自分が乗せてもらう場合は集合場所に注意
社会人が覚えるべきビジネスマナーとして最もメジャーなもののひとつが、タクシーでの着座位置です。タクシーに2人で乗車する場合、目上の方を奥に、3人以上になると最も目下の人が助手席に座るのが一般的ですが、実際にはケースバイケースの場合も多く、新社会人を悩ませることが多いものです。

また、社会人になってしばらくすると、上司や先輩の誘いを受けて、ゴルフをたしなむようになることがあります。時には、取引先との接待ゴルフに駆り出されることもあるかもしれません。
ゴルフ場への移動はクルマで向かうことがほとんどであるため、上司や先輩に迎えに来てもらったり、あるいは自分のクルマで上司や先輩を迎えに行くというケースもあります。
そんなとき、どのように振る舞うのが最適解と言えるのでしょうか?
まず、上司や先輩に迎えに来てもらうケースについて考えてみましょう。基本的には、迎えに来てもらう方の自宅付近や最寄り駅までうかがうのがマナーです。いきなり、自分の住所を伝えることのないように注意しましょう。
一方で、自宅の場所やゴルフ場までの経路によっては、クルマで自宅に迎えに行ったほうがむしろ都合がいい場合もあります。マナーを意識するがあまり、非効率な動きとならないように、迎えに来ていただく方の都合を最優先しましょう。また、集合場所を指定する場合は、信号や踏切の近くを避けるなど、駐車しやすい場所を案内することが重要です。
では、合流した際にはどんなことに気をつければよいでしょうか?しっかりと挨拶を済ませた後は、ゴルフバッグを積み込むことになります。上司や先輩のゴルフバッグはもちろん、私物などがラゲッジルームにある場合があり、慣れていない人が触ると思わぬトラブルにもつながるため、まずはドライバー(クルマの所有者)の方に、どのようにゴルフバッグを積載すればよいかを確認しましょう。
上司が運転するなら助手席に座るのがマナー
さて、いよいよ乗車ですが、上司や先輩が運転するクルマで、同乗者が自分だけしかいない場合は、助手席に座るのが一般的です。
タクシーやハイヤーなどでは後部座席が目上の方の席とされるため、後部座席に乗ってしまうと、上司や先輩を「運転手扱い」しているように取られてしまう可能性があります。助手席の名の通り、話し相手になったり道案内をしたりするなどして「助手」に徹しましょう。
助手席にほかの上司や先輩がすでに座っていた場合は、後部座席に座ることになりますが、会話をしやすいように、最も目上の方の対角線上に座るのがベターです。ただし、いずれの場合もドライバーの安全確認を邪魔しないようにするのが重要です。
もし、乗車定員のいっぱいで乗ることになった場合、後部座席の真ん中や、3列目シートに率先して座るようにしましょう。
ただ、タクシーなどと違って、プライベートで使用しているクルマにはオーナーの方のこだわりや独自のルールがある場合もあります。教科書的なマナーにこだわるのではなく、オーナーの方や同乗者の方にとって、どうするのが都合良いのかを確認する姿勢が何よりも重要です。
自分のクルマなら後部座席がマナーだけど…
社会人2~3年目になると、愛車を手にする人も増えてくることでしょう。その場合、自分のクルマに上司や先輩を乗せて移動することがあるかもしれません。
教科書的なマナーで言えば、助手席側の後部座席に座っていただくのがセオリーです。ただ、現実的には、実際に後部座席に座ることはなく、助手席に座ることが多いと考えられます。特別な事情がない限り、上司や先輩の方の意向に沿うことがよいでしょう。
場合によっては、社長や専務、常務といった重役の方を自分のクルマに乗せることがあるかもしれません。このような場合も、基本的には後部座席をすすめつつ、重役の方の意向に沿うのがベターでしょう。
社内ではほとんど話す機会のない重役の方を乗せて走るのは、非常に緊張することかもしれません。もちろん、最大限注意して運転しなければなりませんが、外部と遮断された空間で、重役の方と話せる機会はなかなか得られないものであり、ここぞとばかりにいろいろな質問をしてみるのもいいかもしれません。
ゴルフをコミュニケーションツールとして、社内外の人と親交を深めていくのもまた、別の側面から見たゴルフの魅力と言えます。
※ ※ ※
マナーの本質は相手に不快感を与えないためのものであり、マナーのためのマナーにならないように、その場に即した行動をとることが重要です。ただ、はじめて接する上司や先輩などとクルマに乗る場合のよりどころとして、乗車位置についての基本的なマナーは頭に入れておくとよいでしょう。