ゴルフ場の電気代は昨対156%に上昇
2022年に入ってから物価高騰が国民の生活を苦しめています。また、2022年3月に1ドル120円を突破した円安が一気に加速し、10月には150円台に突入しました。11月15日現在は140円前後で推移しています。こういった経済状況はゴルフ場の経営にも影響を及ぼすのでしょうか。ゴルフ場関係者に聞いてみました。
「ウチのゴルフ場で物価上昇比較表を作ったところ、2021年4~9月と2022年4~9月で物価上昇率は次のとおりです」
「燃料関係はガソリンが約105%、重油が約101%、軽油が約104%。光熱費関係は電気代が約156%、ガス代が約110%。レストランの食材関係と調味料関係は約101~103%、食用油が約121%です。物価はおおむね上がっています」

「これらの物価上昇がゴルフ場の経営に影響を及ぼすかと言いますと、まったく影響がないわけではありません。ただ、今年はプレー料金を300~500円ほど値上げさせていただきました。それでもしっかり集客できていますから、物価上昇分を客単価上昇で吸収できている感じです」
「しかし、これはあくまでも4~9月の比較です。10月以降さらに物価が上昇した品目もありますから、そのあたりは注視していかなければなりません。特に電気代は、電磁誘導式カートを使用していることもありますから、もう少し細かく見る必要があると感じています」
「一方で、円安はゴルフ場経営には影響はありません。ゴルフ場自体が海外から大量に物を輸入したりすることはないですから、為替によって大きく左右されることはありません」
物価が上昇したぶん2023年のプレー料金を値上げする予定
物価高騰が今のところゴルフ場の経営に大きな影響を及ぼしていないと聞いてひと安心です。しかしながら10月から値上げした食品や飲料も多かったですから、2023年のプレー料金はどうなるのでしょうか。
「ゴルフ場としましては物価が上昇したぶん、料金を値上げしたいですよね。たとえば物価が5%上がったとしたら、1万円のプレー料金を1万500円にしたいです。その程度の値上げであればお客様のご理解も得られると思いますので、今年の集客状況を見ながら来年の料金を検討することになります」

「レストランにつきましても、原価率を30%くらいに設定してメニュー開発をしますから、物価が5%上がったら同じ料理を作るのに原材料費が5%増えることになります。そのぶん値段を上げなければなりません」
「でも、プレー料金を値上げして、レストランの料金も値上げすることはしません。全体的な客単価を5%増やせばいい話ですから、うまく割り振りながらやりくりします。これは他のゴルフ場さんも同じでしょう」
ひと昔前はプレー料金を値上げすると近隣のゴルフ場に客が流れてしまうので、周囲の状況を見ながら料金を決める風潮があったと思いますが、そういうことは最近あまり気にしないのでしょうか。
「近隣コースとの料金競争は以前ほど熾烈ではなくなりました。その理由は東日本大震災後に廃業するゴルフ場が増えましたから、需要と供給のバランスが適正化しました」
「今は料金を下げて集客するよりも、マーケットの状況を見ながらどうやって料金を上げるかを考えています」
「たとえば最近ですと、乗用カートにナビゲーションシステムを搭載するゴルフ場が増えていますが、そういった設備投資と同時に料金を値上げすることをどこのゴルフ場でも行なっています」
「お客様も『便利になったんだから料金を値上げしてもしょうがないよね』と納得していただけます。今後は来場者数を追い求めるよりも客単価を上げながら売り上げをキープしていく方向にシフトしていくつもりです」
プレー料金の値上げはゴルファーにとって好ましいことではありませんが、ゴルフ場は近年のゴルフブームで集客が順調なようで、強気の料金設定を打ち出す構えです。
ゴルファーとしては早めに予約して安い料金を確保したり、逆に直前の特別プランで安い料金をゲットしたり、いろいろとやりくりしながらラウンド数を増やしたいところです。