外に出た瞬間「ヒヤッ」とする感覚を少なくすることが大事
寒さの厳しい冬です。ふだん外出を控えて暖かい室内ばかりで過ごしていると、ゴルフ場の冷え込みは一層身に染みます。どうしても厚着になりがちで思うようなスイングもできません。

そんな状態でも、ある程度スコアをまとめるにはどうしたらいいでしょうか。自律神経の研究で知られる順天堂大学医学部の小林弘幸教授に冬場のゴルフで大叩きしないための方法を教えていただきました。
「朝、クラブハウスから練習グリーンや1番ホールへ向かうときはあらかじめ防寒ウエアを着込んでから外に出ていくことです。一方、午後クラブハウスを出るときは防寒ウエアを着たまま出ていくと崩れます。ライトダウンやウィンドブレーカーなどの防寒ジャケットは、着ないで手に持ち、後半のスターティングホールへ向かうことがポイントです」
朝はまだ気温が上がらず寒いので、体が冷えてからではなく最初から防寒ウエアを着てから出ることが大切なのでしょうか?
「それもありますが、クラブハウスを出た瞬間に思わず『寒い!』と肩をすくめてしまうようなことがないようにするのが一番です。それにはコースへ出る自動ドアの前で防寒ウエアを着るのではなく、少し前にロッカールーム等で着て、体を温めておきましょう」
小林先生によると、自律神経は温度差が5度あるだけで乱れるといいます。暖房の利いたクラブハウスから北風の吹きつけるコースへ出るなら、10度以上の温度差を覚悟しなければなりません。そのギャップを体がまともに受けないよう、少し前から防寒ウエアを着ておくわけです。
そろそろ行こうかという前から5分、10分でも着ていると、確かにウエア内が暖かくなって体も温まるのを感じます。外に出た瞬間「ヒヤッ」とする感覚が少なくなることによって、交感神経の急上昇を抑えるメリットがあるのです。
とはいえ、せっかく防寒ウエアを着てから外に出ても、気温が低いとティーショットを打つ頃には寒さが体に染みてきて、どうしても自律神経が上がってきます。すると血管が収縮して体に力が入り、いつものようにクラブを振れなくなってしまうのです。
「朝のうちは体も硬く、厚着をするとスイングはさらに小さくなりがちです。そこで、ティーイングエリアに上がる前に素振りを10回から20回くらい行なうようにしてください。最初はゆっくり大きく、途中から速く大きくクラブを振るといいでしょう。体が温まり、厚着をしていても比較的スムーズに体を回すことができるようになります」
気温が上がる午後は小まめな脱ぎ着で自律神経をコントロール
一方、午後クラブハウスを出るときは防寒ウエアを着ないで出ていったほうがいいのは、気温が上がっている上、昼食を取ったことで体も温まっているからです。
「食後は副交感神経が一気に高まり、体が重くなったり、ボーッとして眠くなったりすることもあります。この状態で朝と同じように防寒ウエアを着込んでティーショットを迎えたら、ミスショットはほぼ確定です。午後は防寒ウエアを着ないでクラブハウスを出て、外気に体をなじませるほうが自律神経のバランスは落ち着きます。緩みきった体がスポーツモードに切り替わるのです。状況に応じて着たり脱いだりしながら後半の9ホールを回るといいですよ」
午後のプレー中は、面倒がらずにこまめに着脱を繰り返し、自律神経のバランスを乱さないよう気をつけることが大事なのです。
晴れていれば2月でも日中は案外暖かく、かえって暑くなりすぎても失敗します。防寒ジャケットを着たり脱いだりするだけでなく、重ね着や小物で調整できるようにすると便利です。
ちなみに、小林先生も取り入れている防寒スタイルは、保温インナー、シャツ、セーター、ダウンベストにネックウォーマーをつけてプレーし、カートに乗るときはベンチコートを羽織るスタイルです。ざっくりした厚手のセーターを1枚着るより普通のゴルフセーターとダウンベスト、ハイネックを着るよりネックウォーマーを使用するところに着脱のための工夫があります。
暖かいクラブハウスから寒いコースへ向かうとき、朝は少し前から防寒ウエアを着ておいて出る、昼食後は着ないで出ていく。ちょっとした違いですが、実行するのとしないのとでは、「朝イチ」も「午後イチ」も、結果は大きく違ってきそうです。冬の習慣にしたいものですね。