寧なのにレストランは事務的」という“温度差”を感じたことがある人も多い。その背景には、意外と知られていないゴルフ場の外注運営の仕組みがあるといいます。現場では今、どのような役割分担が行われているのでしょうか。
ゴルフ場は様々な業務を外注している
ゴルフ場に足を運んでいると、施設ごとに微妙な“温度差”を感じることがあります。フロントやマスター室の対応は丁寧なのに、レストランではやや事務的な印象を受けたり、コース管理のスタッフとはほとんど会話がなかったり。同じゴルフ場の中で起きていることなのに、なぜこうした違いが生まれるのか、不思議に思ったことがある人もいるかもしれません。
この背景のひとつとして挙げられるのが、業務の外注です。ゴルフ場の運営はフロント、マスター室、コース管理、レストラン、リネンなど、複数の部門で成り立っていますが、そのすべてが自前で運営されているとは限りません。
特にコース管理やレストランについては、専門業者に委託しているケースも多く、同じ施設内で働いていても、所属する会社が異なるという状況が生まれています。では、なぜゴルフ場は業務を外注するのでしょうか。ゴルフ場関係者に聞いてみました。
「うちのゴルフ場はコース管理もレストランも外注しています。なぜ外注するかというと、日々の営業に集中できるからです」

「たとえばレストランが直営ですと、料理人がやめるとなったとき、人の手配に奔走しなければなりません。外注であれば『業者さんの方でちゃんとやってね』という世界ですから、これは本当に大きいですね」
ここでいう営業とは、かつてのように営業マンが企業を回ってコンペを誘致するという意味合いだけではありません。現在は、来場したお客さんに満足してもらう接客や、インターネット上での料金設定やプランの調整、新規顧客の獲得といった役割が中心になっています。こうした業務にリソースを集中させるために、それ以外の専門性が高い部分は外部に任せるという考え方です。
業務を外注するデメリットもある
一方で、外注にはデメリットもあります。まずコスト面です。委託先の企業も利益を出す必要がありますから、自前で運営するよりも費用がかさむ可能性があります。「フィーを払ってでも外注したほうがいい」という判断になるかどうかは、各ゴルフ場の考え方によって変わります。
もう一つは、来場者の体験に関わる部分です。ゴルフ場の正社員は、プレー料金が直接的な収入源となるため、来場者に対する意識が高くなりやすい一方で、外注スタッフは所属企業から給与を受け取る立場になります。その違いが、接客態度や対応の温度差として表れることがあります。
もちろん、外注先のスタッフであっても高い接客水準を保っているケースはありますが、全体としての統一感をどう担保するかは課題として残ります。
また、レストランの外注に関しては、メニューの“均質化”も指摘されます。複数のゴルフ場で同じ業者が運営している場合、「どこかで見たことがあるようなメニュー」が並ぶこともあります。
それは安定した品質を提供できるという意味ではメリットですが、そのゴルフ場ならではの個性が出にくくなるという側面もあります。レストランを自前で運営し、名物料理を打ち出しているコースが、一つの差別化として機能しているのはそのためです。
こうした外注の是非を考えるうえで、もう一つ押さえておきたいのが、ゴルフ場の集客構造です。関係者によると、ビジターの70%から80%は年に1回しか来場しないといいます。 つまり、多くのゴルフ場はリピーターだけで成り立っているわけではなく、新規の来場者を継続的に取り込む必要があります。
そのため、日々の運営では「来てくれた人の満足度を上げること」と同時に、「新しいお客さんをどう増やすか」という視点が重要になります。この構造を踏まえると、外注によって運営効率を高め、営業や集客に力を割くという判断は、一定の合理性を持っています。
ただし、来場者の体験という観点では、部門ごとのばらつきが気になる場面も出てきます。どこまでを自前で担い、どこからを外部に委ねるのか。その線引きは、ゴルフ場ごとの方針や考え方によって異なります。そのバランスをどう取るかは、それぞれのゴルフ場が設計していくものなのかもしれません。
文・保井友秀(やすい・ともひで)
1974年生まれ。出版社勤務、ゴルフ雑誌編集部勤務を経て、2015年にフリーライターとしての活動を開始。2015年から2018年までPGAツアー日本語版サイトの原稿執筆および編集を担当。現在はゴルフ雑誌やウェブサイトなどで記事を執筆している。
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