「6インチ“リ”プレース」は間違い!ベテランでも怪しいドロップ、プレース、リプレースの違いをおさらい

「あれ?どっちだっけな」と迷うことも多いのではないでしょうか。ベテランゴルファーでも意外と熟知していない場合もある「ドロップ、プレース、リプレース」の処置をおさらいします。

打ち直しも暫定球も範囲内で最善のライを探さないのは損

 現行ルールが施行されてから3年半。ゴルファーの間にすっかり定着した感がありますが、それでも、プロでさえ完全には浸透していないルールの一つに、第2打以降のOBの打ち直し(ストロークと距離の罰)や暫定球があります。

ツアープロは元の箇所にマークをして丁寧に「プリファードライ」の処置を行う 写真:Getty Images

 ジェネラルエリアやペナルティーエリア、バンカーから放ったショットがOBの場合、プレーヤーはそのショットを打った箇所を基点に、1クラブレングス以内の基点と同じコースエリア(例:ジェネラルエリアからのショットであれば、ジェネラルエリア)で、かつ基点よりホールに近づかない救済エリアにドロップしなければなりません。

 暫定球の処置も同様です。

 ところが、プロでも、とりわけ暫定球を打つときは、1クラブレングスの救済エリア内のいいライを探すことなく、ショット地点のすぐ後方にドロップするシーンを何度か目撃したことがあります。

 今回は、ベテランゴルファーでも熟知が怪しいと思われる「ドロップ、プレース、リプレース」の処置を集めてみました。

「6インチ“リ”プレース」ってときどき耳にするけど

 春先や降雨の後など、コースコンディションが悪いときにローカルルールで採用される「プリファードライ」。これは、ボールが止まった箇所を基点に、1クラブレングスや6インチ(約15センチ)以内のプリファード(好ましい)なライにプレースできるという救済です。

 この救済は「6インチ」以内にプレースできるとするローカルルールが多く、一般に「6インチプレース」とか「6インチOK」とか呼ばれています。お世話になったゴルファーは多いと思いますが、これを「6インチリプレース」と誤って呼ぶゴルファーが案外多いのです。とりわけ、ベテランのゴルファーに。

 もともと「リプレース」は、元の箇所に置き戻すことです。グリーンに乗ったボールを拾い上げたときを始め、自分のボールであることを確認する場合、ボールに傷やひびが入っていないか確かめる場合、あるいは他のプレーヤーのプレーの邪魔になるボールを拾い上げたときは、必ず元の箇所に「リプレース」しなければなりません。

 そのため、ルール上は、「リプレース」しなければならないボールに触れる際には、その前に必ず元の箇所にマークをすることが求められています。

 なお、この「マーク」ですが、ルールブックの用語の「定義」には「次のいずれかの方法によって止まっている球の箇所を示すこと」として「ボールマーカーを球の直後、または球のすぐ近くに置くこと」とされています。

 これはほとんどのゴルファーがいつもやってるマークですが、そのほかに「クラブを球の直後、または球のすぐ近くの地面の上に留めておくこと」と定義にあります。

 ですから、例えばグリーン上で、拾い上げたボールをさっと拭いてリプレースするとき、わざわざボールマーカーを置かず、ボールの位置にパターヘッドを置いて「マーク」としても違反ではないのです。

結局は使い分けが難しい「プレース」と「リプレース」

 インプレーのボールを誤って自分で動かしたり、他の人や動物などに動かされた場合も、ボールは元の箇所に「リプレース」しなければなりません。

 ちなみに、例えばフェアウェイ上のボールをカラスに奪われ、元の箇所、つまりリプレース地点が分からないとき、旧ルールでは、元あった箇所に一番近いと思われる地点にドロップでした。しかし、現ルールでは、元あった箇所を推定して、そこにリプレースしなければなりません。

 こうした「リプレース」とは違い、「プレース」は、例えばグリーン上で「一時的な水」(旧ルールのカジュアルウォーター)による障害が発生した場合、プレーヤーはその障害を避ける「完全な救済のニヤレストポイント」まで移動する「救済」を受けられるのですが、その際は元とは違う箇所にボールを置くので、ルール上は「プレース」することになります。

 これが基本。

 ところが、現ルールブックの用語に定義の「リプレース」の項目には(「プレース」の定義はない)、
「球をインプレーにする意図を持って、球を接地させて手放すことによって置くこと」と定義されています。

「元の箇所」といった置く場所の規定はないので、つまりは「プレース」と同義なのです。

 例えば、ボールをリプレースしようとしても元の箇所に止まらない場合、再度試してもその箇所に止まらないときは「プレーヤーは、その球が止まる最も近い箇所にその球を置くことによってリプレースしなければならない」(規則14.2e)とあり、元の箇所とは違う地点に置いても、「リプレース」と記されています。

 ここまで書いてなんですが、「プレース」と「リプレース」の使い分けはとても難しいのです。

この記事の画像一覧へ(9枚)

画像ギャラリー

ドロップを行うときはヒザの高さから自由落下させる モデル:野村タケオ氏
ドロップを行うときはヒザの高さから自由落下させる モデル:野村タケオ氏
1.「ティーイングエリア」
2.「バンカー」
3.「ペナルティーエリア」
4.「パッティンググリーン」
5.「ジェネラルエリア」
「コース」を構成する5つの「コースエリア」を覚えておこう
ツアープロは元の箇所にマークをして丁寧に「プリファードライ」の処置を行う 写真:Getty Images

最新記事