汚いボールほどなくならない不思議!?　初心者ゴルファーの「ボールの替えどき」を考える

　先日、同伴競技者が池越えホールで新品のボールを打とうとして、慌てて使い古しのボールに取り替える場面を見かけて、微笑ましい気持ちになりました。

　池越えホールで使い古しのボールに取り替えるのは、初心者ゴルファーにとって割とポピュラーな選択です。キャディバッグのポケットに、新品のボールと使い古しのボールを分けて入れているゴルファーはけっこういます。

　上級者は「そんなにボロボロになるまでボールを使い続けなくてもいいんじゃないの」と言いますが、池ポチャやOBが多いレベルの初心者にとって、ボールの質よりも量を確保することのほうが大事です。

　汚れてきても、キズが多少ついても、わざわざ自分でボールを捨てる必要はありません。

　マスター室前にボール回収箱が設置されているゴルフ場もありますが、大したキズではないのに入れられているボールを見ると、もったいない気がします。実際、回収されたボールの中で状態のいいものは練習場で使用されることもあります。

　ただ、ボールメーカーの人に話を聞くと、ボールの表面にキズがついた時点で性能には何らかの影響が出るそうです。

　飛距離性能が落ちたりスピン性能が落ちたりするわけです。また、パットの転がりが不均一になる可能性もあります。したがってプロゴルファーはキズがついたら必ずボールを取り替えます。

　でも、初心者ゴルファーは飛距離性能やスピン性能が落ちても、それがボールのせいなのかショットのせいなのかも分かりません。

　もったいないと感じるのであれば、なくなるまで使い続けてOKだと思います。

　ひと昔前の「糸巻きボール」はショットの衝撃でボールにヒビが入ったり、割れたりすることがあり、なくなるまで使い続けることができないケースもありました。

　最近のボールは素材がよくなっているのか、以前よりもはるかに長持ちするようになりました。サンドウェッジでトップしてもかすりキズ程度で済むことが多くなり、カート道でバウンドしたときもダメージが少ない気がします。

　以前はキャディつきプレーが主流でしたから、ボールにキズがつくとグリーン上でキャディさんが一生懸命拭いてくれるのですが、キレイな状態には戻りません。

「すみません、ボールにキズがついちゃいました」と申し訳なさそうに渡されることがありました。そうするとこちらもキャディさんが悪いわけではないのに謝らせるのは申し訳ない気持ちになり、次のホールで新しいボールに取り替えることがありました。

　今はセルフプレーが主流ですから、ボールを拭くのも自分です。キャディさんに気兼ねすることなく傷がついたボールを使い続けることができます。

　ゴルフを長く続けていると、なくしてもいいと思っているボールほどなくならず、新品のボールが1打でなくなるという不思議な経験を何度もします。

　その原因は、コンペでドラコンホールなどが設定されていると、やっぱり飛ばしたいので新品のボールを使うのですが、スイング自体に力が入っているのでショットが曲がります。

　そしてOB区域に飛び込み、せめてボールだけでも回収したいと願うのですが、見つかるのは他人のロストボールばかりで、自分のボールは見つからないケースがほとんどです。

　一方、池越えホールや谷越えホールで使い古しのボールを使用すると、傷だらけになりながらも生き残ってきたボールは生命力が強いのか、池や谷はクリアできることが多いです。

　なくしてもいいと思っているから、リラックスしてショットが打てるという心理的効果もあるのでしょう。

　そうは言いましても、初心者のうちはボールがキズだらけになる前になくなることのほうが多いですから、キズだらけになるまで使い続けられるようになることが最初の目標かもしれません。