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- PGAツアーを目指すならやっぱり渡米すべき!? 日本とは全く異なる若者のゴルフ育成システムとは
松山英樹が主戦場としているPGAツアー。そのシード選手の多くは「カレッジゴルフ」出身だそうです。そこで、日本とは全く異なる米国でのゴルフ育成について聞いてみました。
米国では短時間で優先順位を決めた練習で集中力を高める
2019年夏に渡米して米国のゴルフアカデミーに入り、2022年春まで現地でトレーニングを積んだ日本人男子選手と先日話をする機会がありました。
彼は今秋からNCAA(National Collegiate Athletic Association=全米大学体育協会)のディビジョン1の大学ゴルフチームに加入し、憧れの舞台であるPGAツアーへの道のりを目指します。

高校1年夏まで日本で過ごした後、よりよい環境を求めて渡米した彼に、日本と米国の指導法の違いについて聞いてみました。
「僕は日本にいるときから日本人っぽくない先進的な指導に取り組んでいるプロゴルファーの方のレッスンを受けていましたから、アメリカに行ってもテクノロジーの面で驚いたりすることはありませんでした」
「ただ、僕がジュニアのころは、周りの選手は球を何球打ったとか、ドライビングレンジに何時間いたとか、そういう話がよく出ていました」
「ところがアメリカに行くと、ものすごく恵まれた環境があるのに、1日30分だけしか練習できないという指導を受けたことがありました」
「1日30分しか練習できないという状況を作り出すと、何をやったらゴルフの上達に直結するか自分で優先順位を考えるようになるし、集中力も上がるというのです」
「そういうドリルを提案してくれるのはゴルフアカデミーのメンタルコーチです。アカデミーには100人くらいの生徒がいまして、そこにメンタルコーチが2人、テクニカルコーチが7~8人、フィジカルのトレーニングコーチが2人います」
「トレーニングジムのセッションは週に3回あって、1日1時間です。レベル別のグループに分かれてトレーニングを行ないます」
「ゴルフのトレーニングは1日3時間半から4時間くらいあります。常にコーチがついているわけではありませんが、コーチがみんなのことを見ながら、1対1の時間を作るという形で練習していました」
「あとは脳科学者が1人ついていて、脳波を読み取る機械みたいなのをつけて行なうトレーニングも1学期に3回くらいありました」
「脳はアルファ波とベータはが同時にたくさん出ているときが最もリラックスしていて、なおかつ集中力が高いということが分かっていますから、脳波を見ながら『もっとリラックスが必要だ』とか、そういう指導も受けていました」
米国ではこういった指導を高校年代から受けられるゴルフアカデミーがたくさんあるそうです。だからといってアカデミーの生徒たちはゴルフ漬けの生活を送っているわけではありません。彼は現地の高校に通いながら、日本の部活動に相当する時間帯にこれらの指導を受けていました。
大学のゴルフチームに選手をスカウトさせるのがアカデミーの仕事
米国のゴルフアカデミーがこのような先進的な指導を行なっている理由は、彼らの仕事が選手たちをNCAAのディビジョン1の大学ゴルフチームにスカウトさせることだからです。
NCAAは世界最大の大学スポーツ協会で、大学スポーツのテレビ放映権料などを販売することによって収入を確保し、それを各大学に配分するような仕組みになっています。ディビジョン1(D1)、ディビジョン2(D2)、ディビジョン3(D3)に分かれており、それぞれ300校ぐらいずつ加盟しています。
「でも、NCAAにおけるゴルフの存在はものすごく小さくて、アメリカンフットボールとバスケットボールが圧倒的に強いんですよ。だからD1、D2、D3はゴルフのレベルで決まっているわけではありません。アメリカンフットボールやバスケットボールの強さ、大学の大きさ、どれだけのお金を出せるかによって決まっています」
「そして奨学金率もD1、D2、D3の順に大きくなります。アメリカの大学でスポーツをする学生は、スポーツと勉強のどちらでもスカラシップ(奨学金)がもらえます」
「たとえば学費が500万円の大学だったら、スポーツと勉強でどちらもフルスカラシップをもらった場合、1000万円もらえることになります。500万円のお小遣いをもらいながら学校に通う形になります」
「ゴルフチームのスカラシップの分配はヘッドコーチが決めます。分配率は毎年変わります。レギュラーになったり、チームのエースになったりするとフルスカラシップがもらえる可能性が高くなります」
彼自身の入学時点でのスカラシップは、ゴルフは10%弱だったものの勉強で55%のスカラシップが取れたので、トータル約60%のスカラシップで大学に進学したそうです。これからチームで活躍することによってスカラシップを増やすことを目指します。
このような仕組みの話を聞くと、日本の指導法や育成法とはまったく異なります。そしてPGAツアーのシード選手の大半がNCAAの大学ゴルフチーム出身です。
PGAツアーで通用している日本人が松山英樹選手だけという現状は、彼1人が異次元なだけで、日本と米国の育成の仕組みに圧倒的な差があるからなのかもしれません。
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