「U35会員」が定員1300人に！栃木の鹿沼72CCが若者ゴルフのメッカになっている

　コロナ禍で見直されたゴルフ。中でも屋外のスポーツとして、20代、30代の新規ゴルファーが増えています。ゴルフ界全体としても続けてもらうための方策に取り組んでいますが、ゴルフ場発の取り組みがヒントになるかもしれません。

　栃木県の鹿沼72カントリークラブでは、35歳以下のゴルファーをターゲットにした「U35会員」の追加募集を実施しています。同会員は入会金1万1000円（税込み）、年会費1万1000円（税込み）。入会金のほうは2～4人のグループ価格として、2人同時入会なら1人5500円、4人なら1人2750円となります。プレー料金は平日3700円、土日祝5700円（ともに昼食付き、税込み）という設定になっています。

　しかし、鹿沼72CCはこの施策をコロナ禍の「若年層需要」で始めた訳ではありません。

　同ゴルフ場を運営する鹿沼グループのオペレーション・マーケティング本部デジタル推進広報・荒川磨理ディレクターはこの制度を始めた経緯をこう説明します。

「ゴルファーが減る中で、若い人にゴルフ場を盛り上げていただきたい、コミュニティーとして利用していただきたい、という考えから、実は2017年に会員制度としてU30を立ち上げたのですが、問い合わせはありませんでした。『30歳では若すぎるのでは？』ということで、35歳に引き上げ、料金も見直して、50人から募集を始め、200人、500人、1000人と増やしてきました。今回は理事会で1300人までの承認をいただいきました」

　現在1100人のU35会員がいて、今回は200人の追加募集になるとのことです。

　この会員は35歳で「卒業」となる。現在、U35会員の平均年齢は29歳ということで、ゴルフ場の会員に興味があったり実際に会員になる人は、ある程度ゴルフを続け、金銭的にも落ち着き始めている20代後半ぐらいということでしょう。そうなると、30歳で卒業しなければならないのでは、1～2年しか利用できずメリット感がありません。35歳という設定変更が功を奏したということです。

　3月末までは入会・紹介キャンペーンを実施しており、紹介者特典として「72ピッツァ1枚無料」や「オリジナルドライバープレゼント」（抽選5人）、入会者特典として「練習場回数券」（11枚綴り）、「72ピッツァ30％OFFチケット」「オリジナルドライバープレゼント」（抽選5人）などの特典があります。

　同社としては、U35会員が卒業後に正会員に移行してもらうのが目的でもあります。ただ、「年会費3万円や、印鑑証明が必要などでハードルが少し高いようです」と、まだ反応は鈍いとのこと。しかし、今後、U35会員数が増えて、ゴルフへの熱中度も高まれば、正会員に移行する人も増えてくるかもしれません。

　今回、U35会員の定員が1300人に増えるということで「予約が取りにくいのでは」「若い人が多くなるとマナーやルールの問題が」と心配する声も当然出てきますが、荒川ディレクターは「古くからの会員からそうした懸念が出ていましたが、若い人もしっかりした方が多い。予約については、45ホールあるので、休日でも今のところ心配はありません」と言います。

　こうした取り組みで若い層を吸い上げていくのは、他のゴルフ場でも一考の価値がありそうです。ただ、鹿沼72CCの場合は45ホールを有する強み、特長があるからできるという側面もあります。18ホールのコースでそんなに多くの特別会員を取り込むことはできないでしょう。

　しかし、ゴルフ業界には、ゴルフを支えてきた団塊世代が後期高齢者となる「2025年問題」があり、高齢者のリタイアなどで会員数も減っていくとみられています。「若年層枠」を低価格で徐々に増やしていくことは、将来につながる方策になり得るでしょう。