生ビール1杯なら午後ハーフでチャラは嘘!仮眠も逆効果!? 誤解だらけのアルコール知識

初夏の日差しの中、うっすらと汗をかいて午前ハーフを終えて生ビールで乾杯! まさに至福のひとときですが、クルマの運転がある人は絶対やめてください! あなたのアルコール知識は誤解だらけかもしれません。

ビール500mlのアルコールが消えるのに3~4時間

 ゴルフのハーフが終わったランチ休憩で飲むビールが最高に美味しい季節になりました。「この瞬間を楽しむためにゴルフをしているようなものです」「同感です。では、乾杯しましょう」と、喉の鳴る音が聞こえてくるようですが、ちょっと待ってください!

「軽くビール1杯なら……」その1杯ぜんぜん軽くありませんよ! 写真:AC

 ゴルフ場でビールを飲んでしまったら、帰りのクルマの運転はどうするのですか? 飲酒運転になってしまうのではありませんか?

「生ビール1杯くらいで酔わないから大丈夫ですよ。それにまだ11時ですよ!? 12時から後半の9ホールを回って、水を飲んで、お風呂で汗を流します。飲酒運転はもちろんいけませんけど、帰るのは3時間後だからアルコールは抜けているはずです」――などと考える方は少なくないようですが……。

 ゴルフ場での飲酒について、健康づくりに役立つさまざまな計測機器の製造・販売で知られる株式会社タニタ・LS営業部の坂田和彦さんにお話をうかがうことができました。同社は、1999年からアルコール検知器の開発もおこなっているリーディングメーカーです。

「そもそも飲酒運転は法律で禁止されています。道路交通法では『呼気1リットル中、0.15mg以上アルコールを検知した場合』酒気帯び運転としていますが、数値によって重い処分が科されるからではなく、医学的にみて危険な状態であり、重大な事故を起こさないために、ゴルファーでも誰でも運転をするときは1杯のお酒も飲んではいけないのです」

 アルコールは抜けている“はず”というのは、どうやら誤った解釈といえそうです。公益社団法人アルコール健康医学協会の公式HPには、次のように書かれています(以下抜粋)。

「たとえ少量でも、お酒を飲むとしばらく後に必ず酔いが回ってきます。ふだんお酒に強く、自分では正常のつもりでも、アルコールによって判断力や運動能力は確実に落ちています。飲酒をつづけているうちに急性耐性というアルコールの作用に慣れが出ることにも注意しなければなりません。また、酔いがさめるのに要する時間には個人差(編集部注・体格、体質、性別など)があります」

 最後の一文から分かるように、「ビールを○ml飲んだら、○時間後にアルコールが消える」という、すべての人に当てはまる公式は存在しないのです。11時にビールを飲み終わった人が「3時間後にはアルコールが抜けるから、2時になれば運転できる(はず)」とは、決して言えません。

 アルコール検知器協議会(J-BAC)の公式HPによると「体内でのアルコールは、体重1グラムにつき、1時間に0.1グラム処理される」そうです。

 これを体重60キロの男性に当てはめて、体内のアルコールが消失するのに要する時間の目安を算出すると下記のようになります。

・1単位(ビールなら500ml=中瓶1本、日本酒なら180ml=1合、焼酎なら110ml=0.6合)を飲んだ場合、アルコールが体内から消えるまで3~4時間

・2単位(ビールなら中瓶2本、日本酒なら2合)を飲んだ場合は6~7時間

・3単位(ビールなら中瓶3本、日本酒なら3合)を飲んだ場合は9~10時間

・4単位(ビールなら中瓶4本、日本酒なら4合)を飲んだ場合は12~13時間

 生ビールは量にバラつきがありますが、一般的に中ジョッキで350~500ml、大ジョッキだと700~1000mlと言われています。アルコールを分解するのには、中生ビール1杯で3~4時間、のどが渇いた勢いで中生ビール2杯または大生ビールを1杯飲んでしまうと6~7時間かかります。

水を飲んでも汗をかいても風呂に入っても無駄

「それなら、ゴルフの昼食時は中生ビール1杯にしておけば大丈夫ですね。私は体重もあるし、たくさん水を飲んでトイレに行って、ゆっくり湯船に浸かって汗をかくので、もっと早く分解できますから」と思う方もいるかもしれません。

 しかし、「アルコールは肝臓で90%代謝され、残りの10%は呼気や汗や尿として排出されますが、この割合は運動をしたり入浴をしたりしても変わりません。たくさん汗をかいたからといって、10%以上のアルコールが汗として排出されることはありません」(公益社団法人アルコール健康医学協会HP)

 つまり、アルコールの代謝には飲酒した量だけ時間がかかり、完全に消失するには待つしかない、というわけです。

「それなら、駐車場に止めた車の中で仮眠してから帰ります。昼寝をすればアルコールが抜けてすっきりしますから」と考える方もいるようです。

 実は、これも誤った認識です。「寝れば大丈夫」どころか、寝ると分解時間が余計にかかるからです。先ほども示したように、体重60キロの男性が500mlの中瓶ビールを1本飲んだ場合は、アルコールが分解されるまで3~4時間かかりますが、寝てしまうと約6時間。1.5~2倍の時間がかかることがデータから分かっています。

早朝から運転するゴルフでは前夜の「チョット1杯」が命取り

 となると、やぶ蛇になりそうですが、むしろゴルフ前夜の晩酌や飲み会にも注意しなければならないと言えるでしょう。

 例えば、中瓶のビールを3本飲んで20時に切り上げ、22時に寝たとすると、アルコールの分解スピードは起きている時より遅くなり、9~10時間プラスアルファかかってしまうからです。5時起き、6時起きの時点では、分解しきれないアルコールが体内に残っていると考えられます。もちろん運転はできません。

 ゴルフ前夜に取引先の接待や職場の歓送迎会などがあっても、ビール1杯で中座できればいいのですが、ある程度お付き合いせざるを得ないことが予想される場合は、翌日のゴルフは電車で行くか、誰かの車に同乗させてもらう段取りをしておくことが大切です。いつものメンバーとクルマを出す役目を持ち回りにしているなら、あらかじめ自分の順番とぶつからないようにしておきましょう。

 こういうときのために市販のアルコール検知器を持っている方もいらっしゃるかもしれません。早朝にしても日中にしても、呼気を調べて運転の可否を確認することはできるのでしょうか。

 タニタの坂田和彦さんにふたたびお聞きしてみました。

「呼気中のアルコール量は分解能力の多い少ないに関係ありませんので、正しい測り方をしていただくことで、より正確な数値を計測できます。正しい測り方は、(1)飲酒および食後20分以上経っている、(2)うがいをする、(3)歯に詰まっている食べかすを取り除く、(4)アルコール除菌スプレーが飛散していない場所で測る。この4ポイントに気をつけていただくということです。とはいえ、アルコール検知器の数値だけで運転の可否を判断しないというのは大前提です。古い標語ですが、一人一人が『乗るなら飲むな、飲むなら乗るな』という意識を持つことが最も大事です」

 それでも、どうしてもランチにビールは欠かせないという方は、現下のガソリン価格高騰も考慮して「電車でゴルフ」はいかがでしょう? ビールでもサワーでも好きなお酒を気兼ねなく飲めて、渋滞のイライラや眠気との闘いとも無縁です。

 ただし、うれしくなって、つい飲みすぎることにはお気をつけくださいね。

※アルコール検知器はあくまで健康飲酒をサポートするためのものであり、自動車の運転をして良いか否かの判定には使用できません。

【写真】タニタの一般向けアルコールチェッカーはこんなにコンパクト

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