ハンドタオルをボール拭きに使わないで！ ゴルフ場が困っているトイレの使い方

　ゴルフは紳士・淑女のスポーツと言いますが、ゴルフ場関係者に話を聞くと、すべてのゴルファーが品行方正な振る舞いをしているわけではないようです。ゴルフ場関係者にゴルファーのトイレの使い方で困っていることを聞いてみました。

「トイレにハンドタオルを置いてあるゴルフ場が多いと思うんですけど、あのタオルがけっこうなくなるんですよ」

「どうしてなくなるのかと思ったら、コースでボール拭き用のタオルとして使っているお客様がいらっしゃるんですね」

「ボール拭き用のタオルはカート1台につき1枚ずつ用意してあるのですが、1枚のタオルを4人で共有するのが面倒くさいのか、トイレのハンドタオルを持ち出して自分専用のボール拭きタオルとしてお使いになっています」

「ただ、リネン（布製品の管理を担当する業務）の担当者によると、枚数がどんどん減っていくみたいですから、使い終わった後トイレに戻さず、持ち帰ってしまうのですかね」

「ハンドタオルの購入代や洗濯代もバカになりませんから、ウチのゴルフ場はハンドタオルを廃止してペーパータオルだけにしました」

「そうしたら最初のうちは『なんでハンドタオルを置いていないんだ』とお客様から言われました。逆に『なんでペーパータオルではダメなのですか？』と聞いたところ、顔を洗ったときにハンドタオルのほうが使いやすいらしいです」

「でも、こちらとしましてもペーパータオルだって顔拭き用に使えないわけではありませんから、今はペーパータオルのみで営業しています」

　トイレのハンドタオルはなんでゴルフ場だけに置いてあるのか理由が分からなかったのですが、顔を洗ったときに顔を拭くのがメインの用途だということを初めて知りました。

　ゴルフを始めたばかりのころ、「洗面台を使って水が周りにはねたら、次に使う人のためにタオルでキレイに拭くように」と教わったのですが、そのためだけにタオルが置いてあるわけではないだろうと思っていましたが、ようやく謎が解けました。

　今は汗拭き用のタオルをゴルフ場に持参しているゴルファーが多いと思いますから、そのタオルをトイレで顔を洗うときにも持っていけばハンドタオルがなくても困りません。

　また、ハンドタオルに関連して予想もしていなかった事件がトイレで発生したことをゴルフ場関係者が話してくれました。

「あるときハンドタオルの回収ボックスに、『注射器はこの中に入れないでください』という貼り紙が掲示されていたことがありました」

「私はその貼り紙を見てビックリしまして、『注射器って何』『（トイレで覚醒剤を打っている）ヤバイ人たちがいるの』とリネン担当者に聞きました」

「そうしたら、『そういうわけではなくて糖尿病の方がトイレでインスリン注射を打つことがあるのですが、その注射器をタオルと一緒に入れちゃって、スタッフがタオルを回収するときにケガをしてしまったので貼り紙を掲示しました』とのことでした」

　注射器の廃棄に関しては、ゴルフ場だけでなく駅のトイレなどでも貼り紙を見かけることがありますから、困っている施設が多いようです。

「男性のお客様はトイレを使用する際に『一歩前へ』という貼り紙を見かける機会があるでしょうが、あれも困っている施設が多いからだと思います。トイレの床にけっこうこぼれているんですよ」

「『歳を取るとキレが悪くなるんだ』という話は諸先輩方から聞いていますが、ゴルフ場では次の人が待っていることはほとんどありませんから、どうか慌てることなく、できるだけ便器の外にこぼさないように使っていただけるとうれしいです」

　トイレに限らず、バンカーもグリーンも次に使う人のためにキレイな状態で受け渡すのがマナーです。そういった振る舞いができるゴルファーが増えれば、ゴルフ場が今以上に居心地のよい場所になりそうです。