可動域が広がることでスイングアークが大きくなる
頑張らないジムの名前は「NOWVIETA(ノヴィータ)」。場所は埼玉県、京浜東北線の蕨(わらび)駅のすぐ近くにある。そこを教えてくれたのは、ゴルフインスタグラマーとして活躍中の「ゆかちんまる」。
彼女とは何度か一緒にゴルフに行っているが、仲間内では飛ばし屋と認識されている。彼女自身は筋トレのジムにも通って頑張っているので、その効果で飛距離が出せているのだと思っていたのだが、それだけではないらしい。なんせ、こちらの「NOWVIETA」では、頑張っては効果が出ないのだという。

案内してくれたゆかちんまるとともに中に入ると、マシンが並んでいて普通のトレーニングジムと変わらない。?(ハテナ)マークが浮かびまくる頭で、対応してくれたインストラクターの白井仁之さんにお話をうかがった。
「通常のマシンは、負荷をかけて力を強く入れて使用するためのものですが、このジムにあるマシンはリラックスした状態で筋肉を動かしながら、緩めていく動的ストレッチを行うものです。これを使って身体の部位を動かしながら、筋肉を緩めていきます。なので、頑張ってしまうと力が入ってしまうので、ダメなんです」
本当にがんばらないことが大事なマシンだった。メインとなるマシンは全部で4台。それぞれ「胸周り」「股関節」「肩と肩甲骨周り」「お尻周り」の筋肉を緩めるものなのだという。
これらに加えて、腰を基点に捻ることで、いろいろな部分が伸ばせる「ツイスター」を加え、順番に使用し筋肉を伸ばしていくことで、どんどん可動域が広がるのだという。
究極の動的ストレッチは「ラジオ体操」
「ジムのメンバーさんで、70歳代の方ですが、可動域が広がったことで、以前の飛距離を取り戻せたという報告もいただいています」と白井さん。頑張らないで飛距離が伸びるというのも、まんざらウソではないらしい。
実際にゆかちんまるに、マシンを使ってもらったが「う~、気持ちいいです」という感想しか出てこないし、全てのマシンでの動きは、しゃべりながら、笑いながら行っている。

こんなにラクチンそうなのに、有酸素運動なので、脂肪を燃やす効果もあるのという。つまり、ダイエットにもなるということだ。とはいえ、効果を期待するには、少なくとも週2回通わなければいけないとのこと。すぐ近所に住んでいれば、気軽に通えそうだが、世の中のほとんどの人は蕨には通いにくいはず。
そんな人たちは、どうすれば動的ストレッチを取り入れることができるのか? 白井さんによると「こちらのジムに通っていただければ、楽をして、大きな効果が期待できますが、確かに誰でも通えるというわけではないですよね。そういった人たちには、究極の動的ストレッチ、ラジオ体操を毎日試してみて欲しいです」
ラジオ体操? いくら夏休み真っただ中とはいえ、ラジオ体操を試してみてと?
白井さんによると、ラジオ体操は動的ストレッチの基本形とも言えるものだそうで、毎日続けることで、筋肉がほぐれて、可動域が広がる効果が期待できるという、また、ラウンド前のストレッチとしてもオススメとのこと。
普段ラウンド前は、腕を伸ばして、グーっと引っ張るようなストレッチを取り入れているのだが、白井さんによると「それは危険を伴うストレッチと言えます」と怖いお言葉。
詳しく聞いてみると「一般的にみなさんが取り入れているストレッチは静的ストレッチと言われているものなのですが、あの動きはトレッドミル(ルームランナー)などでランニングをしたり、バイクをこぐなどの有酸素運動で身体を温めてから行うものなんです」
「でも、その部分を省略して行うと危険な動きになります。今のように気温が高いときなら事故も少ないのですが、冬など寒い時期に、『これからラウンドだ!』と、固まった筋肉にグッと力を入れて引っ張ってしまうと、筋繊維を痛めることになりかねない。最悪の場合は筋断裂の可能性もあるので、注意が必要です」とのこと。
ランニングなどで身体が温まっているのであれば、問題はないが、朝一番に、急に引っ張るようなストレッチを行なうのは危険な行為なのだと教えてくれた。
では、どうすれば、安全にストレッチができるのか?
「引っ張るのではなく、ゆっくりと動かすんです。例えば、首回りならゆっくり回しましょう。肩回りも一緒です。手首や足首もぶらぶらさせたり、回したり、動かしながらほぐしていくことで、筋肉を温めていきます。止まった状態から急に力を入れて引っ張るなどのストレッチは避けるようにしてください」
ゴルフというと、どうしても張り切り過ぎて、力をグッと入れてストレッチをしてしまう人も多そうだが、頑張らない脱力状態が一番効果的なのだという。また、私自身、いつも、ラウンド前はどんな順番でストレッチをすべきなのか、悩んでいたが、ラジオ体操でOKとわかったので、今後はそれを取り入れたいと思った。