「ラフ」が「フェアウェイ」と比べて打ちにくい理由とは?
ラフとは、主にフェアウェイの両サイドにある芝が短く刈り込まれていない場所を指し、伸びた草や芝が生えているゾーンです。競技性を高めるために、フェアウェイと明確に分かれています。

フェアウェイは芝が短く刈り込まれているのに対して、ラフは地面が多少荒れていたり、芝の背丈が違ったりするので、ラフにボールを打ち込むとボールはあまり転がりません。
特にビギナーの場合は、ティーショットでボールを曲げてしまうことが多々あるので、セカンドショットをラフから打つというシチュエーションが必然的に多くなります。
ラフからのショットは、まずフェアウェイに出すことが一般的になりますが、フェアウェイからのショットと比べて、どのくらいショットに悪影響があるのでしょうか? レッスンプロの三浦辰施氏は、以下のように話します。
「フェアウェイとラフの明確な違いは、ミスショットしたときに大きく出ます。飛距離が出づらかったり、力を入れて振り回すタイプのゴルファーだと、芝の影響を強く受けてフェースが意図しない向きへ急激に変わり、目標よりも左方向に飛んでいったりします。特に、芝が生い茂る時期は影響が大きいです」
今の時期のようにラフが長く茂っていると、ラフの短い冬場などと比べて、ショットの難易度が高くなります。そのため、ボールが長めの芝に沈んでしまうこともあるので、ウッドやユーティリティーといった長めのクラブで無理やりグリーンを狙うのではなく、ピッチングなど短めのクラブを使用して、まずはフェアウェイに戻すのがビギナーがスコアをまとめる上では良いです。
一方、冬場のゴルフは、芝が枯れているということもあり、フェアウェイからのショットと大差なく打てることもあります。
さらに、三浦氏は、手先を使って打つ人ほどラフの影響を受けやすいと話します。
「普段からロフト角が一定で、力を入れすぎず、滑らせてボールを打てる人は、少しスピン量が落ちて止まらないという影響はもちろん受けますが、他の影響は、ラフの深さにもよりますがそこまで受けません。ただ、手先を使って打っている人は、芝に抵抗を受けて打ち負けやすいので、セミラフぐらいでも全然ボールが止まらない、球が上がりづらいということがあります」
「順目」「逆目」や「フライヤー」にも注意
また、ラフには「順目」と「逆目」があります。順目とは芝生の目がボールの進行方向と同じ向きに生えていることを指し、逆目はボールの進行方向とは反対に芝が生えていることを指します。
順目の場合はそこまでショットに悪影響はありませんが、逆目の場合は球が上がりづらく、さらにスピンもかかりにくくなります。そのため、ラフからのショットでは芝の向きにも注目しておくと、マネジメントしやすくなります。
ほかにも、ラフからのショットでは「フライヤー」という現象が起こる可能性もあります。フライヤーとは、クラブフェースとボールの間に芝が挟まり、しっかりスピンがかからないため発生します。ビギナーであっても、ある程度のヘッドスピードがあると、スピン量が減ってキャリーが伸びる可能性があります。スピンが減ると、着弾してからもボールが止まりづらくなるので、ランが増えて飛び過ぎてしまうわけです。
というわけで、ティーショットでさほど飛ばなかったとしても、フェアウェイにボールを打てた場合は「ナイスショット」と声をかけてもらえます。ラフにボールが行かないだけでも、上述のリスクを背負わなくてもいいという大きな恩恵を受けられるからです。