近隣にはゴルフ場に土地を貸している地権者が多い
ゴルフ場に行くと、「このホールは左側に民家が隣接しているので注意してください」という看板が立っていたり、「民家への打ち込みを避けるためドライバーでのティーショットを禁止します」という看板が立っていたりすることがあります。
このように注意喚起をするということは、実際にドライバーで打ったボールが民家に飛び込んだり、もしかしたら窓ガラスが割れたりしたことがあるのかもしれません。
民家ということはゴルフ場の敷地外ですから、本来であればボールが飛んで行ってはいけない場所です。

それであればゴルフ場が防球ネットを張ったりしてボールが場外に飛び出さないようにしなければなりません。それでもネットが破れたりしてボールが飛び込んでしまうことがあるのでしょうか。そのあたりの事情をゴルフ場関係者に聞いてみました。
「まず、ほとんどのゴルフ場の敷地は借地なんですね。敷地の何割かはゴルフ場が所有していることもありますが、土地の100%が自社所有というゴルフ場は聞いたことがありません」
「そして近隣住民さんは基本的に地権者さんが多いです。ですからゴルフ場としては、とにかく仲良くするというのが大前提です」
「打ち込み注意の看板が立っているということは、実際に打ち込みのトラブルがあったのは一度や二度ではないと思います。おそらく2ケタ以上でしょう」
「当たり前ですが、ゴルフ場は打ち込みを防がなくてはなりません。それでも行くときは行きます。また、ドライバーで打たないでくださいと書いているのに、ドライバーで打つ人もいますからね」
そういうときに備えて、ゴルフ場は地権者を集めて定期的に親睦コンペを行なったりしています。日ごろから円満な関係を築き、大きなトラブルに発展しないように心がけています。
ナイター設備のあるゴルフ場は照明をつける時間の取り決めをする
ナイター設備があるゴルフ場では、近隣住民と照明をつける時間の取り決めをしているケースもあるそうです。
「夜遅くまで明るすぎると、畑で育てている農作物の育成に影響を与える可能性があるのです。何時になったら何番ホールまで照明を消さなければいけないという取り決めをしているところが多いです」
「ゴルフ場としては近隣住民さんと揉めても、いいことなど一つもありません。言われたことは必ず守り、良好な関係を築きます」
ゴルファーであれば、誰もが一度はゴルフ場の近くに住んでみたいと考えます。でも、ゴルフ場の近くに住むのもいろんな苦労があるのかもしれません。
季美の森ゴルフ倶楽部(千葉県)は東急不動産グループが開発したゴルフ場と住宅街が一体となっている日本ではほとんど例のない特徴的な造りになっています。その住人の方に話を聞いたことがありますが、「ゴルフ場の近くに住んでいるからといって、いいことばかりじゃないよ」とおっしゃっていました
地域住民かどうか分かりませんが、夕方になるとゴルフ場に勝手に入ってきて、タダでプレーする泥棒ゴルファーが出没することがあるという話も聞いたことがあります。
以前、ある名門ゴルフ場で夕方になると泥棒ゴルファーが出没するという話を聞いたとき、「泥棒も家を選んで空き巣に入るのでしょうから、選ばれるのは光栄なことですよ」とおっしゃっていて、そういう考え方もあるのかと感心したことがあります。
一方で、別荘地のゴルフ場では、近隣の別荘に泊まっている人が、予約もせずに勝手に敷地内に入ってきてプレーするケースもあるようです。別荘の住人は地権者ではありませんから、ゴルフ場が「次にやったら警察に突き出しますよ」と注意すると、「二度と来ねえよ」と捨て台詞を言って帰るそうです。
ゴルフ場の近隣に住んでいる人も、ゴルフ場の近くに別荘を持っている人も、価値観が似た人たちばかりとは限らないでしょうから、そういう人たちとうまくつき合っていくのはけっこう気を遣うのかもしれません。