感覚的なレッスンは古い!? スイング解析の技術は劇的に進化
先日、ゴルフレッスンスクール「GOLFTEC by GDO」の最新スイング測定を体験する機会がありました。同スクールはGDO(株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン)が米国GOLFTEC社と提携し、2012年から日本国内で店舗運営を行っています。
GOLFTECのスイング測定は、これまで測定補助装置のハーネスの装着が不可欠でしたが、AI(人工知能)がスイング映像から骨格情報を推定することでハーネスの撤廃を実現。スイングの動きを妨げる要素を取り除き、より精度の高い測定が可能になったそうです。

体験者が行うのは、マットの上のボールをネットに向かって打つだけ。そのスイング映像を元に骨格の動きを3Dで表示し、スイング中の体の動きを数値化します。
私は以前、測定補助装置を装着するタイプの他社のスイング測定を体験したことがありましたが、そのシステムと比べてあまりにも簡単に3Dのスイング測定ができることに驚きました。
ゴルフのスイング解析はこの20年で劇的に進化しています。精度の高い弾道測定器が開発されたのを機に、従来は感覚に頼っていたインパクトの瞬間のフェース向きやボールが当たった位置などが可視化できるようになり、ボールを遠くに飛ばすメカニズムが分かってきました。
それに応じてゴルファーの体の動きも詳細に解析されるようになり、プロゴルファーの飛距離は驚異的に伸びました。PGAツアーの2020-21シーズンのドライビングディスタンスは、1位のブライソン・デシャンボー(平均323.7ヤード)を筆頭に61人が平均300ヤードを超えています。
2001シーズンに300ヤードを超えていたのはジョン・デイリーただ1人(平均306.7ヤード)ですから、その変化は一目瞭然です。ちなみに2001シーズンのタイガー・ウッズのドライビングディスタンスは平均297.6ヤードで3位でした。
プロゴルファーの飛距離は伸びたけどアマチュアゴルファーは?
一方、アマチュアゴルファーの飛距離が伸びているかというと、20年前と比べてそんなに変わっていないというのが率直な印象です。

20年前からゴルフをしている人が多いですから、その人たちが歳を取って飛ばなくなったこともあります。しかし、なぜこれほどまでプロとアマチュアの差が広がったかというと、スイング解析の恩恵を受けていないからというのも理由の一つである気がします。
スイング解析が進化すればするほど、スイング解析機器は高額になっていきます。必然的に、その解析機器を使ったゴルフレッスンも高額化します。
ひと昔前はレッスンの相場は1コマ50~60分で3000~5000円程度でしたが、最近は1コマ1万円を超えるレッスンも増えています。そのレッスンに週1回通うと月4万円以上になりますから気軽に受けられる金額ではありません。
GOLFTECのスイング測定も非常に画期的で効果が高いと感じましたが、定期的にレッスンに通うとなると、やはりそれなりの金額になります。
その結果、最新のスイング解析機器を駆使したゴルフレッスンを受けることができるのは、高額所得者や競技ゴルファーなど一部の限られた人たちになり、一般アマチュアゴルファーは上達の真髄になかなかたどり着かないのが現状です。
ユーチューブで上達に役立つゴルフレッスンを無料で配信してくれるプロゴルファーやインストラクターも増えていますが、動画を見るのとレッスンを受けるのはまったくの別物です。
レッスン動画を見るとうまくなったような気になりますが、頭で思い描いたスイングを実際に行うのが難しいことは、ゴルフ経験が長ければ長いほど身にしみて感じていることでしょう。
個人的な印象としては、月額5000円前後で習い放題のゴルフスクールに通いながら、人間ドックを1年に1回受診するようなイメージでこのような最新スイング解析が受けられるシステムが普及すると、一般アマチュアゴルファーの上達に役立ちそうだと感じました。